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障害年金の手続き|初診の医療機関で受診状況等証明書が取れない場合の対処法

第5回|障害年金の診断書の取得(現症日・請求パターン別のポイント)

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回までは受診状況等証明書の取得方法や記載内容の見方について解説を行いましたが、第5回の今回は、障害年金の診断書の取得について解説を行います。


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診断書は「障害の重さ(等級)」を判断するための書類です

まず前提として、診断書は障害年金の審査においてどんな役割をもつのかというと、
診断書は主に、障害年金の手続きをされる方の障害の重さ(障害等級)を判断するための材料となります。

もちろん、初診日の認定における判断材料の一つになることもありますが、
診断書のメインの役割は障害の重さの判断という点にあります。


診断書は全部で8種類。窓口の案内に従って選びましょう

障害年金の診断書は全部で8種類あります。手続きを行う傷病や状態によって適切な診断書を選択する必要があります。

取得すべき診断書の種類については、基本的には窓口の案内に従っていただければ問題ありません。


「2級の診断書を書いてください」はNG。等級を決めるのは審査です

ご相談の中でよくあるのが、

  • 「2級の診断書を書いてもらいました」
  • 「3級の診断書を書いてもらいました」
  • 「何級の診断書を書いてもらいたい」

というお話です。

しかしながら、診断書はあくまでも等級の判断材料であり、診断書を作成する医師が等級を決定するわけではありません。

等級決定は、診断書等の提出資料をもとに、審査によって判断・決定されるものです。
この点を正しく理解しておくことは、とても大切なポイントです。


診断書で最重要なのは「現症日」です

診断書には現症日といわれる日付があります。これは「この診断書がいつの状態を示しているか」を表す日付です。

診断書は、基本的に現症日時点の状態を示すものになります。
したがって、障害年金の手続きにおいては、いつの現症日の診断書が必要なのかを理解しておくことが非常に重要です。


いつの診断書が必要?手続き方法によって3パターンあります

障害年金の手続きのために、いつの診断書を取得するのかは、手続き方法によって3パターンに分かれます。

  • 障害認定日請求(通常の請求)
  • 1年以上前の障害認定日請求(遡及請求)
  • 事後重症請求

それぞれ必要な診断書(現症日)を解説します。


① 障害認定日請求(通常の請求)

障害認定日とは、原則として初診日から1年6か月を経過した日のことをいいます。

通常の障害認定日請求とは、障害認定日から1年が経過する前に手続きを行うことをいいます。

この場合に必要な診断書は、

障害認定日から3か月以内の現症日の診断書 1枚

となります。

たとえば、認定日から11か月経過したタイミングで手続きをする場合でも、必要なのは「認定日から3か月以内の現症日の診断書1枚」です。


② 1年以上前の障害認定日請求(遡及請求)

遡及請求を行う場合は、認定日から時間が経過しているため、必要な診断書が2枚になります。

具体的には、

  • 障害認定日から3か月以内の現症日の診断書
  • 請求日から3か月以内の現症日の診断書

の2枚が必要です。

遡及請求は、どれだけ古いものであっても手続きを行うこと自体は可能ですが、
障害の重さを判断してもらえるのは、あくまでも障害認定日と現在の状態の2点になります。

そのため、初診日が古ければ古いほど「認定日時点の診断書の入手」が難しくなります。
また、認定日時点では状態がそこまで重くなかった場合、診断書内容が等級に該当しないことも予想されるため、遡及が難しくなることがあります。

なお、「遡及は最大5年できるから、5年以内で状態が悪かった時点の診断書を提出すればそこから遡れる」と誤解されている方も多いのですが、
審査対象はあくまでも障害認定日と現在ですので、この点は注意が必要です。


③ 事後重症請求

事後重症請求は、障害認定日時点ではなく、現在の状態から障害年金を請求する方法です。

認定日時点では障害等級に該当しない場合や、認定日時点の診断書が取得できない場合には、事後重症請求を選択することになります。

この場合に必要な診断書は、

請求日から3か月以内の現症日の診断書 1枚

となります。


3パターンの診断書(現症日)まとめ

  • 通常の障害認定日請求:障害認定日から3か月以内の現症日の診断書
  • 遡及請求(1年以上前の障害認定日請求):認定日から3か月以内 + 請求日から3か月以内の現症日の診断書(計2枚)
  • 事後重症請求:請求日から3か月以内の現症日の診断書

作成日はあまり関係ありません。大切なのは現症日です

診断書の最後の方には作成日が記載されていますが、作成日はあまり関係がありません。
大切なのは、あくまでも診断書の中に書かれている現症日です。


診断書の有効期限に注意(現症日から3か月)

診断書の有効期限を考える必要があるのは、請求日から3か月以内の現症日の診断書(現在分)です。

診断書を取得してから手続きまでに時間がかかると、現症日から3か月を超えてしまい、有効期限切れとなって、修正や書き直しが必要になることがあります。

また、この有効期限を「作成日」を基準に考えてしまう方も多いのですが、基準はあくまでも現症日です。

作成日は必ず現症日より後になりますので、作成日から3か月と考えてしまうと、
「作成日からは3か月経っていないのに、現症日からは3か月を超えていて、窓口で期限切れと言われる」
ということも起こり得ます。

現在分の診断書は、必ず現症日から3か月を意識しましょう。


診断書を依頼する際の注意点(特に精神・内科系は重要)

診断書を依頼するときは、取得すべき診断書の日付(現症日)を正しく伝えることはもちろんですが、
それに加えて重要なのが、日頃から自分の状態や生活の様子を医師に伝えておくことです。

視力・聴力・肢体など、検査や測定で明確な数値が診断書に記載されるものは別として、
特に精神疾患や内科系の傷病では、生活状況や症状をどれだけ医師が把握できているかで診断書の内容が変わってきます。

よくあるのが、診察で「いつもとお変わりありませんか」と聞かれて、
「はい」とだけ答えて、処方もずっと同じままというケースです。

このような状態では、等級判断を左右する生活状況の情報が医師に伝わらず、
ご自身が感じているよりも軽い診断書になってしまうことがあります。

医師側もご苦労の状況を把握していなければ、問題なく生活できているものだと思ってしまっても仕方がありません。

そのため、普段から、特に診断書依頼の前には、ご自身の状態や生活の困りごとをしっかり医師に伝えるようにしましょう。


まとめ

今回は、障害年金の診断書について、

  • 診断書の役割(等級判断の中心資料であること)
  • 現症日の重要性
  • 請求パターン別に必要な診断書(現症日)
  • 有効期限(現症日から3か月)
  • 診断書依頼前に医師へ状態を伝える重要性

を解説しました。

次回【第6回】は、「障害年金の診断書取得時の注意点」について、さらに詳しく解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年12月26日 10:00
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