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精神の障害|気分障害

うつ病・双極性障害の認定基準
障害年金の等級の目安と認定のポイント

うつ病や双極性障害(躁うつ病)で療養中の方は、障害年金の対象になる可能性があります。精神の障害は検査数値では測れないため、日常生活にどれだけ支障が出ているかを中心に、症状の経過や就労状況もあわせて総合的に判定されます。平成28年からは全国統一の「等級判定ガイドライン」が用いられており、診断書の評価の組み合わせで等級の目安がわかります。このページでは、認定基準とガイドラインにもとづく等級の目安、申請のポイントを障害年金を専門に扱う社会保険労務士が解説します。

障害年金の等級と制度の基本

障害年金には、初診日に加入していた制度に応じて「障害基礎年金(1級・2級)」と「障害厚生年金(1級〜3級)」があります。うつ病・双極性障害(気分障害)は精神の障害として審査され、検査数値ではなく日常生活にどれだけ支障が出ているかを中心に、症状の経過・治療状況・就労状況などから総合的に等級が判定されます。

うつ病・双極性障害|等級の目安

障害認定基準では、気分(感情)障害の各等級に相当する状態が次のように例示されています。

気分(感情)障害の等級の例示
1級 高度の気分、意欲・行動の障害及び高度の思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり、頻繁に繰り返したりするため、常時の援助が必要なもの
2級 気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、かつ、これが持続したり又は頻繁に繰り返したりするため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 気分、意欲・行動の障害及び思考障害の病相期があり、その病状は著しくないが、これが持続したり又は繰り返し、労働が制限を受けるもの(障害厚生年金のみ)
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気分障害ならではの認定の考え方。うつ病や双極性障害は、症状の重い時期と軽い時期を繰り返すのが特徴です。認定基準にも「現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過及びそれによる日常生活活動等の状態を十分考慮する」と明記されています。診断書を書いてもらう時点でたまたま調子が良くても、それだけで判断されるわけではありません。

等級判定ガイドラインによる「目安」

精神の障害は、平成28年9月から「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を用いて全国統一の運用がされています。診断書(精神の障害用)の2つの評価を組み合わせて、等級の目安が決まります。

診断書の2つの評価とは

日常生活能力の判定(7項目・4段階)…以下の7項目について、「できる」〜「助言や指導をしてもできない」の4段階で医師が評価します。4段階を1〜4点に置き換えた平均点が使われます。

適切な食事
身辺の清潔保持
金銭管理と買い物
通院と服薬
他人との意思伝達及び対人関係
身辺の安全保持及び危機対応
社会性(銀行での金銭の出し入れや公共施設等の利用など)

日常生活能力の程度(5段階)…日常生活全般の制限の程度を(1)〜(5)の5段階で評価したものです。数字が大きいほど制限が重いことを示します。

障害等級の目安表

2つの評価の組み合わせによる目安は次のとおりです(ガイドライン〔表1〕)。

障害等級の目安(判定平均 × 程度)
3.5以上 程度(5)→ 1級/程度(4)→ 1級または2級
3.0〜3.5未満 程度(5)→ 1級または2級/程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級
2.5〜3.0未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級
2.0〜2.5未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5〜2.0未満 程度(3)→ 3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5未満 程度(2)→ 3級非該当/程度(1)→ 3級非該当
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この表はあくまで目安で、療養状況・生活環境・就労状況などを含めた総合評価で最終判定されます(目安と異なる結果もあり得ます)。また、障害基礎年金(初診日が国民年金)の場合、表中の「3級」は「2級非該当」となります。3級は障害厚生年金のみの等級です。

認定の方法・申請のポイント

働いていても対象になり得ます

「働いている=不支給」ではありません。ガイドラインでは、労働に従事していることをもって直ちに日常生活能力が向上したものと捉えないとされ、仕事の種類・内容・職場で受けている援助・他の従業員との意思疎通の状況などを確認して判断することになっています。特に障害者雇用や就労継続支援A型・B型で働いている場合は「1級または2級の可能性を検討する」とガイドラインに明記されています。一般雇用でも、同程度の援助を受けていれば2級の可能性が検討されます。

初診日の考え方

初診日は「その傷病で初めて医師の診療を受けた日」です。精神科・心療内科に限らず、不眠や食欲不振などで最初に内科を受診した日が初診日となるケースもあります。転院している場合も、一番最初に受診した医療機関の日付が初診日です。初診日の特定と証明は、精神の障害年金で最もつまずきやすいポイントです。

適応障害・不安障害など「神経症」の扱い

認定基準では、神経症(不安障害・パニック障害・適応障害など)は原則として認定の対象外とされています。ただし、その臨床症状から判断して精神病の病態を示しているものについては、統合失調症または気分(感情)障害に準じて取り扱うとされています。診断名が途中でうつ病等に変わっている場合も含め、経過の整理が重要です。

診断書のポイント

精神の障害は「精神の障害用の診断書」を使用します。等級判定に直結するのは次の点です。

日常生活能力の判定・程度が、実際の生活の困難さと合っているか。評価は「単身で生活するとしたら可能かどうか」で判断されるため、家族の支援を受けている場合はその実態が正しく伝わっているか。
症状の経過(病相の期間・頻度・最近1年程度の変動)が具体的に記載されているか。
就労している場合、仕事の内容や職場で受けている援助・配慮が記載されているか。
日常生活の状況を医師に正確に伝えられているか。短い診察時間では伝わりきらないことも多く、生活状況をまとめたメモを渡すなどの工夫が有効です。

よくあるご質問

Q働いていると障害年金はもらえませんか?

A就労していることだけを理由に不支給になるわけではありません。ガイドラインでは、仕事の内容や職場で受けている援助を確認して判断するとされ、障害者雇用や就労継続支援A型・B型での就労は「1級または2級の可能性を検討する」と明記されています。

Q精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても申請できますか?

A手帳がなくても申請できます。障害年金と手帳は別の制度で、手帳の等級と障害年金の等級も一致するとは限りません。

Q適応障害・不安障害と診断されています。対象になりますか?

A神経症は原則として対象外とされていますが、臨床症状から精神病の病態を示している場合は気分障害に準じて扱われます。また、経過の中で診断名がうつ病などに変わっているケースも多く、まずは通院の経過を整理することが大切です。

Q調子が良い時期と悪い時期を繰り返しています。診断書のタイミングで不利になりませんか?

A気分障害は病相を繰り返す特性があるため、認定基準に「現症のみによって認定することは不十分であり、症状の経過を十分考慮する」と明記されています。悪い時期を含めた経過が診断書に反映されるよう、医師に生活状況を正確に伝えることが重要です。

Q家族と同居して支えてもらっています。一人暮らしではないと不利ですか?

A日常生活能力の評価は「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して判断されます。家族の援助を受けて生活できている場合は、その援助の実態を診断書に正しく反映してもらうことが大切です。

 
 

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出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害(令和4年4月1日改正版)、厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月施行)。本ページは公式基準にもとづく一般的な解説です。実際の等級は診断書等をもとに日本年金機構の審査により判定されます。

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