経営戦略型就業規則はここが違う!
誰に適用される就業規則なのか明確にする
就業規則が誰に適用される就業規則なのか、規定が明確でないと…
パートタイマーの社員から、「退職金の支給を要求された。」、「特別休暇の取得を要求された。」など、正社員と同じ処遇を求められてしまった。
経営戦略型就業規則ではこうなる!
(適用範囲)
この規則は、株式会社○○○○(以下「会社」という)の正社員に適用する。
(正社員以外の適用)
正社員以外の社員の就業については、この規則は適用せず、別に定める規則による。
(正社員の定義)
この規則の適用を受ける正社員(以下、単に「社員」とする)とは、第10条に定める手続きを経て、会社と期間の定めなく(定年を除く)雇い入れられる労働契約を締結し、会社の業務に従事する者をいう。
別途、「パートタイマー就業規則」を作成する。 |
ここが違う!
社員のさまざまな処遇については、個別の労働契約よりも就業規則の規定が優先されます。
就業規則の規定をどのような社員に適用するのかが明確でなければ、原則的にすべての社員に適用されてしまいます。
賃金、休日、退職金など通常正社員とパートタイマーとで処遇が異なるものについては、適用する就業規則をそれぞれに作成し、明確に規定しておきましょう。
人事異動を拒否した社員
マイホームを新築して間もない社員から転勤を拒否されてしまいました。
そんな会社の就業規則は・・・
(人事異動)
1 会社は、業務上必要がある場合は、社員の就業する場所又は従事する業務の変更を命じることがある。 |
経営戦略型就業規則ではこうなる!
(異 動)
1 会社は、業務上必要があるときは、社員に異動を命じることがある。
2 前項の場合、社員は正当な理由がなければ、これを拒むことはできない。 |
ここが違う!
会社には配転命令権があります。就業規則に「正当な理由が無い場合は、拒否できない」と具体的な規定を設け、会社の社員に対する配転命令権を明確にしましょう。
社員が自己都合退職しても業務に支障が生じないような規定になっているか
とある会社の就業規則は・・・
(退 職)
前条に定めるもののほか、従業員が次のいずれかに該当するときは、退職とする。
①退職を願い出て会社から承認されたとき、または退職願を提出して14日を経過したとき
②期間を決めて雇用されている場合、その期間を満了したとき
③第9条に定める休職期間が満了し、なお休職事由が消滅しないとき
④死亡したとき |
退職に関する定めをこれしかおいていないということ自体に大いに問題がありそうです。
経営戦略型就業規則ではこうなる!
(退 職)
社員が次の各号のいずれかに該当するに至ったときはその日を退職の日とし、その日の翌日に社員としての身分を失う。
①社員が退職を願い出て会社と協議の上決定した退職日
―中略―
(自己都合退職)
―中略―
2 前項の規定により退職願を提出した者は、退職の日までは会社の指示する業務に服さなければならない。
3 前2項の場合において、社員は退職の日までの間に従前の職務について後任者への引継ぎを完了し、業務に支障をきたさぬよう、専念しなければならない。
4 退職予定者が前項の引き継ぎを怠った場合には、退職金規程の定めに従って退職手当の全部又は一部を支給しないことがある。
5 会社の営業・顧客に関する情報の秘密保持に関する誓約は、雇用関係終了後も継続して適用される。
-以下略- |
ここが違う!
先ほどの某会社の就業規則では、明らかに規定が足りません。例を挙げると、
・業務の正常な引継ぎを担保する定めがありません。
・退職後も引き続き会社の機密を保持するような規定も必要です。
何よりも、社員が自己都合退職をする場合、多くの場合会社にとっては「想定外」の事態ですから、会社側にも準備をする時間がほしいものです。
また、退職願を出した社員に対して、「退職日までは
従前の業務に就くように」と規定している就業規則もしばしば見られますが、すでに退職願を提出した社員をそのまま「従前の業務」に就かせておいてよいのでしょうか。
少なくとも他の業務に転換させる必要が生じる可能性に備えておかなくてはいけません。
会社で働く社員のルールを規定する就業規則の役割は大変重要です。
就業規則に定めることなく、これまでの社内慣例を根拠にして「うちの会社はこうすることになっている。」「いままでもこうしてきた。」といったことは通用しません。
就業規則の作成にあたっては会社のルールがはっきりとわかるようにすること、そのルールが法律に適合していることが大切です。
そのような前提を踏まえた上で、会社経営の向上に資するような就業規則を作り上げていくことが必要なのではないでしょうか。
経営戦略型就業規則があなたの会社を守ります!