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初診日変更を指示された返戻を覆し認定|相当因果関係を証明して障害厚生年金3級が遡及認定された事例

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今回は、障害年金の審査中に「相当因果関係が認められないため初診日を変更する」という返戻(へんれい)が出たものの、医師の意見書により相当因果関係を証明し、当初申し立てていた初診日が認められた事例をご紹介します。

初診日の扱いは、障害年金の審査において最重要論点の一つです。
特に、初診日が厚生年金期間か国民年金期間かで結果が大きく変わるケースでは、返戻対応がそのまま認定結果に直結します。

本件では、審査側から「初診日は国民年金期間の受診日」と判断され、障害基礎年金への請求を促される内容の返戻が届きました。
しかし、当初申し立てていた初診日を最後まで主張し、結果として障害厚生年金3級が遡及で認定された事例です。


どのような返戻だったのか

事案の概要(ご相談者様の状況)

  • 傷病名:乳がん(骨転移・リンパ転移あり)
  • 年齢:50代
  • 性別:男性
  • 就労状況:無職
  • 請求:障害厚生年金
  • 認定結果:障害厚生年金3級(遡及認定)

初診日の争点(厚生年金期間か国民年金期間か)

本件では、初診日を令和2年12月(A病院)として申し立てていました。

しかし、審査側が返戻で指示してきたのは、令和3年4月(B病院)を初診日とするという内容でした。

そして、この2つの受診日の間には、重大な違いがありました。

  • A病院受診(令和2年12月)=厚生年金期間
  • B病院受診(令和3年4月)=国民年金期間

つまり、審査側の指示どおりに初診日を変更してしまうと、等級が2級に認定されることは想定されなかったため、障害年金自体が認定される可能性が極めて低くなるケースでした。

審査側が「相当因果関係なし」と判断した理由

審査側がB病院を初診日と主張してきた理由は、受診状況等証明書の記載内容にありました。

A病院の受診状況等証明書には、傷病名が「腰痛」としか記載されていませんでした。

また、B病院の受診状況等証明書でも傷病名は「腰痛症」となっていましたが、こちらには「骨転移の疑い」との記載がありました。

この記載の差により、審査側は

  • A病院受診時点の「腰痛」
  • B病院受診時点の「骨転移の疑いを伴う腰痛」

を別のものとして捉え、障害年金上の相当因果関係が認められないと判断したものと考えられます。

返戻文書の内容(原文要旨)

返戻文書の内容は、以下のとおりでした。

「審査の結果、初診日はB病院受診日である令和3年4月と判断しました。(障害認定日は令和4年10月)本初診日は国民年金期間によるものとなりますので、障害基礎年金への請求等をご検討ください。」

あわせて返戻には、

  • 主治医への状態確認の照会(医師照会)
  • 初診日が変更となることによる診断書の取り直し(別日の診断書)の指示

なども含まれていました。


どのような対応をしたのか

結論:初診日変更には了承せず、当初の初診日を最後まで主張した

本件では、返戻の内容に了承せず、当初から主張していた令和2年12月の初診日を最後まで主張する方針を取りました。

その理由は明確で、審査側の指示どおりに初診日を変更してしまうと、障害年金の認定がほぼ想定されなくなる状況だったためです。

相当因果関係を証明するために行ったこと(主治医意見書の取得)

本件で行った中心的な対応は、主治医からの意見書(回答書)の取得でした。

ここで重要だったのは、単に医師に自由記載で書いてもらうのではなく、こちらで質問票を作成し、それに回答していただく形式を取った点です。

質問票では、複数の質問項目を用意し、医学的に判断していただく形で作成しました。

その中でも中心となった質問は、次の趣旨です。

「令和2年12月時点の腰痛の原因が、今回の乳がんおよびその骨転移によるものであると医学的に想定できるか」

医師の回答内容(要旨)

主治医からは、腫瘍の進行度合いから見ても、数年前から転移していたことが読み取れる旨を、書面で示していただきました。

これにより、

  • 令和2年12月時点の腰痛
  • 令和3年4月時点の骨転移の疑いを伴う腰痛

は別の病気ではなく、同一傷病(乳がんの骨転移)として連続していると医学的に説明できる形になりました。

この回答書を、返戻への回答資料として審査側に提出しました。

医師照会への対応

なお、本件では返戻に付随して、医師照会も行われました。

医師照会は、障害年金の手続きでは比較的よく見られるもので、一般状態や心身の状態を確認するために行われます。

医学的判断が大きく影響するため、こちらから特別な依頼をすることはなく、医学的見地に基づいて記載していただくようお願いしました。


どのような結果だったのか

主治医の意見書(回答書)を提出した結果、審査側は当初の判断を改め、

  • 審査側が主張していたB病院(令和3年4月)初診
  • ではなく、当初主張していたA病院(令和2年12月)初診

として認定されました。

その結果、

  • 障害厚生年金3級が遡及して認定

となりました。


この事例から分かること(所感・解説)

「相当因果関係がない」とされる返戻は、初診日変更を迫る局面となる

初診日が争点になる返戻の中でも、特に難しいのが

  • 「相当因果関係が認められない」
  • 「別傷病として扱う」

という判断が含まれるケースです。

このタイプの返戻では、審査側から初診日変更が指示されることがあり、対応を誤ると結果が大きく変わります。

初診日変更に安易に応じると、年金種別そのものが変わることがある

本件では、初診日が

  • 厚生年金期間(令和2年12月)
  • 国民年金期間(令和3年4月)

のどちらになるかで、障害厚生年金としての認定可能性が大きく変わるケースでした。

そのため、返戻に記載された内容をそのまま受け入れるのではなく、医学的根拠を示して押し返す対応が必要でした。

相当因果関係は「医師に任せる」のではなく、質問設計が重要

相当因果関係の証明は、医師に自由記載で依頼すると、

  • 審査で使える形にならない
  • 争点に正面から答えていない
  • 結論が曖昧になる

ということが起こり得ます。

本件では、質問票を作成し、争点である

  • 令和2年12月の腰痛が、乳がんの骨転移由来と医学的に想定できるか

を明確に確認できる形に整えたことが、結果につながったと考えられます。

返戻対応は時間がかかることがある(しかし、結果が変わる)

本件では、請求から返戻文書が届くまでが約2か月でした。

また、主治医の協力を得るための準備に時間を要し、返戻への回答までに約1か月かかりました。

その後、結果が出るまでにさらに2か月以上を要しており、審査は長期化しました。

しかし、根気強く対応したことで、希望していた結果につながった事例です。


よくあるご質問(FAQ)

Q1. 相当因果関係が認められないと言われたら、初診日は変更しなければいけませんか?

A. 必ずしも変更しなければならないわけではありません。
審査側が相当因果関係を否定して初診日変更を指示してきた場合でも、医学的根拠を示すことで当初主張していた初診日が認められるケースがあります。

Q2. 受診状況等証明書に「腰痛」としか書かれていないと、初診日として認められないのでしょうか?

A. そのままだと不利になる可能性があります。
ただし、後の診断や検査結果、医師の意見書等によって「当時の腰痛が骨転移由来だった」と医学的に説明できれば、初診日として認められる可能性があります。

Q3. 相当因果関係を証明するには、どのような資料が有効ですか?

A. こちらは非常にケースバイケースの判断となります。
今回のケースでは主治医による意見書(回答書)を採用しました。
争点となっている症状が「後に判明した傷病の一部として説明できるか」を、医学的根拠に基づいて書面で示してもらうことが重要です。

Q4. 医師に意見書を依頼する場合、自由記載でお願いしてもいいですか?

A. だめではありませんが、想定する内容と異なる内容となってしまう場合や、そもそも主治医の先生の負担が大きくなるため、質問票形式をおすすめいたします。
本件のように、こちらで的確な質問票を作成し、争点に対して医師が明確に回答できる形に整えることで、相当因果関係の主張が通りやすくなります。

Q5. 返戻で「障害基礎年金を検討してください」と言われたら、厚生年金での認定はもう無理ですか?

A. その時点で確定するわけではありません。
初診日が厚生年金期間中であることを医学的・資料的に説明できれば、返戻後でも障害厚生年金として認定される可能性があります。
ただし、根拠の乏しいでは主張審査側の判断が変わらないのが一般的です。

Q6. 返戻対応をすると審査が長期化することはありますか?

A. はい、基本的に審査期間は長くなります。
特に相当因果関係のように医学的判断が必要な論点では、医師の協力を得る準備や照会対応も含め、審査が長期化することがあります。
ただし、返戻対応によって結果が大きく変わることもあるため、時間よりも慎重な対応を行うことが重要です。

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