慢性腎不全(機能的片腎・慢性糸球体腎炎)
障害の状態
- 血清クレアチニン約4.9mg/dl、eGFR約10と高度な腎機能低下が持続
- 一般状態区分「ウ」に該当し、日中の50%以上は就床が必要な状態
- 倦怠感・食欲不振・吐き気・むくみ・足の攣りなど多彩な症状が持続
- 家庭内の温和な生活動作は可能でも、それ以上の活動は著しく制限される
- 既に不可逆的な末期腎不全に至り、1年以内に腎代替療法を要すると診断
相談までの経緯
40代の頃の健康診断で血尿・尿蛋白を指摘されたことがきっかけで、ご相談者様の腎臓の異常は徐々に明らかになっていきました。平成20年10月の健康診断でも同様の指摘を受けたことから、同年11月、総合病院の腎臓内科を受診。検査の結果、機能的な片腎であることが判明し、これが今回の障害の原因となりました。以降、3か月に1回のペースで通院しながら、塩分制限やたんぱく質制限を含む食事療法、薬物療法による治療を継続することになりました。
受診を始めた当初は排尿時の違和感や腰痛感といった軽い症状が中心でしたが、時間の経過とともに倦怠感や食欲不振、吐き気、脱力感などの症状が徐々に現れるようになりました。水分や塩分の多い食事をとると体重が増えたりむくみが出たりするようになり、体力の低下から長時間座っているだけでも疲れやすくなるなど、仕事や外出を含めた日常生活全般に支障が及ぶようになっていきました。平成25年頃からは受診間隔が2か月に1回となり、平成30年以降も腎機能の低下傾向は続きました。
令和3年からは毎月の受診が必要となり、同年7月には入院。その後も回復には至らず、令和5年2月末から3月上旬にかけて再入院となった際、数値の悪化から人工透析療法または腎移植のいずれかを検討するよう提案を受けました。ご家族で話し合った結果、配偶者をドナー候補とした腎移植の方向で検討を進めることとなり、大学病院でのクロスマッチ検査を経て手術が可能と判断されました。この間もご本人様は情報通信関連の企業への勤務とスーパーマーケットでのパート勤務を掛け持ちしながら生活を続けていましたが、疲れやすさや足のむくみ・つり、立ち仕事による腰痛の悪化など、体への負担は大きくなる一方でした。このような状況を受け、障害年金の請求について当事務所へご相談をいただきました。
対 応
初回のヒアリングでは、初診日から現在に至るまでの治療経過に加え、テレワークを中心とした勤務とスーパーでのパート勤務を掛け持ちしながら仕事を続けておられる就労状況、日常生活での制限の程度について詳しくお伺いしました。障害認定日(初診日から1年6か月を経過した平成22年5月頃)の時点では自覚症状が比較的軽度であったことが確認できたため、認定日にさかのぼる形での請求ではなく、現在の症状をもとに請求する事後重症請求の方針をご案内しました。
病歴・就労状況等申立書の作成にあたっては、発症から現在までの通院経過や治療内容の変化に加え、体力の低下に伴って仕事や日常生活にどのような支障が生じているかを、時系列に沿って具体的に記載するよう工夫しました。就労を継続されている場合、等級判定において不利に働くと誤解されがちですが、疲労やむくみを抱えながらもぎりぎりの状態で仕事を続けている実情を丁寧に伝えることを意識しました。
請求書は令和5年7月に提出し、途中、日本年金機構から審査に時間を要している旨の通知を受けながらも、約3か月半の審査期間を経て、障害厚生年金3級の認定を受けることができました。その後、ご相談者様は腎機能のさらなる低下により人工透析療法を開始されましたが、透析開始から3か月が経過した時点を基準として当事務所で額改定請求の手続きを行い、2級への改定が認められています。仕事を続けながらの請求は症状の重さが正しく伝わりにくい面がありますが、生活の実情を積み重ねて伝えることの大切さを改めて感じた事例でした。
慢性腎不全に関するポイント
腎疾患の認定基準について
腎疾患による障害年金の認定基準は、GFR区分や血清クレアチニン値などの検査数値と、日常生活の制限の程度を示す一般状態区分(ア〜オ)を組み合わせて等級が判断されるとされています。人工透析導入前の保存期腎不全の段階であっても、検査数値や生活制限の程度によっては3級以上に認定されることがあります。今回のケースでも、透析導入前の時点で高度に腎機能が低下し、日常生活が著しく制限されていたことが評価され、障害厚生年金3級の認定に至りました。
事後重症請求について
障害認定日の時点では等級に該当しない程度の症状であっても、その後症状が悪化して該当する状態になった場合は、事後重症請求という方法で請求することができるとされています。ただし、事後重症請求は請求した月の翌月分から年金が支給される仕組みのため、認定日にさかのぼった遡及受給はできません。今回のケースも、障害認定日当時は自覚症状が比較的軽かったことから、事後重症請求の方針で手続きを行いました。
人工透析療法と等級改定について
人工透析療法を開始し、それが3か月間継続した場合には、透析開始から3か月を経過した日を基準として、原則2級の障害年金に該当するとされています。今回のケースでも、当初3級で認定された後、症状の進行により人工透析療法を開始されたことを受けて額改定請求を行い、2級への改定が認められました。
関連動画
「仕事を続けながらでも障害年金はもらえるのか」というご不安をお持ちの方は多くいらっしゃいます。今回のようにダブルワークを続けながら請求されたケースにも関わる内容ですので、こちらの動画もあわせてご覧ください。
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