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眼疾患_網膜色素変性症_障害基礎年金1級

網膜色素変性症

年齢:40代年金の種類:障害基礎年金請求方法:事後重症請求就労状況:一般就労

障害の状態

  • 視力は矯正しても右0.4・左0.5にとどまり、両眼とも白内障がみられる
  • 視野は大きく狭まり、周辺視野の角度の合計は右60度・左74度、中心視野の角度は両眼で0度と評価されている
  • 暗い場所や夜間は見えにくく、強い光はまぶしいため、自宅内でも遮光眼鏡が欠かせない
  • 職場では壁や机に頭や顔をぶつけたり、同じ空間にいる人を把握できず「無視された」と誤解されたりする。パソコンや書類も見えづらく、事務処理に時間がかかる
  • 運転はできず免許証も返納。慣れた屋内の生活を遮光眼鏡でなんとか送っており、外出には手助けが必要
認定結果:障害基礎年金1級 年金額:約160万円(年額・子の加算を含む)

相談までの経緯

ご相談者様は、小学生の頃から暗い場所での見えづらさを感じ、暗い帰り道が苦手でした。中学生の頃には教室で机にぶつかることがありましたが、まだ特に不便は感じていませんでした。高校へは自転車で通っていたものの、暗い夜道ではライトを点けていても見えづらく、田んぼに落ちてしまったこともあったそうです。ただ、病気という意識はなく、「暗いときは皆そんなもの」と思い込んで受診はされませんでした。

転機となったのは、眼科に勤めていた友人から「夜盲ではないか」と指摘を受けたことです。眼科を受診するとすぐに網膜色素変性症と診断され、薬の処方を受けました。その頃から光をまぶしく感じるようになり、直射日光の下で長時間過ごすと頭痛や嘔吐が現れ、視力も低下していたため、度の入った遮光レンズの眼鏡をかけるようになりました。その後は指定難病の受給者証の交付を受け、毎年の更新手続きのために通院を続けてこられました。

専門学校卒業後すぐに就職したホテルは約1年で閉館となり、その後は別のホテルで派遣として宴会業務に就きましたが、照明が暗くなる会場では見えにくく、配膳に時間がかかったり、お客様にぶつかってしまったりすることが度々ありました。結婚後はしばらく夫の扶養に入っていましたが、夜間の運転に不安があったため、徒歩で通える職場を探して就職し、現在まで勤務を続けています。

症状が進むにつれて遠方の眼科への通院が不安になり、自宅近くの眼科へ転院しました。視力の悪化により身体障害者手帳(2級)を取得し、運転も難しくなって免許証を返納されています。職場では視野の狭さから壁や机に頭をぶつけ、パソコンや書類の文字が見えづらいため事務処理にも時間を要します。短い帰り道でも暗くて見えず、懐中電灯で足元を照らして帰宅し、お子様の送迎や買い物もご家族の運転に頼る生活でした。

障害年金を知ったきっかけは、指定難病の更新手続きの際に、保健所の担当者から「障害年金などを受け取っていませんか」と尋ねられたことでした。「月日が経っていて難しいのでは」と感じたものの、症状が進んできて今後が心配になり、「自分で対応できるうちに手続きをしたい」と当事務所にご連絡くださいました。最大の悩みは初診日の証明です。最初に受診した眼科では診療録がすでに破棄され、病院側で確認できたのは最後に受診した日のみ。二つ目の眼科も初診日が不明で、受診を裏付けるものとしては、白内障の点眼薬が処方された記録(お薬手帳)が最も古い資料でした。診察券にも日付はなく、指定難病の受給者証の交付時期も保健所に記録が残っていませんでした。

対 応

まず年金記録(保険料の納付状況)を確認したところ、年金への加入当初を含め納付に問題はなく、初診日の課題もクリアできる見通しが立ちました。初診日を客観的に証明できる資料がなくても、初診日があるとされる期間の全体で保険料納付要件を満たしている場合には、申し立てた初診日を認める取扱いがあります。そこで、現存する最も古い受診の記録(お薬手帳の処方記録)の受診日を初診日として申し立て、通常の障害基礎年金として請求する方針といたしました。20歳前傷病による障害基礎年金は、年金額が同じでも所得制限があるため、有利な方を選択する判断です。ただし、20歳前の受診を隠すわけではなく、審査側から指示があれば20歳前傷病へ修正する想定であることも、あらかじめお伝えしました。

病歴・就労状況等申立書は、ご体調に合わせてお答えいただけるよう、時期ごとに小分けにした質問をLINEでお送りして作成しました。診断書は現在通院中の眼科に依頼し、申立書や日常生活のヒアリング内容をまとめた資料を添えて先生の負担を軽くするよう努めたところ、予想より早く届きました。記載内容を確認し、初診日の聴取に関する欄は追記・修正をお願いしています。請求方法は事後重症請求といたしました。初診の眼科では診療録が残っておらず当時の診断書を作成できないため、診断書を取得できる現在の眼科の診断書で請求する判断です。

提出後、年金機構から返戻があり、申立書の記載から初診日は最初の眼科の受診日(20歳前)と判断するため訂正するようにとの指示を受けました。また、請求書に記載した子のうち1人が加算対象の年齢を過ぎていたため、記載を削除しています。当事務所は保険料納付要件を満たす場合の取扱いを根拠に回答書を提出し、当初の初診日で再度の審査を求めましたが、再度の返戻で申し立てた初診日は認められないとの判断が示されました。最終的には機構の判断に沿って初診日を最初の眼科の受診日に訂正して再提出し、20歳前傷病による障害基礎年金として審査が進みました。

途中で審査が長引いている旨の通知が届いたものの、請求から約4か月で障害基礎年金1級に認定され、年額約160万円(子の加算を含む)の受給が決まりました。ご相談者様からは、お任せしたことで審査中も不安なく過ごせたとのお声をいただきました。初診日の証明が難しい事案では、古い受診の資料や年金記録を丁寧に確認して方針を立てつつ、審査側が別の初診日を示した場合の対応もあらかじめ共有しておくことが大切だと、改めて感じた事例です。

網膜色素変性症に関するポイント

視力だけでなく「視野」の状態が重視されます

網膜色素変性症は、夜盲(暗い場所で見えにくくなること)や視野の狭まりが少しずつ進行するとされる遺伝性の疾患です。眼の障害の認定では視力に加えて視野の状態も評価され、視野障害がある場合は、ゴールドマン型視野計などの検査結果(視野図)を診断書に添付します。視野の狭窄が高度であれば、視力の低下が比較的軽くても上位の等級に該当することがあります。今回のご相談者様も、矯正視力は一定程度保たれていましたが、視野の狭まりが大きく、1級の認定となりました。

初診日が20歳前にある場合(20歳前傷病)

初診日が20歳前にある場合は「20歳前傷病による障害基礎年金」となり、保険料の納付要件は問われない一方で、本人の所得に応じた支給制限(所得制限)があります。また、診療録の保存期間は一般に5年とされており、古い受診の記録が残っていないことは珍しくありません。その場合は、お薬手帳や診察券、第三者の証明、病歴・就労状況等申立書の記載などを総合して判断されます。今回も、申立書の記載内容を踏まえ、最初の眼科の受診日が初診日と判断されました。

認定日当時の診断書が取れない場合は「事後重症請求」

障害認定日は原則として初診日から1年6か月を過ぎた日(20歳前傷病では20歳に達した日が基準となる場合があります)で、その時点の診断書が取得できれば認定日請求が可能です。当時の診断書が取得できない場合でも、現在の障害の状態で請求できる事後重症請求があり、年金は請求した月の翌月分から支給されます。今回のご相談者様も、当時の診断書を取得できなかったため、現在の眼科の診断書による事後重症請求を選択しました。

関連動画

初診日の証明が難しい場合の考え方について、より詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。

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