線維筋痛症
障害の状態
- 全身に刺すような、えぐられるような痛みが続き、服薬後も我慢できない強い痛みが日に数回起こる
- 握力は右4kg・左2kgと低下し、箸や茶碗が持てず、スプーンとフォークを指に縛って食事をとっている
- 衣類が触れる、入浴時の水流、扇風機やエアコンの風でも激痛があり、歩行にはロフストランドクラッチを使用している
- 睡眠導入剤を使っても眠れない日が多く、倦怠感や頭痛が続く。通院や行事の後は数日間寝たきりになる
- 診断書には「日常生活には介助を要し、就労は不能」と記載され、身体障害者手帳は1級
相談までの経緯
ご相談者様は、腰の強い痛みから症状が始まりました。地元の医療機関で検査を受けましたが異常は見つからず、しばらくそのまま過ごしていましたが、痛みは下肢へ広がり、頭痛も加わるようになりました。当時はパートで働いていましたが、痛みのために仕事を辞めることになり、それから医療機関への通院を始めました。
持病で通院していた総合病院の診療科でも痛みを訴えたところ、整形外科の受診を勧められ、近隣の整形外科にかかりました。その後、紹介を受けた総合病院で検査も受けましたが原因は分からず、具体的な治療には至らないまま時間だけが経過。やがて上肢の痛みで総合病院の整形外科を受診し、その後まもなく強い全身痛で救急搬送される事態になりました。画像検査では整形外科的な異常はなく、自己免疫性の疾患の疑いや、不眠・ストレスなどの精神的な症状がみられるとして精神科へ紹介され、慢性疼痛と診断されましたが、痛みの改善は乏しいままでした。
ご自身で線維筋痛症を疑い、インターネットで専門性のある医療機関を探して内科・リウマチ科のクリニックを受診したところ、圧痛点の確認を経て線維筋痛症(重症度分類ステージⅢ)と診断されました。以後は月1回通院して薬を調整していますが、痛みは完全には取れず、握力の低下や手足のしびれから食事も家事も難しく、日常生活の多くをご家族に頼る状態でした。身体障害者手帳の申請のための検査を進める中で、医療機関から障害年金の請求も検討するよう勧められ、ご家族と話し合ったうえで当事務所にご相談くださいました。
対 応
ご相談時の最大の課題は、初診日の整理でした。症状が出てから複数の診療科・医療機関を受診しており、痛みを訴えていた診療科もあったため、どの受診を初診日とみるかで請求の前提が変わるからです。そこで、最初に受診していた総合病院へ事前に連絡を取り、カルテ記録に基づく受診の経過を確認していただきました。持病の診療科では痛みの訴えはあったものの具体的な治療は行われていなかったこと、以前の整形外科の受診は別の症状によるもので、その後約1年の未受診期間があったことを踏まえ、上肢の痛みで整形外科を受診した日を初診日として整理し、受診状況等証明書を作成していただきました。
請求方法については、ご相談時点では初診日から1年6か月を経過する障害認定日がまだ先でした。そのため、認定日を迎えてから、認定日以後3か月以内の現症を記載した診断書を取得し、障害認定日による請求(認定日請求)を主位とする方針としました。この請求で受給権が発生しない場合は事後重症請求に切り替える旨も、請求事由確認書で整理しています。
線維筋痛症には専用の診断書様式がないため、診断書は肢体の障害用の様式で主治医に依頼しました。依頼にあたっては、診断書⑨欄に重症度分類のステージを記載していただくための公的な案内資料、病歴・就労状況等申立書の写し、日常生活の状況をまとめた資料を添付し、痛み・睡眠障害・倦怠感が日常生活にどう影響しているかが伝わるようにしました。出来上がった診断書は、日常生活動作の判定が制度上の区分と異なる「△」の表記になっていたほか、握力の低さと食事動作の判定の整合など確認したい点があったため、依頼文書で再確認をお願いしました。
病歴・就労状況等申立書には、痛みの性質、睡眠、食事・入浴・移動での具体的な困りごと、通院や行事の後に寝たきりになることなどを、診断書と整合するよう記載しました。請求書の提出後に返戻がありましたが、必要書類を整えて速やかに再提出。その結果、障害基礎年金2級の決定を受け、年金額は約105万円(加算を含む)となりました。検査数値では重さを示しにくい傷病だからこそ、診断書の記載と日常生活の具体的な状況を一致させることが重要だと改めて感じた事例です。
線維筋痛症に関するポイント
専用の認定基準がなく、日常生活への影響から総合的に判断されます
線維筋痛症には専用の認定基準がなく、主に肢体の障害用の診断書(様式第120号の3)を用いて、日常生活や労働能力への影響から総合的に判断されるとされています。診断書の⑨欄に重症度分類のステージを記載してもらうよう案内されており、今回のケースでも、この点を踏まえて医師へ診断書を依頼しました。
障害認定日から3か月以内の診断書で認定日請求ができます
障害認定日は原則として初診日から1年6か月を経過した日で、その日以後3か月以内の現症を記載した診断書があれば、認定日請求が可能です。今回のケースでも、認定日を迎えたあとに診断書を取得して請求しました。
痛みは数値に表れにくいため、日常生活の具体的な支障を伝えることが重要です
痛みや倦怠感は検査数値で示しにくいため、診断書の日常生活動作の判定や、申立書に書かれた生活上の支障の内容が、審査では重要な手がかりになります。今回のケースでも、診断書と申立書の内容が食い違わないよう確認しました。
関連動画
線維筋痛症のように専用の診断書様式がない傷病では、どの様式で評価されるかが重要になります。診断書の種類と選び方については、こちらの動画もあわせてご覧ください。
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