第8回|病歴就労状況等申立書裏面の書き方の注意点
こんにちは。社会保険労務士の菅野です。
このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。
前回は病歴・就労状況等申立書(表面)の書き方について解説しましたが、今回【第8回】は前回に引き続き、病歴・就労状況等申立書の裏面の書き方について解説します。
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裏面に何を書く?記載項目は大きく4つです
病歴・就労状況等申立書の裏面には、以下の内容を記載します。
- 障害認定日時点の就労状況(就労している場合/していない場合)
- 請求時(提出時)現在の就労状況(就労している場合/していない場合)
- 日常生活の状況(10項目の評価)
- 障害者手帳の取得状況
表面は白紙に自由記述するため難しいのに対し、裏面は様式が整っているため、記載する内容自体は分かりやすい構成です。
ただし、裏面にも注意点があり、記載の仕方によっては審査に影響することがあります。ここからポイントを整理して解説します。
まず重要:請求方法によって「書く場所」が変わります
裏面は大きく、次の3段に分かれています。
- 障害認定日の状況
- 現在(請求時)の状況
- 手帳の取得状況
このうち、手帳欄は全員記載しますが、上2段(認定日・現在)は、請求方法によって記載するかどうかが異なります。
迷ったら全部書いても問題はありませんが、不要な箇所を省略することで作業量を減らせますので、以下のルールは覚えておくと便利です。
① 通常の障害認定日請求(認定日から1年以内)
「障害認定日時点の状況」のみを記載します。
「現在の状況」は記載不要です。
② 事後重症請求(現在の状態から請求)
「現在の状況」のみを記載します。
「障害認定日時点の状況」は記載不要です。
③ 遡及請求(認定日から1年以上経って請求)
「障害認定日時点の状況」と「現在の状況」の両方を記載します。
このように請求方法によって記載欄が決まっていますので、ご自身の請求方法を確認してから裏面の記載を始めましょう。
就労している場合に書く内容(仕事・通勤・出勤日数・様子)
障害認定日時点または請求日現在に就労している場合には、以下を記載します。
- 仕事内容(簡単な内容)
- 通勤方法
- 通勤片道のおおよその所要時間
- 前月・前々月の出勤日数
- 就労中や就労後の本人の様子
遡及請求の場合、記載する内容が1年以上前になることもあり、当時の出勤日数を正確に把握することが困難です。
その場合は、所定労働日数と欠勤状況などをもとに「おおよその日数」を記載すれば問題ありません。
通勤方法の書き方にも注意
もし家族の送迎など支援を受けて通勤している場合は、単に「自家用車」と書くだけではなく、
- 家族が自家用車で送迎
- 家族の運転による送迎
など、通勤そのものに支援が必要であることが伝わるように記載しましょう。
就労後の様子も重要です
生活のために無理をして働いている場合、仕事が終わると疲れ切って倒れるように寝てしまう方もいます。
そのような「帰宅後の様子」も、重要な情報として記載しましょう。
就労していない場合は「理由」に丸をつけます
障害認定日時点または請求日現在で就労していない場合は、理由欄で該当するものに丸をつけます。
- ア 体力に自信がなかったから
- イ 医師から働くことを止められていたから
- ウ 働く意欲がなかったから
- エ 働きたかったが適切な職場がなかったから
- オ その他
そもそも病状から働ける状態ではない場合は、オ欄に
「働ける状態ではない」などと記載すれば問題ありません。
最重要ポイント:日常生活状況(10項目)は慎重に記載する
裏面の中でも特に注意が必要なのが、日常生活状況(10項目)を4段階で評価する欄です。
視力や聴覚など、数値で等級判断ができる障害の場合は、ここをどう書いても審査に大きな影響はありません。
しかし、内科系の疾患や精神疾患で手続きを行う場合は、ここが非常に重要になります。
なぜ重要なのか:診断書より軽く判断されてしまう可能性がある
この欄の記載によって、障害状態が診断書よりも軽く判断されてしまう可能性があります。
誤解されがちですが、この欄を重く書けば審査が重くなるということはほとんどありません。
等級判断の中心はあくまで診断書です。
一方で、診断書が重くても、この欄が軽い場合には、
「本人自身が生活の支障は軽いと書いている」と受け取られ、審査が厳しくなることがあります。
つまり、診断書と申立書裏面で差がある場合、軽い方が採用されやすいと考えておくと分かりやすいかもしれません。
具体例:トイレは「用を足せる」だけではありません
多くの方が判断を誤りやすいのが「トイレ」の項目です。
尿意・便意があれば普通にトイレに行けるため、「自発的にできる(1)」を選ぶ方が多いですが、
日常生活としてのトイレはそれだけではありません。
- トイレットペーパーの補充
- 汚れた場合の掃除
- 定期的な清掃
- 在庫管理
同居者がいる場合、その作業を誰がしているのか。
一人暮らしなら、荒れて悪臭が出るような状態になっていないか。
こうした観点まで含めると、生活に支障が大きい方にとって「自発的にできる」は軽すぎる判断になっているケースが多いです。
迷ったときの考え方:診断書と同等の水準で選ぶ
10項目すべてを細かく考えると、判断が難しくなることもあります。
そのため、日常生活状況を選択する際は、診断書の障害状態の重さと齟齬がないように、同等の水準で選ぶという考え方が有効です。
診断書の判断に準じて選択することは合理的であり、それによって診断書どおりの審査が行われやすくなります。
最後に:困りごと・手帳状況を記載して完成です
日常生活状況の次の欄には、その他強調しておきたい生活上の困りごとを記載します。
最後に、障害者手帳の取得状況を事実のとおり記載して、裏面は完成です。
裏面は特に、日常生活状況の選択に悩まれたり判断を誤ってしまう方が多い印象があります。
ぜひ今回の内容を参考にしながら作成してみてください。
まとめ
今回は、病歴・就労状況等申立書の裏面について、
- 請求方法によって記載欄が異なること
- 就労している場合/していない場合の書き方
- 日常生活状況欄が審査に与える影響と注意点
- 迷ったときは診断書と齟齬がない水準で記載すること
を中心に解説しました。
次回【第9回】は、手続きの際の添付書類について解説します。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






