慢性腎不全(人工透析療法)
障害の状態
- 令和元年12月に血液透析を導入し、以降継続して実施
- 血液透析は週3回・1回4時間実施しており、通院・治療で生活時間が大きく制約される
- 血清クレアチニン値は約11〜12mg/dL、血液尿素窒素(BUN)も高値で推移
- 一般状態区分「イ」に該当し、肉体労働は制限を受けるが軽作業は可能な状態
- 身体障害者手帳1級(腎臓機能障害)を取得
相談までの経緯
ご相談者様は、平成23年頃の健康診断で血圧の上昇や尿蛋白を指摘されていましたが、自覚症状がなかったため、しばらくは経過観察のまま過ごしていました。平成25年の健康診断でクレアチニン値の上昇を指摘されたことをきっかけに医療機関の受診を決意し、平成26年5月、地域の内科クリニックをご自身で探して受診されたのが今回の傷病の初診となりました。以降、1〜2か月に1回のペースで通院し、投薬による血圧コントロールと定期的な採血検査を受けていましたが、数値の悪化が続いたため、同年10月に紹介状を受けて総合病院の腎臓内科へ転院し、腎生検の結果、慢性腎不全(間質性腎炎・巣状糸球体硬化症)と確定診断されました。
その後も数か月に1回の受診と投薬治療を続けていましたが、令和元年に腎機能がさらに悪化し、同年11月に入院してシャント造設術を受け、同年12月から血液透析治療を導入しました。以降、透析拠点の変更を経て別の医療機関に通院先を移しながら、週3回・1回4時間の血液透析を継続しています。令和4年から5年にかけては体調不良により複数回の入院を経験しましたが、入院中も透析治療は継続されました。ご本人は、透析による時間的な拘束や体調の波を抱えながらも一般就労を続けており、貧血気味で疲れやすく肉体労働は困難な中、体調を見ながら勤務を継続されている状況です。
そうした状況の中、障害年金の制度についてインターネットで情報を集められ、当事務所のホームページをご覧になったことをきっかけに、公式LINEアカウントを通じてご相談をいただいたことが、今回のご依頼につながりました。
対 応
初回のご相談時に、傷病名・年齢・障害者手帳の等級・就労状況・初診時に加入していた年金制度などを確認したところ、厚生年金加入中の初診であることが分かり、障害厚生年金としての請求を前提に受任いたしました。ご契約後、年金記録の確認を行うとともに、詳細な病歴のヒアリングを実施しましたが、今回の事例で特に課題となったのが初診日の証明でした。初診医療機関であった内科クリニックは、院長の病気により既に廃業しており、受診状況等証明書の取得ができない状況だったのです。
そこで、「受診状況等証明書が添付できない申立書」を作成するとともに、転院先の総合病院に残っていた、廃業前のクリニックから紹介時に発行された診療情報提供書を代替資料として提出し、平成26年5月を初診日とする方針で申請を進めました。また、原則どおりの障害認定日(初診日から1年6か月を経過した平成27年11月)の時点では、まだ人工透析導入前で症状が軽く、障害等級に該当する状態ではなかったことから、現在の症状に基づく事後重症請求の方針といたしました。診断書は、実際に人工透析治療を行っている医療機関の主治医に依頼し、透析の実施状況や日常生活・就労状況が正確に反映されるよう調整いたしました。
令和5年12月に請求書類一式を提出し、約2か月の審査期間を経て、令和6年2月に障害厚生年金・障害基礎年金2級として認定されました。初診日を証明すべき医療機関が廃業している場合でも、転院先に残る診療情報提供書等の資料をたどることで初診日を立証できる場合があることを、改めて確認できた事例となりました。
慢性腎不全(人工透析療法)に関するポイント
人工透析療法を行っている場合の認定基準
人工透析療法を行っている場合、障害認定基準上、原則として障害等級2級に該当するとされています。今回のケースも、人工透析療法を継続して行っている状態が考慮され、2級として認定されました。
障害認定日の特例(透析開始から3か月経過日)
人工透析療法を行っている場合には、透析を開始した日から起算して3か月を経過した日を障害認定日とする特例が設けられています。ただし、これは通常の「初診日から1年6か月を経過した日」よりも早く症状が固定したとみなされる場合に適用されるものです。今回のケースでは、透析の導入が初診から5年以上経過した後だったため、この特例ではなく通常どおりの認定日(初診日から1年6か月経過日)が適用され、その時点ではまだ軽症だったことから、現在の症状に基づく事後重症請求という方針をとりました。
初診日の証明が難しい場合の対応
初診医療機関が廃業・閉院している等の理由で受診状況等証明書が取得できない場合でも、健康診断の記録やお薬手帳、診療情報提供書といった間接的な資料を組み合わせることで、初診日を証明できる場合があります。今回は、転院先の医療機関に残っていた診療情報提供書が、初診日を裏付ける有力な資料となりました。
関連動画
初診医療機関が既に廃業しており受診状況等証明書を取得できないケースについて、実際の解決事例を交えて解説している動画です。今回のケースのように、代替資料を活用して初診日を証明する際の参考としてぜひご覧ください。
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