右変形性股関節症
障害の状態
- 令和5年4月に右股関節の人工股関節置換術を受け、関節可動域に制限が残る(屈曲95度・外転5度など)
- 立ち上がりや階段の昇降に支援を要する状態
- しゃがむ・走る・靴や靴下の着脱・靴紐を結び直す動作が困難
- 握力は右24.5kg・左20.0kg
- 現症時の労働能力は「軽作業は可能」とされ、今後左股関節への症状出現や再置換術の可能性も指摘されている
相談までの経緯
ご相談者様(50代・女性)は、事務職の会社員として10年ほどお勤めされていました。18歳の頃に交通事故で右股関節を脱臼し入院治療を受けたことがありましたが、退院後は特に痛みもなく、日常生活やお仕事にも支障なく過ごされていました。
大きな転機となったのは令和4年、雪かきの最中にスノーダンプで足を滑らせて転倒し、右股関節を強く痛めてしまったことでした。転倒後もしばらくは自宅でのストレッチや接骨院・整体への通院、湿布や鎮痛剤の使用など、ご自身での対処を続けながらお仕事を続けておられましたが、症状は改善せず、同年8月に山道を歩かれたことをきっかけに痛みが急激に悪化し、歩行が困難なほどの状態になってしまいました。日常生活にも大きな支障が出るようになったため整形外科(志波医院)を受診したところ、レントゲン検査の結果「右変形性股関節症」と診断されました。
その後は投薬や湿布による治療を受けながら定期的に通院を続けられましたが、症状の改善は見られず痛みは悪化する一方でした。年末の受診の際に人工股関節置換術を勧められ、手術のため竹田綜合病院を紹介されて転院。令和5年3月末から約1か月入院し、同年4月3日に人工股関節置換術を受けられました。リハビリを経て4月22日に退院され、その翌週にはお仕事にも復帰されましたが、しゃがむ・走る・靴や靴下の着脱・靴紐を結び直す・階段を手すりなしで降りるといった動作には、依然として大きな支障が残っている状態でした。こうした経過の中で、障害年金の申請について当事務所へご相談をいただきました。
対 応
ご相談者様からのヒアリングでは、初診日(令和4年8月23日、志波医院)から現在までの受診状況や、令和5年4月3日に受けられた人工股関節置換術の経過、手術後の日常生活・就労状況について詳しくお伺いしました。
今回の事例で特に重要な論点となったのが、障害認定日の考え方です。通常、障害認定日は初診日から1年6か月を経過した日とされますが、人工関節・人工骨頭を挿入置換した場合には、その手術を受けた日(装着日)が障害認定日とみなされる特例があります。ご相談者様は令和5年4月3日に人工股関節置換術を受けられていたため、この特例により、初診日から1年6か月を待たずに認定日請求を行うことが可能と判断し、手術日を障害認定日とする方針で申請を進めることといたしました。
診断書の作成にあたっては、関節可動域や日常生活動作の制限(立ち上がりや階段昇降時の支援の要否、しゃがむ・靴の着脱などの困難さ)が漏れなく反映されるよう、手術を行った竹田綜合病院に依頼をいたしました。また、受診状況等証明書は転院前の志波医院に依頼して初診日の証明も整えたうえで、令和5年7月7日に年金請求書を提出いたしました。
審査の結果、令和5年9月7日付で障害厚生年金3級の決定を受けることができました。障害認定日から請求までの期間についても年金が支給され、初回のお支払いでは通常より多い金額をお受け取りいただいております。また、今回は永久認定となったため、今後の更新のための診断書提出は不要となりました。人工関節の認定日特例をきちんと踏まえて申請できたことが、スムーズな認定につながった事例です。
右変形性股関節症に関するポイント
人工関節を挿入置換した場合の「障害認定日の特例」
障害年金の障害認定日は、原則として初診日から1年6か月を経過した日とされていますが、人工関節・人工骨頭を挿入置換した場合には、その装着日(手術を受けた日)が障害認定日とみなされる特例があります。今回のケースでも、この特例に基づき、人工股関節置換術を受けた令和5年4月3日を障害認定日として認定日請求を行いました。
人工関節等を挿入置換した場合の認定基準
肢体の障害に関する認定基準では、人工関節・人工骨頭を挿入置換した場合、原則として障害等級3級に認定されることとされています。今回のケースも、この基準に沿って障害厚生年金3級の認定を受けています。
永久認定について
関節の変形など、今後大きな改善が見込みにくいと判断された場合には、更新のための診断書提出が不要な「永久認定」となることがあります。今回のケースも永久認定となり、今後の定期的な更新手続きは不要となりました。
関連動画
認定日から時間が経ってから請求する場合、その間の年金をどこまで遡って受け取れるかは、請求方法の考え方が重要なポイントになります。認定日請求や遡及請求の仕組みについてより詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。
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