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精神疾患_高次脳機能障害_障害厚生年金3級

脳梗塞に伴う高次脳機能障害

年齢:50代年金の種類:障害厚生年金請求方法:認定日請求(遡及)就労状況:無職

障害の状態

  • 同時に複数のことができず、何をするにも時間がかかる。文章を読むことや簡単な計算にも時間がかかる
  • 予定の時間に合わせて行動することが難しく(遂行機能の低下)、2〜3週間経つと会った人の顔や会話の内容、見たテレビ番組の内容を忘れてしまうことがある(記憶障害)
  • スーパーのように電子音や人の話し声が絶え間なく聞こえる場所では気分不快が生じ(聴覚過敏)、静かな環境でないと会話に集中できない
  • 頭を下げたり屈伸したりするとめまいが起こり、入浴時にも強くなることがあるため、入浴時間の管理を配偶者に頼っている
  • 掃除や洗濯などの家事全般を配偶者に頼っており、配偶者以外との交流はほとんどない。精神障害者保健福祉手帳3級を取得
認定結果:障害厚生年金3級 年金額:約63万円 遡及額:約82万円

相談までの経緯

ご相談者様は会社員として勤務されていました。脳梗塞を発症する前から糖尿病で通院しており、医師からは糖尿病が脳梗塞の原因と説明を受けていました。ある日、仕事中に手足の先に痺れを感じるようになり、帰宅後に配偶者様と話そうとしたところ、呂律が回らなくなっていることに気づかれました。不安を感じて夜間外来を受診したところ、検査の結果、脳梗塞と診断され、即日入院となりました。点滴で血栓を溶かす治療を受け、半月ほどの入院で、特に症状を感じることなく退院されました。

退院後はすぐに職場へ復帰されましたが、時間の経過とともに高次脳機能障害の症状が顕著になっていきました。体のふらつき、記憶力・集中力の低下、文章が読めない、計算ができない、言語障害、同時に複数のことができない、音に敏感になる、といった症状に悩まされるようになり、その後、脳血管のバイパス手術を受けられました。しかし手術後の経過は思わしくなく、症状が思うように改善しない状態が続きました。病院のカウンセラーの勧めで精神障害者保健福祉手帳(3級)を取得されましたが、職場への復帰は難しい状況で、会社からはパート勤務で復職するか退職するかの選択を求められ、最終的に退職を選ばれました。

退職後は自宅で療養しながら、半年に1度のMRI検査と診察、月2回ほどの簡単な計算や文章の読解、言語、会話のリハビリに通院されていました。症状は変わらず、音に対する感覚過敏が出て外出や外食が苦痛になったほか、頭を下げたり屈伸したりするとめまいが起こるようになりました。掃除や洗濯などの家事全般、そして入浴時のめまいによる危険を防ぐための入浴時間の管理を、配偶者様に頼る生活が続いていました。

ご本人様は、言葉の判断や長文の理解に時間がかかるため、障害年金の手続きを自分で進めることに不安を感じていらっしゃいました。そのような中、SNSの動画を見て当事務所の公式LINEにご相談をいただきました。「現状で申請した方がよいか」「糖尿病と脳梗塞は申請に関係があるのか」といった点を確認したいというお気持ちから、申請代行のご依頼を希望されました。

対 応

まずLINEで、脳梗塞発症後の通院先と通院頻度、手帳の等級、同居のご家族、主治医に障害年金のことを相談されているかなどを確認しました。発症時は会社に所属されており、脳梗塞での受診が初診日となるため、障害厚生年金の対象になると整理しました。糖尿病で先に通院されていた点については、初診日の判断では糖尿病と脳梗塞の因果関係は取らないものとして取り扱われることをご説明し、ご安心いただきました。手帳を取得されていることから主治医も相応の状態を認めていると考えられ、結果は審査次第ではあるものの、申請を進めることをおすすめしました。年金記録を確認したところ、特に問題はありませんでした。

手続きの途中でご本人様の体調がすぐれず、やり取りが一時止まる時期もありましたが、体調に合わせて再開していただきました。病歴・就労状況等申立書の作成にあたっては、高次脳機能障害で長い文章の理解に時間がかかることを踏まえ、時期ごとに小分けにした質問を用意し、ご回答はゆっくりで構わないとお伝えしながらLINEでヒアリングを行いました。いただいたご回答をもとに申立書を作成し、内容をご確認いただいたうえで、診断書の作成を主治医に依頼するための資料を作成してお渡ししました。

請求方法は、認定日請求(遡及)とする方針としました。初診日から1年6か月が経過した認定日の頃も、現在も、同時に複数のことができないといった症状に大きな変化がなく、すでに就労が難しく、日常生活全般に支障がある状態だったためです。また、認定日の頃から同じ医療機関でリハビリを含む通院を継続されていたことから、認定日頃の診断書を取得できる見込みがありました。認定日に障害の状態に該当していれば、認定日の翌月分にさかのぼって年金を受け取れる可能性があるため、認定日頃と現在の2通の診断書を取得して請求することとしました。

主治医から診断書を受領した後、内容を精査し、記載内容についてご本人様と配偶者様に電話でご説明しました。そのうえで、ご本人様から主治医に記載内容の修正をお願いしていただき、修正後の診断書を受け取って請求書類を整えました。請求から約2か月余りで、障害厚生年金3級の認定となりました。初回の入金では、過去分として約82万円が支給されました。なお3級のため年金生活者支援給付金の対象にはならないこと、有期認定のため更新手続きがあることもあわせてご案内しています。

高次脳機能障害は外見から分かりにくく、ご本人様も症状を言葉で説明することが難しい場合があります。今回は、日常生活でのお困りごとを時系列で丁寧に拾い、申立書と診断書の内容を揃えて審査に臨んだことが、認定につながった事例と考えています。

高次脳機能障害に関するポイント

高次脳機能障害は「精神の障害」として審査されます

脳梗塞や脳出血などの脳の病気の後に残る高次脳機能障害は、障害年金の認定基準では精神の障害(器質性精神障害)として扱われ、診断書も精神の障害用の様式を使用するのが一般的です。記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害といった症状が、日常生活や就労にどの程度影響しているかが審査の中心となります。今回のケースでも、精神の障害用の診断書を用いて請求しました。

外見から分かりにくい症状は、具体的に伝えることが重要です

高次脳機能障害は、見た目では症状が分かりにくく、静かな環境では問題が少なく、騒がしい場所では支障が出るなど、環境によって症状の現れ方も変わります。そのため、診断書だけでなく、病歴・就労状況等申立書でも、家族の援助の内容や日常生活での具体的な困りごとを伝えることが大切です。今回のケースでも、家事や入浴時の管理を配偶者に頼っている状況などを具体的にまとめました。

認定日請求(遡及請求)と障害厚生年金3級

初診日に厚生年金に加入していた場合は、障害厚生年金の3級まで認定の対象となります。また、障害認定日(原則として初診日から1年6か月後)の時点で障害の状態にあったと認められれば、認定日の翌月分にさかのぼって年金が支給される認定日請求(遡及請求)が可能です。なお、年金生活者支援給付金の対象は2級以上のため、3級では対象外となります。今回のケースでは、認定日の頃から症状に大きな変化がなかったことから、この認定日請求(遡及請求)の方針をとりました。

関連動画

障害年金の遡及請求ができる条件についてより詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。

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