-
統合失調症
- 地域
- 福島県
- 年齢
- 30代
- 性別
- 女性
障害の状態
- 幻聴(人の話し声のような声)が現在も続いており、仕事中に誰かから言われているように感じることがある
- 疲れやすく日常の活動性は全般的に低い状態で、労働能力は健常な方の3分の1程度と診断されている
- 入浴は週2〜3回程度しかできず、身の回りの管理や家事もパートナー様の援助を必要としている
- 就労継続支援A型事業所(施設外就労・1日4時間)に通所しているが、直近の通所率は56%(所定23日中10日欠勤)
- 買い物は単独では計画的に行えず、日用品のストックが減ると衝動買いをしてしまうことがある
認定結果
障害基礎年金2級
受給額
- 年金額
- 約82万円
- 遡及額
- 約407万円
関連動画
経緯と対応
相談のきっかけ
ご相談者様は、あるとき突然両耳の痛みや頭痛を感じるようになったことをきっかけに、体調に異変が現れ始めました。温泉旅館に宿泊した際、何もないのに盗聴器のような音が聞こえるように感じ、旅館内を探し回るほどの不安を覚えたといいます。その後、自宅のトイレで何者かの声が聞こえたように感じ、そこから強い恐怖心を抱くようになりました。
しばらく様子を見ても改善が見られなかったため、近隣の脳神経・耳鼻科クリニックを受診しました。頭部MRI検査では器質的な異常は見つからなかったものの、職場で盗聴・盗撮をされているという訴えから幻覚・妄想状態と判断され、心療内科への紹介となりました。紹介先のクリニックを受診したところ統合失調症と診断され、抗精神病薬による治療が始まりました。
診断当初は、毎日誰かに見られている、悪口を言われているといった強い幻聴・幻覚症状に苦しみ、周囲に人がいないことを確認しても声が聞こえてしまう恐怖から、通常の勤務が困難になっていきました。発症当時はPCの組立作業員として勤務されていましたが、しばらく休職した後に復職したものの症状の改善が乏しく、業務を十分にこなせなくなり、会社から退職を促され離職に至りました。
その後は病状の改善が乏しいまま、日常生活全般について家族に頼る、引きこもりがちな生活が続きました。時折アルバイトを試みることもありましたが、発症前のように継続して働くことは難しく、早退や欠勤が目立ち、長続きしませんでした。病状に苦しむ中で障害者手帳の制度を知り取得。その後、配慮を受けながら働ける環境を求めて派遣会社に登録し、車用シートの目視検査業務に従事しましたが、幻聴症状が悪化して精神的に疲弊し、勤怠不良が続いたことから短期間で離職しました。
こうした経過を経て、就労継続支援A型事業所への通所を開始し、施設外就労という形で軽作業に取り組むようになりました。もっとも体調の波は大きく、安定した通所は難しい状態が続いていました。そうした中、通所先の職員の方から、障害年金の制度について一度相談してみてはどうかとお声がけをいただいたことが、当事務所へのご相談のきっかけとなりました。ご本人様は以前、お一人で年金事務所へ相談された際に保険料の納付状況を理由に請求は難しいと言われ、一度は諦めていらっしゃったとのことでしたが、今回はあらためて事業所からの後押しを受けてのご相談となりました。
対 応
初回のヒアリングでは、初診から現在までの通院状況、これまでの就労歴、現在の生活状況について詳しくお伺いしました。その結果、初診の医療機関(脳神経・耳鼻科クリニック)から、診断が確定した医療機関(心療内科)へ転院を経ていることが分かり、初診日の証明、すなわち受診状況等証明書の取得が今回の請求における重要な課題であると判断いたしました。
あわせて、初診日から1年6ヶ月後にあたる障害認定日時点の状況を確認したところ、当時の受診記録が残っており、その時点の診断書を取得できる見込みが立ちました。そこで、事後重症請求ではなく、障害認定日にさかのぼって請求する認定日請求の方針といたしました。
方針決定後、まず初診の医療機関に受診状況等証明書の取得を依頼し、初診日を確定させました。あわせて、主治医には障害認定日当時と現在、それぞれの時点における診断書の作成を依頼しました。また、通所先の就労継続支援A型事業所にもご協力をいただき、就労状況や体調に応じた配慮の実施状況について照会し、その回答内容を病歴・就労状況等申立書作成の裏付け資料として活用いたしました。
これらの資料をもとに、発病から現在までの経過が伝わるよう病歴・就労状況等申立書を作成し、必要書類一式を整えて提出いたしました。提出から約2ヶ月後、障害基礎年金2級の決定通知が届きました。なお、年金の時効の関係で、さかのぼって受け取れる期間には一部制限がありましたが、それでもまとまった遡及額の受給につながり、ご本人様の今後の生活の支えとなる結果となりました。
統合失調症に関するポイント
初診日の証明(受診状況等証明書)の重要性
統合失調症などの精神疾患は、発症から診断確定までに複数の医療機関を経由するケースが少なくありません。この場合、最初に受診した医療機関で「受診状況等証明書」を取得し、初診日を客観的に証明することが認定手続き上重要になります。今回のケースでも、最初に受診した医療機関から証明書を取得することで、初診日を確定させることができました。
認定日請求(遡及請求)と時効について
障害認定日(原則として初診日から1年6ヶ月後)の時点にさかのぼって請求する「認定日請求」が認められると、遡及分をまとめて受け取ることができます。ただし、年金を受け取る権利には5年の時効があるため、さかのぼれる期間には限りがある点に留意が必要です。今回のケースでも、時効の制限により遡及分の一部は対象外となりましたが、それでも一定期間分の遡及受給につながりました。
日常生活能力の程度による等級判断
精神障害の等級は、病名だけでなく、日常生活能力の程度や判定の内容を総合的に考慮して決定されます。日常生活・社会生活にどの程度の支障が生じているかを具体的に伝えることが、実態に即した等級認定を受けるために重要です。






