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精神の障害|高次脳機能障害

高次脳機能障害の認定基準
障害年金の等級の目安と認定のポイント

交通事故や脳卒中などの後遺症として、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害が残った方は、高次脳機能障害として障害年金の対象になる可能性があります。外見からわかりにくい障害だからこそ、日常生活の変化を正しく伝えることが重要です。このページでは、認定基準にもとづく等級の目安、申請のポイントを、障害年金を専門に扱う社会保険労務士が解説します。

高次脳機能障害と障害年金の基本

高次脳機能障害とは、認定基準で「脳損傷に起因する認知障害全般を指し、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが主な症状」とされています。交通事故などの頭部外傷、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、低酸素脳症、脳炎などが原因となり、障害年金では「症状性を含む器質性精神障害」として第8節(精神の障害)で認定されます。

高次脳機能障害|等級の目安

障害認定基準では、症状性を含む器質性精神障害の各等級に相当する状態が次のように例示されています。

症状性を含む器質性精神障害の等級の例示
1級 高度の認知障害、高度の人格変化、その他の高度の精神神経症状が著明なため、常時の援助が必要なもの
2級 認知障害、人格変化、その他の精神神経症状が著明なため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 認知障害、人格変化はないが、その他の精神神経症状があり、労働が制限を受けるもの
認知障害のため、労働が著しい制限を受けるもの(いずれも障害厚生年金のみ)
障害手当金 認知障害のため、労働が制限を受けるもの
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「見えない障害」でも認定されます。高次脳機能障害は外見からはわかりにくく、本人にも自覚(病識)がないことが少なくありません。だからこそ、日常生活での具体的な変化(同じことを何度も聞く、約束を忘れる、感情を抑えられない、段取りが立てられない等)を診断書に反映させることが認定の鍵になります。

等級判定ガイドラインによる「目安」

高次脳機能障害も、精神の障害用診断書を用いる場合は「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」にもとづいて判定されます。

診断書の2つの評価

精神の障害用の診断書には、日常生活能力の判定(7項目・4段階)日常生活能力の程度(5段階)という2つの評価があります。判定の7項目は「適切な食事/身辺の清潔保持/金銭管理と買い物/通院と服薬/他人との意思伝達及び対人関係/身辺の安全保持及び危機対応/社会性」で、これを4段階(1〜4点)で評価した平均点と、全般的な制限の程度(1)〜(5)の組み合わせで、等級の目安が決まります。いずれも「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して評価されます。

障害等級の目安表

障害等級の目安(判定平均 × 程度)
3.5以上 程度(5)→ 1級/程度(4)→ 1級または2級
3.0〜3.5未満 程度(5)→ 1級または2級/程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級
2.5〜3.0未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級
2.0〜2.5未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5〜2.0未満 程度(3)→ 3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5未満 程度(2)→ 3級非該当/程度(1)→ 3級非該当

高次脳機能障害で特に考慮されるポイント

記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害などの認知障害の程度が考慮されます。
失語・失認・失行などの症状や、てんかん発作を併発している場合は、それらも含めて総合的に判断されます。
就労している場合も、仕事の内容や職場で受けている援助・配慮の実態が確認されます。
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目安表はあくまで参考で、症状の経過・生活環境・就労状況などを含めた総合評価で最終判定されます。また、障害基礎年金(初診日が国民年金)の場合、表中の「3級」は「2級非該当」となります。3級は障害厚生年金のみの等級です。

認定の方法・申請のポイント

初診日と障害認定日

初診日は、原因となった傷病(交通事故・脳卒中など)で初めて医師の診療を受けた日です。障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日で、その時点の症状で認定されます。事故や発症から年数が経っていても、さかのぼって請求(遡及請求)できる場合があります

身体の麻痺や失語症を伴う場合

脳損傷では、高次脳機能障害とあわせて肢体の麻痺失語症が残ることがあります。肢体の麻痺は「肢体の障害」、失語症は「音声又は言語機能の障害」としてそれぞれの基準で認定され、併合によってより上位の等級になる可能性があります。複数の障害がある場合は、まとめてご相談ください。

診断書のポイント

精神の障害は「精神の障害用の診断書」を使用します。等級判定に直結するのは次の点です。

神経心理学的検査(WAIS、WMS-R等)の結果が記載されているか。
日常生活での具体的なエピソード(何度も同じことを聞く・買い物で金銭管理ができない・怒りっぽくなった等)が反映されているか。
受傷・発症前との変化が伝わる内容になっているか。ご本人に自覚がない場合も多いため、ご家族から見た変化を医師に伝えることが重要です。
肢体の麻痺や失語症がある場合、それぞれの診断書(肢体用・言語用)の作成も検討されているか。

よくあるご質問

Q外見は元気に見えると言われます。それでも対象になりますか?

A高次脳機能障害は外見からわかりにくい障害ですが、記憶障害や遂行機能障害などにより日常生活・就労に支障があれば認定の対象です。日常の具体的なエピソードを診断書に反映させることが重要です。

Q事故から5年経っています。今からでも申請できますか?

A申請できます。障害認定日(原則、初診日から1年6か月経過日)時点の診断書が取得できれば、さかのぼった請求も検討できます(年金の時効により支払いは最大5年分)。

Q半身麻痺もあります。どうなりますか?

A肢体の麻痺は「肢体の障害」として別の基準で認定され、高次脳機能障害と併合してより上位の等級になる可能性があります。両方の診断書を用意する形になります。

Q本人に障害の自覚がなく、困っているのは家族です。

A高次脳機能障害では病識がないケースが多くあります。ご家族から見た受傷前との変化をメモにまとめて医師に伝えることで、実態に沿った診断書につながります。手続きもご家族と連携して進められます。

Q失語症が一番重い症状です。

A失語症は「音声又は言語機能の障害」の基準でも認定されます。高次脳機能障害(精神の障害)と併合できる場合があるため、症状の全体像を整理してから請求方針を決めることをおすすめします。

 
 

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出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害(令和4年4月1日改正版)、厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月施行)。本ページは公式基準にもとづく一般的な解説です。実際の等級は診断書等をもとに日本年金機構の審査により判定されます。

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