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障害年金の初診日証明|第三者証明で初診日は証明できる?

初診日講座 第10回|「最後の手段」と言われる第三者証明の実務的な実情

障害年金における「初診日」は、受給できるかどうかを大きく左右する非常に重要なポイントです。
この連続講座では、初診日についてのさまざまな取り扱いや証明方法を、全12回にわたって詳しく解説しています。

前回【第9回】では、「保険料納付要件が完璧なら、障害基礎年金ならなんとかなる」というテーマで、
証明資料が一切残っていないケースにおける救済的な取り扱いについて解説しました。

今回の第10回では、「第三者証明による初診日の証明」について解説します。

第三者証明は、初診の医療機関が廃院している、あるいはカルテが破棄されている場合など、
他に手がないときに案内されやすい「最後の手段」の一つです。

ただし、結論からお伝えすると、第三者証明による初診日証明は、実務的には非常にハードルが高く、現実性が低い方法です。
今回の記事では、「第三者証明を出せばなんとかなる」という誤解を避けるために、制度上の取り扱いと実務の実情を整理していきます。


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第三者証明とは何か

第三者証明とは、初診病院受診の事実を、当時の状況を実際に知っている第三者が証言することで、初診日を証明しようとする方法です。

たとえば、友人、会社の上司や同僚などが、 「〇年〇月頃、この病気で〇〇病院に通院していた」 という事実を証明するケースが該当します。

勤務中に突然倒れ、同僚が病院に連れて行ったようなケースでは、 当時一緒にいた方が証言者となる場合があります。


通達上の原則的な取り扱い

① 初診日が20歳前の場合

初診日が20歳前の年金制度未加入期間にある場合(20歳前障害基礎年金)については、
第三者証明のみでも、総合判断により初診日が認定される可能性があるとされています。

② 初診日が20歳以後・厚生年金期間の場合

この場合は、第三者証明に加えて、他の客観的資料が必要とされています。
また、原則として複数名分の第三者証明が必要です。

ただし、内容が非常に具体的で、医療機関受診に至る経過や当時の状況が明確に記載されており、
相当程度の信頼性が認められる場合には、1枚でも認められる可能性があるとされています。

③ 三親等以内の親族は不可

両親、祖父母、兄弟姉妹など、三親等以内の親族による第三者証明は認められません。
利害関係が強く、事実と異なる証明が行われる可能性があるためです。

④ 5年以内に聞いた話は不可

請求時からおおむね5年以内に「見聞きした内容」に基づく証明は、原則として認められません。
本人から最近聞いた話をもとに書いてもらう証明は、証拠性が否定されます。


第三者証明に求められる記載内容

第三者証明書には、次のような詳細な記載が求められます。

  • 知ったきっかけ、請求者との関係
  • 病名、初診日、受診した医療機関名・所在地
  • 発病から受診までの症状経過
  • 日常生活への支障
  • 受診のきっかけ、医師からの指示内容
  • 証明者の氏名・住所・連絡先

このように求められる情報量が非常に多く、
古い記憶を正確に、具体的に書ける第三者はほとんどいないのが実情です。

あいまいな表現や、本人の指示に基づいて書かれた内容では、
信頼性が低いと判断され、初診日証明として認められません。


例外的に有効となるケース|医療従事者による第三者証明

実務上、第三者証明で比較的可能性があるのが、当時の医療従事者による証明です。

医師や看護師など、当該医療機関で実際に勤務していた医療従事者が、 「〇年〇月頃に受診し、こういった治療を行っていた」 と証言する場合、その証明は医証(受診状況等証明書)と同等に扱われます。

ただし、現実的には、医療従事者が個々の患者を記憶しているケースは稀であり、
受診以前からの個人的な関係性がある場合など、かなり限定的な状況でのみ成立する方法です。


まとめ|第三者証明は「最後の手段」、安易に頼らないことが重要

第三者証明は、制度上は初診日証明の一手段として用意されていますが、
実務的には非常にハードルが高く、認定に結びつくケースは多くありません

年金事務所ではテンプレート的に案内されることが多い方法ですが、
出す前に、本当に他の証明方法がないのかを整理することが重要です。

他院の記録、診察券、紹介状、健康診断結果など、
使える資料を総動員して初診日を証明することが基本となります。

第三者証明を検討する段階に来ている場合は、
すでに専門家の関与が必要なケースであることが多いといえます。


次回予告

次回【第11回】では、「発達障害や知的障害と精神疾患が併発している場合の初診日の取り扱い」について解説します。

2026年01月12日 10:00
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