脳出血(左片麻痺)
障害の状態
- 脳出血による左片麻痺で、握力は右42kgに対し左は0kg
- 左下肢にも筋力低下があり、階段の昇降には手すりが必要
- タオルを絞る・ひもを結ぶなど、両手を使う日常動作の多くに支障
- 身体障害者手帳3級を取得
- 週2回のデイサービス利用と家族の支援で生活を維持
相談までの経緯
ご相談者様は、勤務先で働きながら生活されていた60代の男性です。令和2年1月、ご自宅で倒れているところをご家族が発見し、救急搬送先の病院で右被殻出血と診断されました。同日、緊急で脳内血腫除去の手術を受けましたが、術後は左半身に麻痺が残る結果となりました。
約2週間の入院を経て、リハビリを目的に別の病院へ転院。約3か月間の入院リハビリテーションを経て、令和2年5月にご自宅へ退院されました。退院後も週2回のリハビリ通院と月1回程度の受診を続けられましたが、左手はほとんど動かせず、歩行にも不安定さが残るなど、後遺障害と向き合う日々が続きました。
発病後もしばらくは勤務先に籍を置いたまま休職を続けていましたが、左半身の麻痺により職場復帰は叶わず、令和3年10月末に退職となりました。それ以降は就労しておらず、週2回のデイサービスを利用しながら、ご家族の支援を受けて生活を送られています。
ご本人を一人でご自宅に置いておくことが難しくなり、配偶者様が早期に年金を受け取る方法を年金事務所で相談されたこともありましたが、見込み額がごくわずかで生活の支えにはならないと分かり、いったんは断念されました。そうした中、ご家族から障害年金という制度があることを教えられ、当事務所にご相談くださいました。
対 応
初回のご相談では、発病の経緯や治療内容、現在の身体状況、就労状況などを詳しくお伺いしました。発病日・初診日は令和2年1月14日と明確であり、年金記録から当時は厚生年金保険に加入して勤務されていたことが確認できたため、障害厚生年金としての請求が可能なケースと判断しました。
今回の争点の一つは、障害認定日をどの時点でとらえるかという点でした。診断書には治療の効果が見込めなくなった時期の記載もありましたが、脳血管障害による肢体の障害は、原則として初診日から1年6か月を経過した日が障害認定日となります。当事務所では、この原則どおり令和3年7月14日を認定日ととらえて認定日請求の方針とし、認定日から一定期間内の状態を反映した診断書と、現在の状態を反映した診断書の2通を医師に作成していただきました。
また、ご本人の障害は左の上肢・下肢の両方に及んでいましたが、上肢の機能障害の方が下肢よりも重い状態でした。肢体の認定基準では、上肢と下肢で障害の程度が異なる場合、障害の重い方の肢を基準に等級を判断することとされているため、病歴・就労状況等申立書にその点を明記し、上肢の認定基準に基づいて判断していただくよう申し添えました。
令和5年2月に年金請求書を提出し、約1か月半という比較的短い審査期間を経て、障害厚生年金2級(障害基礎年金2級との同時決定)が認定されました。認定日にさかのぼって年金が支給されることとなり、初回の振込では遡及分を含めた金額が一括で入金されています。長期にわたるリハビリの末に後遺障害と向き合ってこられたご相談者様とご家族にとって、経済的な支えとなる結果をご報告できたことは、当事務所としても大きな励みになりました。
脳出血に関するポイント
障害認定日の考え方
脳出血や脳梗塞などの脳血管障害による肢体の障害では、初診日から1年6か月を経過した日、またはそれより前に症状が固定(治った)した場合はその日が「障害認定日」とされています。今回のケースでも、この原則に基づいて発病から1年6か月を経過した時点をとらえて認定日請求を行い、遡及支給につながりました。
上肢と下肢で障害の程度が異なる場合の等級判断
肢体の機能障害が上肢・下肢の広範囲にわたる場合であって、上肢と下肢とで障害の程度に差があるときは、認定基準上、障害の重い方の肢を基準に等級を判断するとされています。今回のケースでは左上肢の機能障害が下肢よりも重かったため、申立書にその点を明記し、上肢の認定基準に基づく判断を求めました。
関連動画
今回のケースは、障害認定日にさかのぼって請求する「認定日請求(遡及)」により遡及支給が実現した事例です。遡及請求の考え方や注意点についてより詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。
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