慢性腎不全(人工透析)
障害の状態
- 人工透析療法(血液透析)を週3回・1回4時間実施している
- 血清クレアチニン約6.2mg/dl、eGFR約8.4ml/分と腎機能が著しく低下している
- 長期透析に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)の合併症がある
- 週3回の透析通院と就労を両立しており、体力的な負担が大きい
相談までの経緯
ご相談者様は40代の男性で、福島県内にお住まいでした。令和2年9月、職場の健康診断で蛋白尿と腎機能の低下(eGFRの低下)を指摘され、近隣のクリニックを受診しました。再検査でも数値の異常が確認されたため、慢性腎臓病の疑いで総合病院の腎臓内科への紹介を受けましたが、その後の詳しい検査の途中で通院が途切れてしまい、本格的な治療や経過観察が始まらないまま数年が経過しました。
その後も自覚症状のないまま過ごしていましたが、令和4年11月頃から軽い息切れや手足のしびれを感じるようになりました。しばらく様子を見ていたものの症状が改善しなかったため、令和4年12月15日に近くの内科クリニックを受診したところ、検査の結果、かなり進行した貧血状態にあることが判明しました。翌16日に再度受診した際には、以前の健診結果と比べて腎臓の数値が著しく悪化していると告げられ、総合病院の腎臓内科への紹介を受けました。同日中に紹介先を受診したところ末期腎不全と診断され、その日のうちに人工透析治療が開始されることになりました。
その後は透析用の血管手術等のため約1か月間入院し、令和5年1月8日に退院、同月11日には職場に復帰されました。復帰後は週3回・1回あたり4時間の血液透析治療に通いながらの勤務が続き、体力的な負担を抱えながらも仕事を継続されている状況でした。人工透析の導入という大きな環境の変化を受け、障害年金の制度について調べる中で当事務所へのご相談に至りました。
対 応
初回のご相談は、人工透析が始まってからおよそ1週間後というタイミングでした。ヒアリングを進める中で、今回の障害年金請求における最大の争点は「初診日をどこに置くか」であることが分かりました。というのも、令和2年9月の健康診断をきっかけに一度は総合病院の腎臓内科を紹介されていたものの、その後の検査が途中で途切れ、実際の治療や経過観察には至っていなかったという経緯があったためです。
そこで、令和2年の受診歴は治療の継続に結びつかなかったものとして整理し、実際に末期腎不全の診断と人工透析導入に至った令和4年12月の受診日を初診日として申し立てる方針としました。この初診日であれば厚生年金の被保険者期間中にあたるため、障害厚生年金として請求できると判断したためです。万一この初診日が認められない場合に備え、令和2年の受診日を初診日とする請求に切り替えられるよう準備を整えたうえで、まずは令和4年12月の受診日を初診日とする方向で受診状況等証明書の取得を進めました。
また、人工透析療法を行っているケースでは、障害認定日について「透析を開始した日から起算して3か月を経過した日」とする特例が適用されるため、この点を踏まえて医療機関に診断書の作成を依頼しました。令和5年4月11日に年金請求書を提出し、同年6月15日付で障害厚生年金2級(障害基礎年金2級を含む)の決定を受けることができました。透析導入という急激な体調の変化の直後からご相談をいただいたことで、初診日の整理を含めて余裕を持って準備を進められた事例でした。
慢性腎不全に関するポイント
人工透析療法と障害認定日の特例
人工透析療法を行っている場合、障害認定日は原則である「初診日から1年6か月を経過した日」ではなく、透析を開始した日から起算して3か月を経過した日とする特例が設けられています。今回のケースでも、この特例に基づき、人工透析を開始した日から3か月後の日が障害認定日として認定されました。
初診日の判断における「治療の継続性」
障害年金の請求では、健康診断等で異常を指摘され医療機関を受診しても、その後の検査や治療が実際には継続せず途中で途切れてしまった場合、その受診が法律上の「初診日」として扱われないことがあります。今回のケースでも、以前の受診歴ではなく、実際に治療が継続した受診日を初診日として整理したことが、円滑な認定につながりました。
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