高次脳機能障害と障害年金の基本
高次脳機能障害とは、認定基準で「脳損傷に起因する認知障害全般を指し、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などが主な症状」とされています。交通事故などの頭部外傷、脳梗塞・脳出血などの脳血管障害、低酸素脳症、脳炎などが原因となり、障害年金では「症状性を含む器質性精神障害」として第8節(精神の障害)で認定されます。
高次脳機能障害|等級の目安
障害認定基準では、症状性を含む器質性精神障害の各等級に相当する状態が次のように例示されています。
等級判定ガイドラインによる「目安」
高次脳機能障害も、精神の障害用診断書を用いる場合は「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」にもとづいて判定されます。
①診断書の2つの評価
精神の障害用の診断書には、日常生活能力の判定(7項目・4段階)と日常生活能力の程度(5段階)という2つの評価があります。判定の7項目は「適切な食事/身辺の清潔保持/金銭管理と買い物/通院と服薬/他人との意思伝達及び対人関係/身辺の安全保持及び危機対応/社会性」で、これを4段階(1〜4点)で評価した平均点と、全般的な制限の程度(1)〜(5)の組み合わせで、等級の目安が決まります。いずれも「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して評価されます。
②障害等級の目安表
③高次脳機能障害で特に考慮されるポイント
認定の方法・申請のポイント
初診日と障害認定日
初診日は、原因となった傷病(交通事故・脳卒中など)で初めて医師の診療を受けた日です。障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日で、その時点の症状で認定されます。事故や発症から年数が経っていても、さかのぼって請求(遡及請求)できる場合があります。
身体の麻痺や失語症を伴う場合
脳損傷では、高次脳機能障害とあわせて肢体の麻痺や失語症が残ることがあります。肢体の麻痺は「肢体の障害」、失語症は「音声又は言語機能の障害」としてそれぞれの基準で認定され、併合によってより上位の等級になる可能性があります。複数の障害がある場合は、まとめてご相談ください。
診断書のポイント
精神の障害は「精神の障害用の診断書」を使用します。等級判定に直結するのは次の点です。
よくあるご質問
Q外見は元気に見えると言われます。それでも対象になりますか?
A高次脳機能障害は外見からわかりにくい障害ですが、記憶障害や遂行機能障害などにより日常生活・就労に支障があれば認定の対象です。日常の具体的なエピソードを診断書に反映させることが重要です。
Q事故から5年経っています。今からでも申請できますか?
A申請できます。障害認定日(原則、初診日から1年6か月経過日)時点の診断書が取得できれば、さかのぼった請求も検討できます(年金の時効により支払いは最大5年分)。
Q半身麻痺もあります。どうなりますか?
A肢体の麻痺は「肢体の障害」として別の基準で認定され、高次脳機能障害と併合してより上位の等級になる可能性があります。両方の診断書を用意する形になります。
Q本人に障害の自覚がなく、困っているのは家族です。
A高次脳機能障害では病識がないケースが多くあります。ご家族から見た受傷前との変化をメモにまとめて医師に伝えることで、実態に沿った診断書につながります。手続きもご家族と連携して進められます。
Q失語症が一番重い症状です。
A失語症は「音声又は言語機能の障害」の基準でも認定されます。高次脳機能障害(精神の障害)と併合できる場合があるため、症状の全体像を整理してから請求方針を決めることをおすすめします。
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関連ページ
出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害(令和4年4月1日改正版)、厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月施行)。本ページは公式基準にもとづく一般的な解説です。実際の等級は診断書等をもとに日本年金機構の審査により判定されます。








