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肢体疾患_頚髄損傷_障害厚生年金1級

頚髄損傷

年齢:40代年金の種類:障害厚生年金請求方法:認定日請求(遡及)就労状況:障害者雇用

障害の状態

  • 左手は麻痺による高度の脱力で、握力は左0kg(右38kg)。日常生活ではほとんど使えない
  • 左肩の動く範囲は屈曲80度(右170度)と大きく制限され、左肩・左肘・左手首の筋力も低下している
  • ワイシャツのボタン止め、ひもを結ぶ、タオルを絞る動作が、一人では全くできない
  • 左上下肢の麻痺と右半身の知覚異常があり、片足立ちができず、階段の下りは手すりが必要で非常に不自由
  • 仕事中は首から肩の痛みと腕のこわばりがつらく、帰宅後は足のしびれや痛みのため毎日痛み止めを服用
認定結果:障害厚生年金3級 年金額:約60万円(年額) 遡及額:約20万円

相談までの経緯

ご相談者様はトラックドライバーとして働いていました。仕事中に運転していたトラックが電柱に衝突する事故に遭い、首の骨を折る大けがを負って救急搬送されました。検査の結果、頚髄損傷と診断され、その日のうちに頚椎の固定術などの手術を受けて、約1か月の入院となりました。受傷直後から首の痛みと左腕のしびれ・麻痺があり、手術の後も左腕の麻痺が残っていました。

退院後は、リハビリを目的に自宅近くの医療機関のリハビリテーション科へ通い、週1回程度のペースでリハビリを続けておられました。手術を受けた病院でも外来で経過観察を受けていましたが、受傷から約1年後に頚椎の骨の癒合が確認され、経過観察は終了となっています。リハビリを続けても、右足のしびれや右半身の知覚異常、左足の動きの悪さは続き、特に左手は麻痺による高度の脱力で握力がまったくなく、日常生活で使うことができない状態でした。

後遺症のためトラックドライバーの仕事は続けられなくなり、障害者雇用の枠で、職場の配慮を受けながら事務作業(簡易な入力業務)に就かれていました。通勤は自家用車で片道25分ほど、出勤は月17〜18日程度です。仕事中は腕のこわばりや首から肩の痛みがつらく、仕事の後は全身の疲労感と、首・肩・腕の痛み、足のしびれが強く、帰宅後は毎日痛み止めを服用する状況でした。以前から別の障害で身体障害者手帳をお持ちでしたが、今回の受傷を受けて再認定され、左上下肢の著しい障害として2級の手帳が交付されています。

仕事中の事故であったため、労災保険の障害補償年金はすでに決定していました。障害年金については、年金事務所に問い合わせたところ「初診日から1年6か月が経ってから来てください」と案内されたとのことで、障害認定日を過ぎた頃に、当事務所へお問い合わせをいただきました。

対 応

初回のご相談では、事故の状況、受傷から現在までの通院の経過、就労や日常生活の状況、手帳の等級、労災保険の受給状況などを詳しくお伺いしました。初診日は、事故当日に救急搬送された病院を受診した日で、受傷の状況が明確であり、当時は厚生年金に加入されていたことから、障害厚生年金での請求としました。初診日の証明は、救急搬送先の病院で受診状況等証明書を取得し、あわせて交通事故証明書や第三者行為事故状況届など、事故の状況が分かる書類を整えました。

請求方法は、すでに障害認定日(初診日から1年6か月を経過した日)を過ぎていたため、認定日請求としました。認定日請求では、障害認定日から3か月以内の状態を示す診断書が必要です。そこで、リハビリに通っている医療機関で、認定日から3か月以内に関節可動域や筋力などの機能測定を受けていただき、その結果をもとに診断書を作成してもらいました。病歴・就労状況等申立書には、受傷から現在までの経過に加え、障害認定日頃の就労状況(仕事の内容、通勤方法、出勤日数、仕事中・仕事後の体調)と日常生活の状況を具体的に記載し、補助用具は使用していないことも確認したうえで反映しました。

請求から約1か月半で、障害厚生年金3級の決定がありました。初回の支払には、障害認定日の翌月分にさかのぼった約4か月分が含まれ、遡及額は約20万円、年金額は年額約60万円となりました。

一方で、左手の握力は0kgで、診断書の日常生活動作の評価でも、ワイシャツのボタン止めやタオルを絞る動作などが「一人で全くできない」とされていました。そのため、「一上肢の全ての指の機能に著しい障害を有するもの」として2級に該当すると考え、審査請求、さらに再審査請求を行いました。しかし、手指の関節の他動可動域に特段の制限がないこと、日常生活動作に一部可能なものがあること、診断書に「日常生活は環境整備すればADL自立レベル、就労は事務作業など机上の仕事であれば可能」と記載されていることなどが重視され、いずれも3級が維持される結果となりました。

肢体の障害では、握力や関節の可動域といった数値だけでなく、日常生活動作の評価や、日常生活能力・労働能力に関する医師の記載が、等級の判断に大きく影響することを改めて実感した事例です。

頚髄損傷に関するポイント

脊髄損傷は「肢体の機能の障害」として総合的に認定されます

頚髄損傷のように、脊髄の障害によって上肢・下肢の広い範囲に障害が及ぶ場合は、認定基準上「肢体の機能の障害」として、関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の状態から身体機能が総合的に認定されるとされています。今回のケースでも、この考え方に沿って審査されました。

3級と2級の分かれ目は、日常生活動作の評価が重要です

肢体の機能の障害で2級に相当する例として、「一上肢及び一下肢の機能に相当程度の障害を残すもの」「四肢に機能障害を残すもの」などが挙げられており、日常生活における動作の多くが「一人で全くできない」状態かどうかなどが目安とされています。診断書の日常生活動作の欄は、補助用具を使用しない状態で判断して記載されます。今回のケースでは、左手の動作の多くは「できない」とされた一方、右手や歩行など「できる」と評価された項目も多く、3級の判断となりました。

労災保険の障害補償年金との関係

仕事中や通勤中の事故が原因で、労災保険の障害補償年金等を受けている場合でも、障害厚生年金の要件を満たせば請求することができます。両方が支給される場合は、一般に障害年金は全額支給され、労災保険の年金が一定の率で減額される形で調整されます。今回のケースでも、労災保険の障害補償年金を受給されていたため、請求書には他制度の給付として記載しました。

関連動画

仕事を続けながら障害年金を受給できるのか、収入との関係はどうなるのかについて、こちらの動画で解説しています。就労しながら請求を検討されている方は、あわせてご覧ください。

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