第2回|受診状況等証明書の取得(初診日を証明する重要書類)
こんにちは。社会保険労務士の菅野です。
いつも動画をご覧いただき、ありがとうございます。
このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で進める方が、手続きの全体像や手順、各作業での注意点を理解できるよう、全12回で解説しています。
第2回の今回は、受診状況等証明書の取得についてです。
前回は「相談窓口」「相談前の事前準備」「初回の年金事務所相談で確認すべきポイント」など、最初の一歩を解説しました。まだご覧になっていない方は、先に第1回から確認していただくと理解がスムーズです。
YouTube動画(埋め込み)
受診状況等証明書とは?何のための書類?
受診状況等証明書は、障害年金の手続きにおいてとても重要な「初診日」を証明するための書類です。A4サイズ1枚の書式で、医療機関に作成を依頼します。
「初診日」の考え方に注意
障害年金における初診日とは、手続きを行う傷病(病気やけが)について、初めて医師の診療を受けた日をいいます。
ここで注意したいのは、一般的にイメージされがちな「その病院で初めて受診した日」とは意味が違う点です。
障害年金では、一連の治療の流れの中で最も古い受診日が初診日になります。つまり、基本的に1つの傷病につき初診日は1つです。ここがややこしいポイントでもあります。
どこの病院で取得する?(原則は「一番古い病院」)
受診状況等証明書は初診日を証明する書類なので、取得先はシンプルです。
複数の受診歴がある場合は、最も古い病院(=初診日のある病院)に作成を依頼します。
「受診状況等証明書」と「診断書」を同じ病院で両方取る必要は?
たまに、同じ病院から「受診状況等証明書」と「障害年金の診断書」を両方取得している方がいますが、通常は同じ病院から両方を取る必要はありません。
なぜなら、受診状況等証明書に書かれる内容は、診断書にも記載されるためです。診断書が受診状況等証明書の内容を包含しているイメージです。
そのため、同じ病院で両方作成してもらうと、
- 不要な書類作成費用が発生する
- 忙しい医師の業務を圧迫してしまう
というデメリットが出ます。特別な理由がない限りは避けましょう。
作成費用の目安
受診状況等証明書の作成費用は、明確な全国一律の決まりがあるわけではありません。ただ、体感としては3,000円~5,000円程度で対応している医療機関が多い印象です。
ただし、医療機関によって安い・高いの差はありますので、費用は事前に確認しましょう。
依頼方法:基本は「窓口でお願いする」でOK
依頼方法は基本的にシンプルです。医療機関の窓口で「受診状況等証明書の作成をお願いしたい」と伝えればOKです。
- 大きい病院:書類専用窓口があることが多い
- 小さい病院:受付の方に相談する形が多い
遠方などで来院が難しい場合は、電話と郵送で対応してくれる病院もあります。
ただ「行くのがつらい」という時も、まずは電話で相談してみるとよいでしょう。
注意点:書類名だけでは通じないことが多い
受診状況等証明書は、医療機関にとって作成頻度が高い書類ではありません。
心療内科・精神科や大病院など、障害年金関連書類に慣れているところでは通じやすい一方、その他の医療機関では、書類名を伝えても分からないことがよくあります。
ご自身で依頼する場合、うまく説明できないと話が伝わらず、手続きが止まってしまうこともあります。
そのため、可能であれば、年金事務所等でもらった書類を持参して、「これを書いてほしいんです」と現物を見せるのが最も確実です。
「初診証明」という言い方は避けた方がよい
受診状況等証明書は、確かに「初診日を証明する」ための書類です。
ただし、この書類の正式名称が「初診日証明書」ではなく、受診状況等証明書であることには理由があります。
依頼の際に、安易に「初診証明を書いてください」と言ってしまうと、医療機関側で誤解が生じたり、対応がスムーズに進まないケースもあり得ます。
この点は、第4回で詳しく解説する予定です。
「カルテがないので書けません」と言われたら
受診状況等証明書の作成を依頼したとき、残念ながら「カルテが残っていないので書けません」と言われるケースがあります。これは実際とても多いです。
医療機関のカルテ保存は、原則として最終受診日から5年とされており、5年を超えると医療機関の判断で破棄されることがあります。
ただし、ここで自己判断で諦めるのは早いです。病院によっては、5年を超えても保存している場合もあります。
カルテがないと言われた場合の次の一手
カルテがない場合でも、受付簿などの記録が残っていることがあります。
- 初診日だけは分かる
- 病名や初診・終診の時期だけは分かる
その場合は、分からない部分は「不明」「不詳」などで構わないので、分かるところだけでも書いてもらうことが重要です。
不明が多い受診状況等証明書であっても、認定につながる可能性が残る場合があります。
病院がなくなっているなど「どうしても取れない」場合
カルテも記録もなく、あるいは病院が廃業していて取得ができない場合でも、全く可能性がゼロというわけではありません。
この「どうしても受診状況等証明書が取れないときの対処法」については、第4回で詳しく解説します。お困りの方は、ぜひそちらもご覧ください。
まとめ:取得はケースバイケース。窓口と連携して進めましょう
受診状況等証明書の取得は、
- お一人おひとりの状況
- 依頼する医療機関の対応方針
によって、進め方が大きく変わります。
不安な点があれば、年金事務所等の窓口によく相談し、窓口の指示に沿って進めることが大切です。
次回【第3回】は、取得した受診状況等証明書の見方について解説します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






