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肢体疾患_筋強直性ジストロフィー_障害厚生年金2級

筋強直性ジストロフィー

年齢:40代年金の種類:障害厚生年金請求方法:事後重症請求就労状況:無職

障害の状態

  • 屋外ではウォーキングポールや車椅子が欠かせず、自宅内でも連続して歩けるのは10m以内が限界
  • 階段は、上りは手すりがあっても非常に不自由、下りは手すりがあってもできない状態
  • 握力は右4kg・左3kg。肩・肘・股関節・膝など上下肢の筋力が広範囲に低下している
  • 食事中にむせて嘔吐することを繰り返し、左耳の高度難聴や強い倦怠感もあり、家事のほとんどを家族に頼っている
  • 診断書には「労働能力なし」「症状のよくなる見込みなし」との趣旨の記載があり、予後は緩徐進行性とされている
認定結果:障害厚生年金2級(障害基礎年金も2級) 年金額:約133万円(年額)

相談までの経緯

ご相談者様は、介護職として働いていました。初診の3年ほど前から、歩く速度が少しずつ遅くなっていることが気になっていましたが、日常生活も仕事も大きな問題なく過ごしていました。その後、入居者の介助に時間がかかる、力が入らず上手く介助できないといった場面が増え、勤務先から指導を受けるようになります。体の不自由さが心配になり、一度医療機関を受診してみようと、まず整形外科を受診されました。

整形外科では腰椎症・腰痛症の診断で、軽度の下肢の筋力低下と腰背筋の脂肪変性が指摘されましたが、精密検査を勧められ、院内の紹介で同じ医療機関の神経内科を受診。検査の結果、筋強直性ジストロフィーと診断されました。その後も介護の仕事は続けていたものの、作業のスピードは落ち、重いものが持てず、入居者の姿勢を整えられない、排せつ介助でズボンやおむつをうまく扱えず拭き取りができない、手すりがないと階段の上り下りが難しい、掃き掃除ができないといった状態が進んでいきました。声をかけても反応がないことがあり、左耳の難聴が出ていることも分かりました。職場と話し合いを重ねた結果、就労の継続は難しいと判断され、診断から1年ほどで退職となりました。

退職後も通院は続けていましたが、症状は進み、歩く速度は非常に遅く、10分ほど歩くと休息が必要になり、凹凸のある道ではつまずくようになりました。ウォーキングポールを使う場面が増え、ペットボトルのキャップも開けづらくなり、日常生活でもご家族の手助けが必要になっていきます。指定難病の更新で主治医が判定する重症度分類も「2」から「3」へ重くなりました。

現在は、補助具がなければ歩くことが難しく、ウォーキングポールを両手で使ったり、車椅子を歩行器代わりに使ったりしないと屋外を歩けません。それでも少し歩くと疲れて動けなくなり、車椅子に乗ってご家族に押してもらう状態です。立っている姿勢を保つことも難しく、掃除・料理・買い物などの家事はほぼご家族に頼っています。身体障害者手帳の診断書を主治医に依頼した際には記載を断られ、手帳がないために働き口もほとんど見つからない状況でした。

ご家族が障害年金について調べるなかで、障害厚生年金の3級に該当する可能性があるのではないかと考え、当事務所の公式LINEからご相談をいただきました。

対 応

ご家族からお話を伺うと、診断がついたのは神経内科の受診でしたが、その前に同じ医療機関の整形外科を受診していたことが分かりました。障害年金では、診断が確定した日ではなく、その傷病のために初めて医師の診療を受けた日が初診日となります。そのため、初診日は整形外科の受診日になると整理しました。ご家族が当初、年金事務所への相談予約の際に神経内科の受診日を初診日として伝えていたため、初診日はそれより前になる旨をお伝えしています。初診日は厚生年金に加入して働いていた時期にあたり、障害厚生年金の対象となることも年金記録から確認しました。

請求方法は、症状が進行を続けてきた経過を踏まえ、障害認定日(初診から1年6か月後)頃の診断書は用意せず、現在の診断書をもとに請求する事後重症請求の方針といたしました。遡及請求のご希望もありましたが、この方針のため遡及はなく、請求した月の翌月分からの支給となる点を整理しています。

診断書は、ご家族が主治医に伝えるために作成した現在の状況のメモを事務所で確認したうえで、主治医の受診時に測定と合わせて依頼していただきました。出来上がった診断書では、初診日の欄と、整形外科の受診から神経内科の紹介に至るまでの経過の欄について、医療機関に受診日を確認していただいたうえで、経緯を記載していただくよう修正を依頼しました。日常生活動作の記載についても、実態が伝わるよう確認しています。

病歴・就労状況等申立書は、発症から整形外科の受診、神経内科での診断、退職、通院の継続、現在に至る経過を、受診の時期ごとに整理して作成し、提出前にご家族にも内容を確認していただきました。指定難病の重症度分類の記載については、主治医の判定であることが正確に伝わる表現に改めています。あわせて、上肢と下肢の双方に障害があるものの、下肢の障害のほうが重いことから、下肢の障害の認定基準で判断していただくよう求める申立書も添付しました。

請求から約2か月で、障害厚生年金2級(障害基礎年金も2級)の認定となりました。年金額は、配偶者の加給年金額を含めて年額約133万円です。進行性の疾患では、診断が確定するまでの受診経過と現在の状態の両方を、診断書と申立書で矛盾なく伝えることが大切だと改めて感じた事例でした。ご家族からは、相談したことで主治医とも話を進めやすくなったとのお言葉をいただいています。

筋強直性ジストロフィーに関するポイント

診断が確定する前の受診も「初診日」になることがあります

障害年金の初診日は、診断が確定した日ではなく、その傷病で初めて医師の診療を受けた日とされています。筋強直性ジストロフィーのように診断がつくまでに時間がかかる病気では、腰痛や手足の力の入りにくさなどで最初に受診した整形外科などが、初診日になる可能性があります。今回のケースでも、整形外科の受診日を初診日として整理しました。

進行性の筋疾患では、診断書の評価の方法を意識しましょう

筋強直性ジストロフィーは、筋力の低下や筋強直(ミオトニア)を中心に、全身にさまざまな症状が現れる進行性の遺伝性の筋疾患で、指定難病にも指定されています。肢体の障害の診断書では、日常生活動作の欄は補助用具を使用しない状態で判断することとされており、上肢と下肢で障害の程度が異なる場合には、どの部位の障害として評価してほしいかを申立書などで明確にしておくことが大切です。今回のケースでは、より重い下肢の障害として判断していただくよう申立書を添付しました。

事後重症請求と、その後の状態の変化

事後重症請求では、遡及はなく、請求した月の翌月分から年金が支給されます。進行性の疾患では、認定後に症状が重くなった場合に、額改定請求により等級が見直される可能性もあります。

関連動画

初診日の考え方についてより詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。

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