第12回|障害年金が決定した後に確認するポイント
こんにちは。社会保険労務士の菅野です。
これまで、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、手続きの全体像や手順、各作業での注意点が分かるように、全12回にわたって解説してきました。今回が最後の第12回となります。
前回は「障害年金の審査にかかる期間」について解説しました。審査が終了すると、ご自宅に結果通知が届くようになります。
その中に「年金証書」が入っていれば、無事に認定されたということです。ここまで来てようやく一安心できる方も多いと思います。
ただ、認定されたら次に気になるのが、「いつ振り込まれるのか」という点です。
そこで今回は、最後となる第12回として、年金証書の見方と、実際の振込までのスケジュールについて解説します。
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そもそも年金証書とは?
年金証書とは、年金を受ける権利があることを証明する書類です。
年金証書の見方は項目が多く、最初は戸惑うかもしれませんが、まずは「自分が知りたいところ」を押さえれば大丈夫です。
特に多くの方が気になるのは、
- 認定された等級
- 更新(次回診断書提出)の時期
- 支払開始年月
- 年金額
の4つです。
まず最初に見るべき:等級と更新時期
年金証書の右下に、「障害基礎・障害厚生年金の障害状況」という項目があります。
① 障害の等級
ここに、認定された等級が記載されています。
「2級」や「3級」といった等級に加えて、
「2級16号」のように号まで書かれていますが、号は「どの基準で認定されたか」を示すものです。
専門家は号まで見ますが、ご自身としては何級だったかを確認すれば十分です。
② 診断書の種類
次に、今回認定に使用された診断書の種類が記載されています。
数字だけで分かりづらいですが、診断書の種類は番号で決まっています(例:精神の診断書は7番)。
ただし、更新時にも「同じ種類の診断書」が求められるだけなので、ここもあまり気にしすぎなくて大丈夫です。
③ 次回診断書提出年月(更新時期)
ここに記載されている「何年何月」が、次回の更新審査の時期です。
少なくとも、この更新時期が来るまでは、障害年金の権利がなくなることはありません。
認定期間は1年~5年の範囲で決まり、更新月は誕生月と決まっています。
年金証書の構成:3つのパートでできています
年金証書は大きく分けると、次の3つで構成されています。
- 上部:証書部分(青色)
- 中段:厚生年金保険 年金決定通知書
- 下段:国民年金 年金決定通知書
それぞれ順番に見ていきましょう。
① 上部(証書部分):まず「障害」と書かれているか確認
上部の証書部分には、年金の種類として「障害」「老齢」「遺族」などが記載されます。
障害年金の手続きが認定された場合は、ここが「障害」になっていることを確認しましょう。
次に「受給権を取得した年月」が記載されています。
ここで重要なのは、
年金が支給されるのは、受給権が生じた月の「翌月分」から
という点です。
つまり、受給権を取得した年月と支給開始月は同じになりません。
また、
- 事後重症請求:提出月が受給権発生日
- 認定日請求:障害認定日の月が受給権発生日
となりますので、受給権取得年月を見ることで、遡及が認められたのか、事後重症として認められたのかが判断できます。
② 厚生年金決定通知書:支払開始年月と年金額を確認
厚生年金決定通知書で重要なのは、次の4つです。
- 支払開始年月
- 基本となる年金額
- 加給年金額(または加算額)
- 年金額(合計)
支払開始年月
支払開始年月は、先ほどお伝えしたとおり、受給権取得月の翌月になっているはずです。ここを確認しましょう。
基本となる年金額(報酬比例部分)
障害厚生年金の基本額は、平均標準報酬額や加入月数などから算出される「報酬比例部分」です。
ただし、3級の場合は、算出額が最低保証額を下回ると最低保証額が適用されます。
加給年金額
障害厚生年金の1級・2級に該当し、一定の収入以下の配偶者がいる場合は加給年金が加算されます。
内訳は複雑ですが、最終的には右端の「年金額」を確認するのが一番分かりやすいです。
③ 国民年金決定通知書:障害基礎年金の部分
国民年金決定通知書の欄は、
- 障害基礎年金を受給された方
- 障害厚生年金2級以上の方(基礎年金も併給)
に記載されます。
障害厚生年金3級の方は、ここが記載されませんので注意しましょう。
見方は厚生年金と同じで、ここも右端の年金額を確認すれば大丈夫です。
基礎年金の基本額(令和6年度)
基礎年金の金額は定額で、令和6年度では以下のとおりです。
- 2級:81万6,000円
- 1級:102万円
子の加算
障害基礎年金(または障害厚生年金2級以上)では、18歳年度末までの子、または一定の障害を持つ20歳未満の子がいる場合に子の加算があります。
こちらも内訳は複雑なので、右端の年金額を確認すれば十分です。
最終的な年金額は「厚生+国民」の合計です
障害厚生年金2級以上の方は、厚生年金と国民年金の両方に金額が記載されています。
「どちらが支給されるの?」と迷う方が多いのですが、
両方の年金額を合算した金額が支給されるのが正しい理解です。
また、年金証書の金額は「受給権取得年の金額」です。
年金額は毎年改定されますので、特に遡及請求の方は、証書の金額が最新の金額ではない点に注意しましょう。
年金は「偶数月15日」に2ヶ月分ずつ振り込まれます
年金は原則として、偶数月の15日に、2ヶ月分まとめて振り込まれます。
たとえば、
- 4月・5月分 → 6月15日
- 6月・7月分 → 8月15日
というように、年金は後払いで支給されます。
また、15日が土日祝にあたる場合は、前倒しで振り込みになります。
毎月振り込まれるわけではありませんので、金銭管理上の注意が必要です。
初回振込は「奇数月」になることもあります
年金は原則偶数月支給ですが、認定後の初回振込は、例外的に奇数月になることがあります。
通常は、年金決定が出ると、決定日の翌月または翌々月の15日に初回支給されることが多いです。
目安としては、
- 月の前半(2週目くらいまで)に決定 → 翌月15日
- 月の後半に決定 → 翌々月15日
となるケースが多い印象です。
ただし、他の年金の受給があるなど、何かしら調整が必要な場合は、さらに1ヶ月ほど遅れることもあります。
初回振込がいつ・いくらになるかは、支給日の直前に通知が届きますので、そこで確認できます。
また、事前に窓口に確認すると教えてもらえることもありますので、不安な方は相談してみましょう。
事例でイメージ:申請から決定、振込までの流れ
流れをつかみやすいように、ひとつ事例で確認してみます。
例:6月末に事後重症請求 → 9月24日に決定
この場合、受給権発生日は申請日である6月末となるため、
年金は7月分から支給対象となります。
ただし、8月15日(7月分の本来の振込日)の時点ではまだ決定していないため、当然支給されません。
9月24日に決定が出たとしても、直近の振込日(10月15日)までの期間が短く、処理が間に合わないため、
初回振込は11月15日になる可能性が高いです。
この場合、7月~9月分が未払いとなっているため、例外的に奇数月で支給されます。
そして、その後は通常どおり偶数月支給に戻り、
10月・11月分は12月15日に支給される流れになります。
どの月の年金が、いつ振り込まれるのかを理解しておくことは、家計管理の面でもとても重要です。
まとめ:証書確認と振込ルールを理解して、安心して受給を迎えましょう
今回は、年金証書の見方と振込までの流れについて、
- 等級と更新時期は証書右下で確認する
- 支払開始年月は受給権取得月の翌月
- 厚生年金と国民年金がある場合は合算が支給額
- 年金は偶数月15日に2ヶ月分ずつ支給
- 初回振込は例外的に奇数月になることがある
というポイントを解説しました。
これまでの全12回で、障害年金手続きの全体像や各工程の注意点を段階ごとに整理してお伝えしてきました。
すべてをご覧いただいた方、ありがとうございました。
まだ途中までしか見ていない方も、実際に手続きを進める際には、必要な回をぜひ見返していただければと思います。
このシリーズが、少しでもご自身で手続きを行う方の助けになれば幸いです。
今後もテーマを決めて、さらに詳しい解説も行っていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。






