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精神の障害|発達障害

発達障害の認定基準
障害年金の等級の目安と認定のポイント

ASD(自閉スペクトラム症)・ADHD・学習障害などの発達障害の方は、障害年金の対象になる可能性があります。大人になってから診断された方や、知能指数が高い方も対象になり得ます。このページでは、認定基準と等級判定ガイドラインにもとづく等級の目安、初診日の考え方、申請のポイントを、障害年金を専門に扱う社会保険労務士が解説します。

障害年金の等級と制度の基本

発達障害(自閉スペクトラム症・ASD、注意欠陥多動性障害・ADHD、学習障害・LDなど)は、精神の障害として障害年金の認定対象です。検査数値ではなく、社会性やコミュニケーションの困難によって日常生活にどれだけ支障が出ているかを中心に総合的に判定されます。

発達障害|等級の目安

障害認定基準では、発達障害の各等級に相当する状態が次のように例示されています。

発達障害の等級の例示
1級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が欠如しており、かつ、著しく不適応な行動がみられるため、日常生活への適応が困難で常時援助を必要とするもの
2級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が乏しく、かつ、不適応な行動がみられるため、日常生活への適応にあたって援助が必要なもの
3級 発達障害があり、社会性やコミュニケーション能力が不十分で、かつ、社会行動に問題がみられるため、労働が著しい制限を受けるもの(障害厚生年金のみ)
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IQが高くても対象になり得ます。認定基準には「たとえ知能指数が高くても社会行動やコミュニケーション能力の障害により対人関係や意思疎通を円滑に行うことができないために日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定を行う」と明記されています。学歴や知能検査の数値だけで判断されるわけではありません。

等級判定ガイドラインによる「目安」

発達障害も、他の精神の障害と同じく「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」にもとづいて判定されます。

診断書の2つの評価

精神の障害用の診断書には、日常生活能力の判定(7項目・4段階)日常生活能力の程度(5段階)という2つの評価があります。判定の7項目は「適切な食事/身辺の清潔保持/金銭管理と買い物/通院と服薬/他人との意思伝達及び対人関係/身辺の安全保持及び危機対応/社会性」で、これを4段階(1〜4点)で評価した平均点と、全般的な制限の程度(1)〜(5)の組み合わせで、等級の目安が決まります。いずれも「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して評価されます。

障害等級の目安表

障害等級の目安(判定平均 × 程度)
3.5以上 程度(5)→ 1級/程度(4)→ 1級または2級
3.0〜3.5未満 程度(5)→ 1級または2級/程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級
2.5〜3.0未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級
2.0〜2.5未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5〜2.0未満 程度(3)→ 3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5未満 程度(2)→ 3級非該当/程度(1)→ 3級非該当

発達障害で特に考慮されるポイント

知能指数が高くても、対人関係や意思疎通を円滑に行えないなど日常生活能力が低い場合は、それが考慮されます。
臭気・光・音・気温などの感覚過敏があり日常生活に制限が認められれば、考慮されます。
不適応行動の有無、発育・養育歴、教育歴、療育の状況が考慮されます。
障害者雇用や就労継続支援A型・B型での就労は「1級または2級の可能性を検討する」とされ、一般雇用でも職場での援助・配慮の実態が確認されます。
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目安表はあくまで参考で、症状の経過・生活環境・就労状況などを含めた総合評価で最終判定されます。また、障害基礎年金(初診日が国民年金)の場合、表中の「3級」は「2級非該当」となります。3級は障害厚生年金のみの等級です。

認定の方法・申請のポイント

大人になってから診断された場合の初診日

発達障害は生まれつきの特性ですが、認定基準では「知的障害を伴わない発達障害で、20歳以降に初めて受診した場合は、その受診日が初診日」とされています。会社員として厚生年金に加入している間に初めて受診した場合は、3級まである障害厚生年金の対象になり得ます。なお、知的障害を伴う場合は知的障害と同様に出生日が初診日として扱われ、20歳前障害基礎年金の対象となります。

うつ病などの二次障害がある場合

発達障害と他の精神疾患(うつ病・不安障害など)が併存しているときは、別々に認定(併合)するのではなく、諸症状を総合的に判断して認定するとされています。二次障害による生活の支障も含めて評価されます。

診断書のポイント

精神の障害は「精神の障害用の診断書」を使用します。等級判定に直結するのは次の点です。

対人関係・意思疎通の困難さが具体的なエピソードとして記載されているか(職場でのトラブル、指示の理解が難しい、雑談ができない等)。
感覚過敏がある場合、その内容と生活への影響が記載されているか。
就労している場合、職場で受けている援助・配慮の内容が記載されているか。
発育歴・教育歴が「病歴・就労状況等申立書」と矛盾なく整理されているか。

よくあるご質問

Q大人になってから発達障害と診断されました。申請できますか?

A申請できます。知的障害を伴わない発達障害で20歳以降に初めて受診した場合は、その受診日が初診日となります。厚生年金加入中の受診であれば、3級まである障害厚生年金の対象になり得ます。

Q大学を卒業していて、IQも平均以上です。対象になりますか?

A認定基準には、知能指数が高くてもコミュニケーション能力の障害により日常生活に著しい制限を受けることに着目して認定すると明記されています。学歴やIQだけで判断されるわけではありません。

QADHDだけの診断でも対象になりますか?

A注意欠陥多動性障害(ADHD)も認定基準に定める発達障害に含まれます。不注意や衝動性により日常生活・就労にどれだけ支障が出ているかがポイントになります。

Qうつ病も併発しています。どちらで申請すべきですか?

A発達障害と他の精神疾患が併存する場合は、別々ではなく諸症状を総合的に判断して認定されます。二次障害の症状も含めて診断書に反映してもらうことが重要です。

Q障害者雇用で働いています。もらえませんか?

A障害者雇用での就労は「1級または2級の可能性を検討する」とガイドラインに明記されています。働いていることだけを理由に不支給になるわけではありません。

 
 

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出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害(令和4年4月1日改正版)、厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月施行)。本ページは公式基準にもとづく一般的な解説です。実際の等級は診断書等をもとに日本年金機構の審査により判定されます。

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