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その他疾患_化膿性汗腺炎_障害厚生年金3級

化膿性汗腺炎

年齢:50代年金の種類:障害厚生年金請求方法:事後重症請求就労状況:無職

障害の状態

  • 両臀部と会陰に皮下膿瘍・瘻孔が多発し、排膿があり、座ると痛みが出る
  • 化膿性汗腺炎の重症度指標IHS4は28点(11点以上が重症)、皮膚疾患による生活の質の低下を測るDLQIは11点
  • 立っているだけでも痛み・出血・排膿を伴い、起きていられる時間はわずかで、日中の大半を横になって過ごす
  • 食事・洗濯・掃除などを同居の母親に頼り、買い物にも行けず、外出は通院が中心
  • 貧血(ヘモグロビン9.0g/dL)があり、体重も発病前の約85kgから約70kgに減少
認定結果:障害厚生年金3級 年金額:約62万円

相談までの経緯

ご相談者様は、会社員として長年厚生年金に加入しながら、体を使う現場仕事に従事してこられました。ある時から全身に汗疹のようなものができるようになり、しばらく様子を見ていたところ、大きな膿瘍が全身に多数できるようになりました。全身が痛がゆく、背中や臀部にできた大きな膿瘍は圧迫されると強い痛みが伴い、生活や仕事に支障が出るようになっていきました。

半年ほど前から別の病気で通院していた病院で体の症状もあわせて診てもらったところ、状態が酷く全身に広がっているため同院では対応できないとのことで、大学病院の皮膚科を紹介されました。その後も膿瘍は大きく、数も増え、出血もするようになり、就労が困難となって休職することになりました。

大学病院で化膿性汗腺炎と診断され、ヒュミラ(生物学的製剤)の皮下注射による治療が始まりました。上半身や足など湿気のこもらない部位は数ヶ月かけて徐々に改善しましたが、両臀部の周辺だけは一向に改善せず、医療費が高額だったこともあって注射を一時中断し、抗菌薬の投与を受けていました。しかし膿瘍や瘻孔が臀部に多発し、強い痛みと出血で座ることができず、立っていても痛みや膿、出血を伴うため、横になって生活せざるを得ない状況となりました。

通院を続けても臀部の状態は悪化する一方で、復職は困難となり、初診から約1年8か月後に退職となりました。その後、ヒュミラの注射を再開しましたが、臀部の膿瘍や瘻孔の状態は変わらず、強い痛みや出血、排膿が続き、臀部が真紫になるほどで、貧血やめまいにも悩まされていました。手術による治療も提案されましたが、術後の後遺症への不安が強く、受けることができずにいました。

母親と同居しているものの、食事・洗濯・掃除など日常生活全般を母親に世話してもらわなければならず、買い物にも行けない状態でした。外出は通院のみで、体を起こすのは入浴とトイレのときくらい、食事も横になりながらとる状況で、就労はもとより、単身での生活も困難になっていました。

こうした中、ご紹介でご相談をいただきました。最初のご相談の時点では、傷病手当金の受給状況をふまえると障害年金の手続きを急ぐ時期ではなかったため、手続きは一旦保留とし、当事務所から必要な時期にご案内する形としました。その後、症状が改善しないまま日常生活の支障が続いていたことから、あらためて面談を行い、正式にご依頼をいただきました。

対 応

面談では、臀部を中心とした皮膚症状が、座る・立つ・歩くといった基本的な動作そのものに影響していること、日中はほとんど横になって過ごしていること、食事・入浴・トイレ・着替えなどの動作にも痛みや出血、排膿が伴うことを詳しくお伺いしました。通院は大学病院の皮膚科で、月に1回ほどとのことでした。

化膿性汗腺炎などの皮膚疾患には専用の診断書様式がないため、診断書は「血液・造血器・その他の障害用」の様式で作成を依頼しました。この様式で評価される「その他の疾患による障害」は、全身状態や日常生活状況などを総合して認定される分野のため、検査値や一般状態区分だけでなく、日常生活の具体的な支障を診断書と申立書の両方で正確に伝えることが重要と考えました。

請求方法は、初診から1年6か月を過ぎてからのご相談であったため、請求時点の障害状態を診断書で示す事後重症請求の方針といたしました。初診日は会社員として厚生年金に加入していた期間中でしたので、障害厚生年金での請求となります。最初に受診した病院で受診状況等証明書を取得し、病歴・就労状況等申立書は、発症から現在までの経過と日常生活の状況を丁寧にお聞きしたうえで作成しました。

請求書を提出したところ、日本年金機構から主治医への照会が必要として書類が返戻されました。医師に回答を依頼するにあたり、食事、トイレ、入浴、歩行、階段昇降、着替えなど動作ごとの支障の度合いを、ご本人様へのヒアリングをもとにまとめた参考資料を添え、「自立/部分介助/全介助」の選択肢は支障の度合いとして判断いただきたい旨もお伝えしました。しかし、回答では病変部の面積による重症度分類が最も軽い区分とされ、生活状況も多くが「自立」とされました。

その結果、請求から半年ほどで不支給の決定となりました。病変部の面積が小さい区分とされたこと、日常生活動作の多くが「自立」とされたこと、手術を希望していないことなどを根拠に、労働が制限を受ける程度とは認められないと判断されたものでした。

診断書にはIHS4が28点(重症)、一般状態区分が「ウ」、「日常生活に支障があり、就労が困難である」と記載されていたことから、この判断は妥当ではないと考え、審査請求を行いました。審査請求では、①病変部の面積による分類は病変の広さを見るもので、病態の重症度を示す指標とはいえず、IHS4は28点と重症であること、②病変が両臀部にあるため座位が取れず、立位や歩行でも患部に刺激が加わり、日常生活や就労への影響が大きいこと、③動作そのものが可能であっても、日常生活や就労に支障のない範囲で反復・継続して行えない以上、「自立」とされていることをもって支障がないとはいえないこと、④手術を希望していないのは術後の後遺症への不安や医療費の負担によるもので、障害状態の判断の根拠とすべきではないこと、を主張しました。

審査請求から数ヶ月後に決定が出され、審査官は、診断書の一般状態区分や症状、申立書に記載された日常生活の状況から、労働が著しい制限を受ける状態にあると判断し、原処分を取り消して障害厚生年金3級を支給すると決定しました。年金は請求の翌月分にさかのぼって支給されることとなり、年金額は年額で約62万円です。

皮膚疾患は、病変の面積や検査値だけでは日常生活への影響が伝わりにくい傷病です。今回は、診断書の記載に加えて、動作ごとの具体的な支障や、病変の部位による影響を整理してお伝えしたことが、結果につながった一因と考えています。一度不支給となっても、理由を丁寧に分析し、審査請求で状態を的確に主張することで結果が変わる場合があることを、あらためて実感した事例です。

化膿性汗腺炎に関するポイント

皮膚疾患は「その他の疾患による障害」として総合的に評価されます

化膿性汗腺炎は、臀部・会陰・脇・鼠径部などに膿瘍や瘻孔が繰り返しできる慢性の炎症性皮膚疾患とされています。障害年金には皮膚疾患専用の認定基準や診断書様式はなく、「その他の疾患による障害」として、全身状態、栄養状態、術後の経過、予後、具体的な日常生活状況などを総合して認定されます。今回のケースでも、この考え方に基づき「血液・造血器・その他の障害用」の診断書を使用しました。

一般状態区分や病変の広さだけでは判断されません

その他の疾患では、診断書の「一般状態区分」が等級の目安のひとつとされていますが、区分や検査値、病変の面積といった数字だけで決まるわけではありません。実際の日常生活でどのような動作に支障があり、どの程度働けるのかという具体的な状況が重要です。今回のケースでは、病変の広さの区分は軽く評価されていたものの、部位による座位・立位への影響や日常生活の具体的な支障を整理してお伝えしました。

不支給でも、審査請求で結果が変わることがあります

不支給決定に不服があるときは、決定を知った日の翌日から3か月以内に、社会保険審査官へ審査請求を行うことができます。不支給の理由を確認し、診断書や申立書の内容、認定基準に照らして主張を整理することが大切です。今回のケースも、審査請求により原処分が取り消され、障害厚生年金3級が認められました。

関連動画

診断書の種類と選び方についてより詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。

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