筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群
障害の状態
- 疲労倦怠感、筋肉痛、頭痛、睡眠障害があり、思考力や集中力の低下も認める
- 独歩は可能だが、労作後の反動で強い疲労が出て横になって過ごす時間が長い
- 買い物や食事の支度はできる日もあるが、入浴・洗濯・掃除などは援助が必要な場面が多い
- 体重は健康時約85kgから現在約82kgに減少、握力は右44kg・左41kgまで低下
- 慢性的な疲労感と筋肉痛、思考力の低下により、社会生活に支障をきたしている
相談までの経緯
平成25年(2013年)頃から疲れが取れにくいと感じることが増え、同年12月には考えがまとまらず言葉が出てこなくなったり、車の運転にも支障が出るほど症状が強くなったため、ご本人様は医療機関を受診されました。診断は「うつ状態」で、その後も倦怠感や体の痛みに悩まされながら通院を続けていましたが、平成27年11月頃からは体調がさらに悪化し、平成28年3月まで休職して自宅療養することになりました。
その後、通院していた医療機関の精神科が廃科となったことをきっかけに転院を重ね、整形外科やペインクリニックなどを経て、身体の広範囲にわたる痛みから線維筋痛症を疑われるようになりました。平成29年2月には職場に配慮してもらいながら復職を試みましたが、体調不良の波が強く長続きせず、同年5月末で退職に至りました。退職後も倦怠感や痛みは改善せず、労作の後は反動で寝込んでしまうことが多く、平成31年3月からは慢性疲労症候群を疑われ、専門の外来で治療を継続されています。
ご本人様が当事務所にご相談くださったのは、うつ病で初めて受診した医療機関の精神科がすでに廃科となっており、「初診日を証明できないのではないか」と不安に感じられたことがきっかけでした。転院を重ねる中で通院先が閉院・廃科となっていたことも重なり、ご自身だけでは手続きを進めることが難しいと判断され、令和4年11月にご来所いただきました。
対 応
初回のヒアリングでは、初診日はうつ病で受診された平成25年12月26日であることを確認しましたが、当時の医療機関の精神科が廃科となっているため、通常の受診状況等証明書を取得することができない状況でした。その後に転院したクリニックも廃院となっており、初診日の証明という点で大きな課題を抱えている事例でした。
そこで、証明書が取得できない医療機関については「受診状況等証明書が添付できない理由書」を作成するとともに、線維筋痛症や慢性疲労症候群については発症直後に確定診断がされにくいという特性を踏まえた行政通知(令和3年8月付の事務連絡)の考え方に基づき、うつ病で受診した日を一連の傷病の初診日として整理する方針としました。あわせて、初診日を裏付ける資料の収集も行いました。
現在の症状については、慢性疲労症候群・線維筋痛症としての日常生活上の支障が正しく伝わるよう、日常生活状況のヒアリング内容を整理して診断書作成医療機関にお渡しし、病歴・就労状況等申立書でも発病から現在までの経過を時系列で丁寧にまとめました。就労が困難で退職に至った経緯から事後重症請求の方針で申請を行うこととし、令和5年4月に請求書を提出、約2ヶ月後の同年6月には障害厚生年金3級の決定を受けることができました。
初診の医療機関が閉院・廃科していても、他の資料を組み合わせることで初診日を明らかにできるケースは少なくありません。今回のケースも、丁寧な資料収集と行政通知の趣旨を踏まえた整理が、認定につながった事例だと考えております。
筋痛性脳脊髄炎・慢性疲労症候群に関するポイント
線維筋痛症・慢性疲労症候群等の初診日の考え方
線維筋痛症や慢性疲労症候群、化学物質過敏症などは発症直後に確定診断がされないことが多いため、厚生労働省から専用の取扱い通知(令和3年8月付事務連絡)が出されており、一連の診療のうち最初に医師の診療を受けた日を初診日として取り扱うこととされています。今回のケースでも、この考え方に基づき、うつ病で初めて受診した日を一連の傷病の初診日として整理しました。
初診の医療機関が廃院・廃科している場合の対応
初診日を証明する医療機関がすでに閉院・廃科となっている場合でも、「受診状況等証明書が添付できない理由書」を提出したうえで、傷病手当金の請求書控えなど他の資料を組み合わせることで、初診日を明らかにできる場合があります。今回のケースでも、複数の資料をもとに初診日の整理を行いました。
関連動画
初診の医療機関が閉院・廃科していて、初診日の証明にお悩みの方は少なくありません。今回のケースに近い実例を、こちらの動画でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
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