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精神の障害|統合失調症

統合失調症の認定基準
障害年金の等級の目安と認定のポイント

統合失調症で療養中の方は、障害年金の対象になる可能性があります。幻覚・妄想などの陽性症状だけでなく、意欲低下や引きこもりなどの陰性症状も認定で考慮されます。このページでは、認定基準と等級判定ガイドラインにもとづく等級の目安、申請のポイントを、障害年金を専門に扱う社会保険労務士が解説します。

障害年金の等級と制度の基本

障害年金には、初診日に加入していた制度に応じて「障害基礎年金(1級・2級)」と「障害厚生年金(1級〜3級)」があります。統合失調症は精神の障害として審査され、幻覚・妄想などの症状の有無だけでなく、日常生活にどれだけ支障が出ているかを中心に、発病からの経過もあわせて総合的に等級が判定されます。

統合失調症|等級の目安

障害認定基準では、統合失調症の各等級に相当する状態が次のように例示されています。

統合失調症の等級の例示
1級 高度の残遺状態又は高度の病状があるため、高度の人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験が著明なため、常時の援助が必要なもの
2級 残遺状態又は病状があるため、人格変化、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があるため、日常生活が著しい制限を受けるもの
3級 残遺状態又は病状があり、人格変化の程度は著しくないが、思考障害、その他妄想・幻覚等の異常体験があり、労働が制限を受けるもの(障害厚生年金のみ)
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経過全体を見て認定されます。認定基準には「統合失調症は、予後不良の場合もあり…発病時からの療養及び症状の経過を十分考慮する」と明記されています。診断書作成時点の症状だけでなく、入院歴や急性増悪の有無を含む経過全体が判断材料になります。

等級判定ガイドラインによる「目安」

精神の障害は、平成28年9月から「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」にもとづき全国統一の運用がされています。

診断書の2つの評価

精神の障害用の診断書には、日常生活能力の判定(7項目・4段階)日常生活能力の程度(5段階)という2つの評価があります。判定の7項目は「適切な食事/身辺の清潔保持/金銭管理と買い物/通院と服薬/他人との意思伝達及び対人関係/身辺の安全保持及び危機対応/社会性」で、これを4段階(1〜4点)で評価した平均点と、全般的な制限の程度(1)〜(5)の組み合わせで、等級の目安が決まります。いずれも「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して評価されます。

障害等級の目安表

障害等級の目安(判定平均 × 程度)
3.5以上 程度(5)→ 1級/程度(4)→ 1級または2級
3.0〜3.5未満 程度(5)→ 1級または2級/程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級
2.5〜3.0未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級
2.0〜2.5未満 程度(4)→ 2級/程度(3)→ 2級または3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5〜2.0未満 程度(3)→ 3級/程度(2)→ 3級または3級非該当
1.5未満 程度(2)→ 3級非該当/程度(1)→ 3級非該当

統合失調症で特に考慮されるポイント

陰性症状(自閉・感情の平板化・意欲の減退など)が持続的に常態化している場合は「1級または2級の可能性を検討する」とガイドラインに明記されています。派手な症状がなくても諦める必要はありません。
妄想・幻覚などの異常体験の有無・程度が考慮されます。
療養および症状の経過(急性増悪の有無など)や予後の見通しが考慮されます。
就労している場合も、仕事の内容や職場で受けている援助・配慮を確認して判断されます。障害者雇用や就労継続支援A型・B型での就労は「1級または2級の可能性を検討する」とされています。
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目安表はあくまで参考で、症状の経過・生活環境・就労状況などを含めた総合評価で最終判定されます。また、障害基礎年金(初診日が国民年金)の場合、表中の「3級」は「2級非該当」となります。3級は障害厚生年金のみの等級です。

認定の方法・申請のポイント

初診日の考え方

初診日は「その傷病で初めて医師の診療を受けた日」です。幻聴や不眠、抑うつなどの症状で最初に受診した日が対象になります。当初はうつ病や不眠症と診断され、後に統合失調症へ診断が変わった場合でも、一連の経過であれば最初に受診した日が初診日となるのが原則です。

陰性症状が中心の方も対象になり得ます

幻覚や妄想が目立たなくても、意欲の低下・引きこもり・感情の平板化などにより、食事や清潔保持、金銭管理、対人関係といった日常生活に大きな支障が出ている場合は、2級相当と判断される可能性があります。生活実態を診断書に正しく反映してもらうことが何より重要です。

診断書のポイント

精神の障害は「精神の障害用の診断書」を使用します。等級判定に直結するのは次の点です。

日常生活能力の判定・程度が、実際の生活の困難さと合っているか。評価は「単身で生活するとしたら可能かどうか」で判断されるため、家族の支援の実態が伝わっているか。
陰性症状による生活の支障(清潔保持ができない・金銭管理ができない・人と会えないなど)が具体的に記載されているか。
発病からの経過・入院歴・急性増悪の有無が正確に反映されているか。
就労している場合、仕事の内容や職場で受けている援助・配慮が記載されているか。

よくあるご質問

Q働いていると障害年金はもらえませんか?

A就労していることだけを理由に不支給になるわけではありません。ガイドラインでは仕事の内容や職場で受けている援助を確認して判断するとされ、障害者雇用や就労継続支援A型・B型での就労は「1級または2級の可能性を検討する」と明記されています。

Q幻聴や妄想は落ち着いていますが、意欲が出ず外出もできません。対象になりますか?

A陰性症状(意欲の減退・自閉など)が持続的に常態化している場合は「1級または2級の可能性を検討する」とガイドラインに明記されています。生活にどれだけ支障が出ているかが重要です。

Q最初はうつ病と診断されていました。初診日はいつになりますか?

A一連の病気の経過であれば、うつ病等と診断されていた時期を含め、最初に医療機関を受診した日が初診日となるのが原則です。カルテの保存状況も含め、早めの確認をおすすめします。

Q精神障害者保健福祉手帳を持っていなくても申請できますか?

A手帳がなくても申請できます。障害年金と手帳は別の制度で、等級も一致するとは限りません。

Q家族と同居して支えてもらっています。不利になりませんか?

A日常生活能力は「単身で生活するとしたら可能かどうか」を想定して評価されます。家族の援助を受けて生活できている場合は、その援助の実態を診断書に正しく反映してもらうことが大切です。

 
 

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出典:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」第8節 精神の障害(令和4年4月1日改正版)、厚生労働省「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」(平成28年9月施行)。本ページは公式基準にもとづく一般的な解説です。実際の等級は診断書等をもとに日本年金機構の審査により判定されます。

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