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障害年金の初診日証明|初診日証明の基本的な進め方

初診日講座 第2回|初診日証明を進めるための実務的な流れ

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

この連続講座では、障害年金の手続きの中でも特に重要でありながら、実務ではつまずきやすい「初診日」について、全12回にわたって深掘りして解説しています。

初診日は、障害年金の受給権の発生や受給額を左右する根本的な要素です。
実際に初診日が原因で障害年金が受給できていないという方も少なからずいらっしゃいます。

前回【第1回】では、初診日の基本的な考え方についてお話ししました。
今回【第2回】では、「初診日証明の基本的な進め方」について、実務的な流れに沿って解説していきます。

なお、普段私は「すべての障害年金手続きに専門家が必要なわけではない」とお伝えしています。
ただし、初診日に課題がある場合は話が別で、自己判断によって大きな不利益につながるリスクもあります。

逆に言えば、通知・通達や認定事例を踏まえると「なんとかなるケース」も多くありますので、初診日で困っている方が一人でも救われればという思いで、この講座を作成しています。


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初診日証明の基本ステップは「2つ」です

初診日の証明を進めていく上で、まず押さえていただきたい基本の流れは次の2つです。

  1. 受診歴の洗い出し(整理)
  2. 初診病院から受診状況等証明書を取得して提出する

一見シンプルに見えるかもしれませんが、ここでつまずく方が非常に多いのが実務の実態です。

ここから、それぞれの作業について具体的に解説していきます。


ステップ1:まずは「受診歴の洗い出し」を行う

初診日証明を進めるうえで、最初にやっていただきたいのが受診歴の洗い出しです。

これは、現在の病気やけがに関連する受診歴について、

  • どの医療機関を
  • いつ頃受診して
  • どんな診療科で
  • どんな治療・診療を受けて
  • どのように経過してきたのか

を、時系列で整理していく作業です。

たとえば、以下のような情報をメモにしていくと整理しやすくなります。

  • 病院名(クリニック名)
  • 受診したおおよその時期(例:2020年春頃〜2021年夏頃)
  • 診療科(内科/精神科/整形外科など)
  • 受診のきっかけ(症状・経緯)
  • 診断名(当時分かっている範囲で)
  • 転院した場合はその理由

重要なのは「今通っている病院」ではなく「最初の病院」

ここで大切なのは、「今通っている病院」ではなく、その傷病において最も最初に受診した病院がどこかを探し出すという視点です。

途中で診断名が変わっている場合でも、基本的には「連続性がある傷病」として判断するのが障害年金の考え方です。

まずは過去の受診歴を丁寧に整理し、初診病院を明確にすることが、初診日証明の第一歩になります。


ステップ2:初診病院に「受診状況等証明書」を依頼する

受診歴の整理ができたら、次に行うのが、

最初に受診した医療機関(初診病院)に「受診状況等証明書」を依頼する

という作業です。

受診状況等証明書とは、医療機関がカルテ記録をもとに作成してくれる書類で、

  • 初診日
  • 終診日
  • 受診経過
  • 治療内容
  • 転帰(治癒・転医・中止など)

などが記載されます。

そして、この受診状況等証明書を窓口へ提出することによって、初診日がいつであったかを証明していくのが、初診日証明の基本ルートです。


受診状況等証明書が不要になるケースもある

ここで注意点として、すべてのケースで受診状況等証明書が必要というわけではありません。

① 初診病院=診断書取得病院の場合

診断書を作成してもらう病院と初診病院が同じ場合、診断書の中に初診日の記載欄があり、
受診状況等証明書の内容を診断書が包括しているため、受診状況等証明書は省略できます。

② 知的障害の場合(初診日=出生日の取扱い)

知的障害のケースでは、原則として初診日が出生日とされるため、受診状況等証明書そのものが不要になります。

ただし、この取り扱いは知的障害特有のものであり、他の先天性疾患には基本的に適用されない点には注意が必要です。


初診病院で証明書が取れない場合はどうする?

初診病院が閉院している、カルテが破棄されているなどの理由で、受診状況等証明書が取得できないケースも少なくありません。

この場合の対処法は、次回以降の講座で詳しく解説していきます。

まずは今回の内容としては、

  • 受診歴を整理して初診病院を特定する
  • 初診病院から受診状況等証明書を取得できるか確認する

というところまでを、着実に進めることが重要です。


初診日証明は「自己判断で諦めないこと」が大切です

初診日の証明は、障害年金手続きの中で最も重要であると同時に、つまずきやすいポイントでもあります。

初診病院が不明確であったり、経過が曖昧であったりすると、ご自身だけでは判断が難しいケースも少なくありません。

普段、更新手続きなどでは「専門家が不要なケースも多い」とお伝えしていますが、初診日については話が別です。

初診日が証明できなかったことで、そもそも障害年金の権利が失われてしまうことも現実としてあります。

逆に、通知・通達レベルの取り扱いを理解して進めれば、「なんとかなるケース」も少なくありません

もし初診日に課題がある場合は、早めに専門家に相談することも選択肢として検討してみてください。


次回予告

次回【第3回】では、「20歳前の初診日証明」について解説していきます。

初診日が20歳前(年金制度未加入期間)にある場合は、初診日の取り扱いが通常と異なります。
実務でも誤解が多いポイントですので、ぜひ次回も参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026年01月04日 10:00
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