障害年金の手続き、まず何から始める?
相談窓口はどこ?事前準備と初回の年金事務所相談について
こんにちは。
社会保険労務士の菅野です。
このブログでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で進めようと考えている方に向けて、障害年金請求の全体像と具体的な手順、そして各場面での注意点を、全12回シリーズで解説していきます。
YouTubeでも同じ内容を動画で解説していますので、文章だけでは分かりにくいと感じる方は、ぜひあわせてご覧ください。
▼ 第1回の解説動画はこちら
全12回で解説する内容について
このシリーズでは、障害年金の手続きについて、次のような流れで解説していきます。
- 相談窓口の利用方法
- 受診状況等証明書の取得
- 診断書の取得
- 病歴・就労状況等申立書の作成
- 年金事務所への提出
- 審査から実際の入金までの流れ
障害年金請求の最初から最後までを一通り理解できる構成になっています。
第1回のテーマ
「相談窓口はどこ?事前準備と初回の年金事務所相談」
今回のテーマは、障害年金手続きの最初の一歩についてです。
- どこに相談すればいいのか
- 相談に行く前に、何を準備しておくと良いのか
- 初回の相談で、必ず確認しておいてほしいポイント
この3点を中心に解説します。
大前提:診断書は必ず必要になります
まず最初に、非常に重要な前提があります。
障害年金の手続きでは、最終的に必ず診断書が必要になります。
そのため、手続きを進める前に、
- 障害年金の請求を考えていること
- 診断書を作成してもらえるかどうか
について、主治医の先生に事前相談をしておくことが重要です。
障害年金の相談窓口はどこ?
障害年金の相談・手続きができる主な窓口は、次の4つです。
- 年金事務所
- 街角の年金相談センター
- 市区町村役場
- 共済組合
ただし、請求する年金の種類や状況によって、窓口が異なる場合があります。
市区町村役場
- 障害基礎年金の相談・手続きが可能
- 窓口数が多く、利用しやすい点がメリット
共済組合
- 障害厚生年金の受付窓口
- 初診日が共済組合加入期間中にある場合のみ、当時の共済組合が窓口になります
年金事務所・街角の年金相談センター
- 障害基礎年金・障害厚生年金の両方に対応
- 制度全体をまとめて相談できます
おすすめの相談先は「年金事務所」
共済組合が窓口になる方を除き、基本的には最寄りの年金事務所への相談をおすすめしています。
障害年金制度は非常に複雑で、
- 社会保険労務士でも専門外の方が多い
- 年金事務所の職員でも、得意・不得意に差がある
というのが実情です。
市区町村役場は業務範囲が広く、必ずしも障害年金の専門窓口とは言えないため、状況によっては十分な案内が受けられないこともあります。
街角の年金相談センターも年金専門窓口ですが、数が少なく、利用できる地域が限られます。
そのため、現実的で確実な相談先は年金事務所ということになります。
年金事務所は「予約制」です
年金事務所で相談する際の注意点として、原則、事前予約が必要です。
- 予約専用ダイヤルから予約可能
- 1~2週間先まで予約が埋まっていることも多い
- 地域によっては、1~2か月待ちになることもあります
相談を考え始めたら、できるだけ早めに予約を入れることをおすすめします。
※ 街角の年金相談センターは、予約なし対応のところもあります。
相談前にしておきたい事前準備
「とりあえず話を聞いてみたい」という場合は、特に準備をせずに相談へ行っても問題ありません。
ただし、事前準備をしておくことで、
- 相談がスムーズに進む
- 制度の理解が深まる
- 誤った案内を防ぐことができる
というメリットがあります。
① 過去の受診歴を整理しておく
障害年金では、その病気やけがで最初に医療機関を受診した日(初診日)が非常に重要です。
相談窓口では、必ず過去の受診歴について確認されます。
- どの医療機関に
- いつ頃からいつ頃まで通院していたか
- 通院が中断していた期間があるか
正確な日付まで分からなくても構いませんが、時系列で大まかな流れを整理しておくことが大切です。
誤った受診歴を伝えてしまうと、窓口の記録に残り、後の手続きに支障が出ることもあります。
② 障害年金制度の概要を知っておく
初回相談では、制度全体についての説明も受けます。内容は複雑で、混乱してしまう方も少なくありません。
事前に概要を知っておくことで、窓口での説明が理解しやすくなります。
初回の年金事務所相談で行うこと
年金事務所での初回相談では、主に次の内容が行われます。
- 障害年金制度の説明
- 受診歴のヒアリング
- 状況に応じた手続きの案内
あわせて、手続きに必要な書類が渡されます。
特に重要な書類は、次の3つです。
- 受診状況等証明書
- 診断書
- 病歴・就労状況等申立書
これらを、窓口の指示に従って順番に準備していくことになります。
保険料納付要件の確認は必須です
初回相談で必ず確認してほしいのが、保険料納付要件です。
保険料納付要件を満たしていない場合、そもそも障害年金を受給することができません。
年金定期便や「ねんきんネット」だけでは判断できないため、必ず年金事務所で直接確認してもらいましょう。
その際、職歴原簿(被保険者記録照会回答票)をもらっておくことをおすすめします。
これは過去の職歴が一覧で確認でき、今後の手続きで非常に役立つ資料です。
まとめ
今回は、
- 障害年金の相談窓口
- 相談前の事前準備
- 初回の年金事務所相談でのポイント
について解説しました。
実際の手続き内容は、一人ひとりの状況によって異なります。だからこそ、窓口での説明をしっかり聞き、不明点はその場で確認することが大切です。
次回【第2回】は、「受診状況等証明書の取得」について詳しく解説します。ぜひ、次回の動画・ブログもあわせてご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






