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採用内定者の内定取り消しと労働基準法の適用について

この度の新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、採用内定者の一部に内定取り消しが起こっているとのことで、本記事では内定取り消しと労働基準法の適応について記載させて頂きます。
 
労働契約は、労務提供と対価の支払いの合意がなされることにより成立するものであり、実際の労務提供が無い段階でも労働契約が成立することがあり得ます。
採用内定については「その実態が多様であるため、その法的性質について一義的に論断することは困難であり、具体的な事案につき当該企業の当該年度における採用内定の事実関係に即してこれを検討する必要がある」(大日本印刷事件 最高裁第二小法廷昭54.7.20判決)というのが最高裁の見解となっております。

過去の判例では、採用内定により労働契約の成立が認められる傾向にあり、その場合に内定取り消しを行った場合は、労働契約の解約、すなわち解雇ということになってしまいます。

そこで、内定取り消しが労働基準法の解雇予告を要するのかというと、現状では見解が分かれているようです。

行政解釈では「会社の採用通知が労働契約締結についての労働者の申込みに対して労働契約を完成せしめる使用者の承諾の意思表示としてなされたものであれば、会社の採用通知によって労働契約は有効に成立し事後における会社の採用取消通知は有効に成立した労働契約解除の通知であると解されるのおで、この場合は労働基準法第20条が適応される」(昭27.5.27基監発15)とあり、解雇予告制度の適応があるとするのが行政の見解です。

しかし、学説では使用期間中の労働者への解雇予告制度の適応が14日経過後に適応となることの均衡上、採用内定取り消しについては解雇予告制度の適応はないとする考えもあります。

内定取り消しに対する解雇予告についてはケースバイケースという事になってしまいますが、実務上は解雇予告制度の適応があるものとして対応することが望ましいと思われます。


新型コロナウイルス感染症の影響により、休業、解雇、雇止め、内定取り消しや延期など、さまざまな危機に直面されている方がたくさんいらっしゃると思います。
厳しい現状ですが、雇用調整助成金等の支援の活用によってこの危機的状況を乗り越えていきましょう。


【参考:労働基準法の実務相談(編:全国社会保険労務士連合会)】

 
2020年03月27日 22:07