群発頭痛
障害の状態
- 重度の頭痛が連日出現し、発作時には右まぶたの下垂・鼻づまり・右目の涙を伴う
- 日常生活に支障を与える頭痛や痛み止めを要する頭痛が、ひと月に30日
- 頭痛の重症度を問う6項目はすべて最も重い選択肢で、合計78点
- 1日のうち活動できるのは3時間程度で、日中のほとんどを横になって過ごす
- 食事・トイレ・シャワーが精一杯で、家事は家族任せ。外出は通院時のみ
相談までの経緯
ご相談者様は、営業職として外回りの仕事をされていました。ある時期から、右目の奥と右耳の中がえぐられるような激しい痛みに加え、発汗・発熱、顔面右側の涙や鼻水・鼻づまりといった症状が、毎日同じ時間に現れるようになりました。市販の痛み止めでは改善せず、ご自身でも群発頭痛を疑って近隣の脳神経内科のクリニックを受診したところ、すぐに群発頭痛と診断されました。
医師からは薬で対処するしかないと説明を受け、飲酒や激しい運動を控えるなど生活習慣にも気をつけるよう助言されました。しかし、処方された薬は吐き気、めまい、眠気、倦怠感といった副作用が強く、起き上がることも困難になったため、通院は2回で途絶えてしまいました。
その後も症状は改善せず、年に2か月ほどは頭痛に悩まされる時期がありましたが、副作用の負担が大きく受診は避けていました。外回りの仕事では、症状が出る時期は早めに会社を出て、駐車場で休んで落ち着くのを待つことで乗り切っていました。ところが症状は悪化の一途をたどり、年2か月ほどだった発症期間は4〜5か月に延び、午前中に1回だけだった頭痛も朝と夕方の2回に増えていきました。仕事を続けることが難しくなり、やむなく退職されました。
退職後も症状は悪化し、日常生活への支障が大きくなったため、初診から約3年を経て再び同じクリニックを受診されました。内服薬に加えて抗CGRP製剤の注射も行われましたが、頭痛にはあまり改善がみられませんでした。このとき主治医に障害年金について相談したところ、受給できる可能性があるとの回答を得られ、当事務所にご相談いただきました。相談時は、頭痛と薬の副作用でほぼ1日中寝たきりに近い状態で、活動できるのは1日3時間程度、家事はすべて家族に任せ、外出も通院時のみという状況でした。
対 応
初回面談では、初診日、通院が途切れていた期間の経緯、現在の症状と生活状況を詳しくお聞きしました。初診日は相談時点で「数年前の春頃」とやや曖昧でしたので、次回の受診時に診療録で正確な日付を確認していただき、群発頭痛と診断された最初の受診日を初診日として整理しました。なお、それ以前にも頭痛で別の医療機関にかかった可能性がご本人から聞かれましたが、群発頭痛の診断を受けた最初の受診日で請求を進める方針といたしました。初診日の時点では厚生年金に加入していたため、障害厚生年金の請求としました。
請求方法は、事後重症請求と判断しました。障害認定日(初診日から1年6か月後)の頃は通院しておらず、その時点の診断書を作成できないためです。診断書は、頭痛のように専用の様式がない疾患を扱う「血液・造血器・その他の障害用」の様式で主治医に作成をお願いしました。
診断書の作成にあたっては、ご本人から日常生活の状況を丁寧に伺い、その内容を主治医にお伝えしました。完成した診断書の一般状態区分が、ご本人の実際の状況と合っているかを主治医に確認していただき、実態に沿うよう記載を整えました。病歴・就労状況等申立書でも、発症からの経過、1日の活動時間、家族の支援の状況を具体的に記載しました。
請求後、日本年金機構から主治医への照会があり、薬の効果、頭痛のある日数、重症度の点数などが確認されました。請求から約4か月で、障害厚生年金3級の決定を受けました。
ご本人の状態は2級に相当すると考え、審査請求を行いました。薬の効果が「改善」とされた点や、再発前に頭痛のない期間があった点が3級の理由とされていましたが、事後重症請求は請求時点の状態で判断されるべきであること、薬の効果は一時的・限定的で、実際には1日3時間程度しか活動できないことを主張しました。結果は約4か月後に棄却となり、決定では、薬物療法で症状が管理され、日常生活を送るために最低限必要な能力はあると評価されました。そこで、社会保険審査会への再審査請求に進みました。
頭痛疾患は痛みの強さが数値で示しにくく、診断書の経過欄や治療効果の書かれ方が等級判断に大きく影響します。診断書の記載と日常生活の実態に食い違いがないかを、早い段階で丁寧に確認することの重要性を改めて感じた事例です。
群発頭痛に関するポイント
頭痛(疼痛)は等級認定が難しい傷病です
障害認定基準では、疼痛は原則として認定の対象とならないとされ、神経の損傷などに由来する疼痛の場合に限り、発作の頻度、強さ、持続時間などをもとに評価するとされています。頭痛疾患は、診断書の様式も「その他の疾患による障害」として、全身状態や日常生活の具体的な状況から総合的に判断されます。今回のケースでも、一般状態区分や重症度の点数、日常生活の状況が評価の材料となりました。
事後重症請求は「請求時点」の状態で判断されます
障害認定日の頃に通院しておらず診断書が取れない場合は、事後重症請求となり、請求時点の障害の程度で等級が判断されます。そのため、請求時点の症状や日常生活の制限を、診断書と申立書で具体的かつ矛盾なく示すことが重要です。
決定に不服があるときの流れ
処分に不服がある場合は、処分を知った日の翌日から3か月以内に社会保険審査官へ審査請求ができます。その決定にも不服があるときは、決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内に、社会保険審査会へ再審査請求ができます。今回のケースでも、この流れに沿って手続きを進めました。
関連動画
請求にあたってどの診断書様式を使うかによって、評価の視点が変わります。診断書の種類と選び方についてより詳しく知りたい方は、こちらの動画もあわせてご覧ください。
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