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障害年金の初診日証明|初診日証明の基本的な進め方

初診日講座 第2回|初診日証明を進めるための実務的な流れ

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

この連続講座では、障害年金の手続きの中でも特に重要でありながら、実務ではつまずきやすい「初診日」について、全12回にわたって深掘りして解説しています。

初診日は、障害年金の受給権の発生や受給額を左右する根本的な要素です。
実際に初診日が原因で障害年金が受給できていないという方も少なからずいらっしゃいます。

前回【第1回】では、初診日の基本的な考え方についてお話ししました。
今回【第2回】では、「初診日証明の基本的な進め方」について、実務的な流れに沿って解説していきます。

なお、普段私は「すべての障害年金手続きに専門家が必要なわけではない」とお伝えしています。
ただし、初診日に課題がある場合は話が別で、自己判断によって大きな不利益につながるリスクもあります。

逆に言えば、通知・通達や認定事例を踏まえると「なんとかなるケース」も多くありますので、初診日で困っている方が一人でも救われればという思いで、この講座を作成しています。


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初診日証明の基本ステップは「2つ」です

初診日の証明を進めていく上で、まず押さえていただきたい基本の流れは次の2つです。

  1. 受診歴の洗い出し(整理)
  2. 初診病院から受診状況等証明書を取得して提出する

一見シンプルに見えるかもしれませんが、ここでつまずく方が非常に多いのが実務の実態です。

ここから、それぞれの作業について具体的に解説していきます。


ステップ1:まずは「受診歴の洗い出し」を行う

初診日証明を進めるうえで、最初にやっていただきたいのが受診歴の洗い出しです。

これは、現在の病気やけがに関連する受診歴について、

  • どの医療機関を
  • いつ頃受診して
  • どんな診療科で
  • どんな治療・診療を受けて
  • どのように経過してきたのか

を、時系列で整理していく作業です。

たとえば、以下のような情報をメモにしていくと整理しやすくなります。

  • 病院名(クリニック名)
  • 受診したおおよその時期(例:2020年春頃〜2021年夏頃)
  • 診療科(内科/精神科/整形外科など)
  • 受診のきっかけ(症状・経緯)
  • 診断名(当時分かっている範囲で)
  • 転院した場合はその理由

重要なのは「今通っている病院」ではなく「最初の病院」

ここで大切なのは、「今通っている病院」ではなく、その傷病において最も最初に受診した病院がどこかを探し出すという視点です。

途中で診断名が変わっている場合でも、基本的には「連続性がある傷病」として判断するのが障害年金の考え方です。

まずは過去の受診歴を丁寧に整理し、初診病院を明確にすることが、初診日証明の第一歩になります。


ステップ2:初診病院に「受診状況等証明書」を依頼する

受診歴の整理ができたら、次に行うのが、

最初に受診した医療機関(初診病院)に「受診状況等証明書」を依頼する

という作業です。

受診状況等証明書とは、医療機関がカルテ記録をもとに作成してくれる書類で、

  • 初診日
  • 終診日
  • 受診経過
  • 治療内容
  • 転帰(治癒・転医・中止など)

などが記載されます。

そして、この受診状況等証明書を窓口へ提出することによって、初診日がいつであったかを証明していくのが、初診日証明の基本ルートです。


受診状況等証明書が不要になるケースもある

ここで注意点として、すべてのケースで受診状況等証明書が必要というわけではありません。

① 初診病院=診断書取得病院の場合

診断書を作成してもらう病院と初診病院が同じ場合、診断書の中に初診日の記載欄があり、
受診状況等証明書の内容を診断書が包括しているため、受診状況等証明書は省略できます。

② 知的障害の場合(初診日=出生日の取扱い)

知的障害のケースでは、原則として初診日が出生日とされるため、受診状況等証明書そのものが不要になります。

ただし、この取り扱いは知的障害特有のものであり、他の先天性疾患には基本的に適用されない点には注意が必要です。


初診病院で証明書が取れない場合はどうする?

初診病院が閉院している、カルテが破棄されているなどの理由で、受診状況等証明書が取得できないケースも少なくありません。

この場合の対処法は、次回以降の講座で詳しく解説していきます。

まずは今回の内容としては、

  • 受診歴を整理して初診病院を特定する
  • 初診病院から受診状況等証明書を取得できるか確認する

というところまでを、着実に進めることが重要です。


初診日証明は「自己判断で諦めないこと」が大切です

初診日の証明は、障害年金手続きの中で最も重要であると同時に、つまずきやすいポイントでもあります。

初診病院が不明確であったり、経過が曖昧であったりすると、ご自身だけでは判断が難しいケースも少なくありません。

普段、更新手続きなどでは「専門家が不要なケースも多い」とお伝えしていますが、初診日については話が別です。

初診日が証明できなかったことで、そもそも障害年金の権利が失われてしまうことも現実としてあります。

逆に、通知・通達レベルの取り扱いを理解して進めれば、「なんとかなるケース」も少なくありません

もし初診日に課題がある場合は、早めに専門家に相談することも選択肢として検討してみてください。


次回予告

次回【第3回】では、「20歳前の初診日証明」について解説していきます。

初診日が20歳前(年金制度未加入期間)にある場合は、初診日の取り扱いが通常と異なります。
実務でも誤解が多いポイントですので、ぜひ次回も参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026年01月04日 10:00

障害年金の初診日証明|障害年金の初診日とは?重要性と連続講座の概要

初診日講座 第1回|初診日の基本的な考え方・今後の講座の全体像

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

少し前に、ご自身やご家族で障害年金の手続きを行うための連続講座を配信しました。実際に手続きを進めるタイミングの方々から「参考になった」とのお声もいただき、私としても大変安心しております。

そこで今回からは、よりテーマを絞って、障害年金の「初診日」に関する全12回の連続講座をスタートします。

初診日は、障害年金の手続きにおいて支給の可否や受給額に直結する最重要ポイントです。にもかかわらず、初診日の証明がうまくできず、手続きそのものが進まないというケースは決して少なくありません。

この講座では、初診日の基本的な考え方から、証明に困ったときの解決方法、さらに専門家でないと把握しづらい特殊な取り扱いまで、実務的に役立つ形で詳しく解説していきます。


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初診日とは?障害年金における定義

まず、障害年金における初診日は、次のように定義されています。

「障害の原因となった傷病について、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日」

一般的に「初診日」と聞くと、「その病院で初めて受診した日」をイメージしがちですが、障害年金ではそうではありません。

障害年金でいう初診日とは、ご自身の傷病に関する一連の受診歴の中で、最も古い受診日を意味します。
つまり、転院が複数あっても、初診日は基本的に「その傷病につき1つ」です。


なぜ初診日が重要なのか

初診日が重要である理由は、障害年金の制度が初診日を基準にして成り立っているからです。

具体的には、初診日によって次の2つが決まります。

① 保険料納付要件の判断

障害年金には「保険料納付要件」があり、要件を満たしていなければ障害年金を受給できません。
この納付要件は、初診日を基準にして判定されます。

② 障害認定日の特定

障害年金では、原則として初診日から1年6ヶ月後が「障害認定日」とされます。
障害認定日がいつなのかによって、認定日請求が可能か、遡及請求ができるかなどが決まります。

このように、初診日が正しく特定できないと、受給要件の判定そのものができなくなるため、障害年金が受給できない可能性が出てきます。


なぜ初診日の証明が難しいのか

初診日が重要であるにもかかわらず、多くの方が初診日証明で苦戦する理由は、初診日を証明するための書類取得が難しいケースが多いためです。

基本的な初診日証明の方法は、初診日の医療機関に依頼して「受診状況等証明書」を作成してもらい、提出することです。

受診状況等証明書は、カルテ記録をもとに初診日や受診経過などを記載する書類です。

しかしここで問題になるのが、医療機関におけるカルテ保存義務です。

カルテの保存義務は「5年」

医療機関におけるカルテの保存義務は、法律上5年とされています。

つまり、5年を超えるとカルテを保存しておくか破棄するかは医療機関の判断となり、実際には初診日が古い方ほど、初診病院にカルテが残っていないということが珍しくありません。

また、病歴が長い方は複数の医療機関を受診していることも多く、さらに初診病院が小規模医療機関の場合は、閉院しているというケースもよくあります。

こうした「カルテ破棄」や「閉院」にあたってしまうと、初診病院から受診状況等証明書が取得できず、初診日証明が一気に難しくなります。


初診病院の証明が取れない=もう受給できない、ではありません

初診病院から受診状況等証明書が取得できないと、「もう障害年金は無理なのでは」と不安になる方も多いと思います。

しかし、結論としては、そんなことはありません。

審査側も「落とすために審査をしている」わけではなく、客観的に見て合理的に初診日を推定できる資料が整えば、初診日が認められる可能性があります。

このあたりは、専門家でないとなかなか知らないような複雑な取り扱いもありますが、実務的には「何とか解決できる」ケースも少なくありません。

そのため、この連続講座では、初診日の証明に関する様々な方法を具体例や通達に基づいて、順番に解説していきます。


今後の講座の概要(全12回)

初診日は一見シンプルな概念ですが、実務上は様々な特殊な取り扱いがあり、誤解やつまずきが起こりやすい分野です。

この講座では、初診日に関して、

  • 初診日証明の基本的な進め方
  • 受診状況等証明書が取れない場合の考え方
  • 2番目以降の医療機関の記録を使った証明
  • 第三者証明・健康診断等を使った証明
  • 相当因果関係や特殊な初診日の取り扱い
  • 実務上の注意点(医療機関への依頼の仕方など)

など、初診日証明を行ううえで必要となるポイントを段階的に整理してお伝えしていきます。

初診日の証明がうまくできず、障害年金の手続きが進んでいない方を一人でも救えれば、大変嬉しいです。


初診日に課題がある場合は、早めに専門家へ相談も検討を

この講座は、ご自身で手続きを進められるように作成していますが、初診日に課題がある場合は、手続きの難易度が一気に上がります。

初診日は、障害年金の権利そのものに大きく影響するため、専門家の支援を受けた方がスムーズに受給につながるケースも多いです。

もうどうしたらいいかわからない、という場合は、早めに障害年金に詳しい社労士へ相談することも選択肢として検討してみてください。


次回予告

次回【第2回】では、「初診日証明の進め方」について詳しく解説します。

初診日証明の作業は、最初にどのような順番で確認・準備をしていくかがとても重要です。
ぜひ次回も参考にしていただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026年01月03日 10:00

障害年金の手続き|年金証書の見方と初回振込までの流れ

第12回|障害年金が決定した後に確認するポイント

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

これまで、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、手続きの全体像や手順、各作業での注意点が分かるように、全12回にわたって解説してきました。今回が最後の第12回となります。

前回は「障害年金の審査にかかる期間」について解説しました。審査が終了すると、ご自宅に結果通知が届くようになります。

その中に「年金証書」が入っていれば、無事に認定されたということです。ここまで来てようやく一安心できる方も多いと思います。

ただ、認定されたら次に気になるのが、「いつ振り込まれるのか」という点です。

そこで今回は、最後となる第12回として、年金証書の見方と、実際の振込までのスケジュールについて解説します。


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そもそも年金証書とは?

年金証書とは、年金を受ける権利があることを証明する書類です。

年金証書の見方は項目が多く、最初は戸惑うかもしれませんが、まずは「自分が知りたいところ」を押さえれば大丈夫です。

特に多くの方が気になるのは、

  • 認定された等級
  • 更新(次回診断書提出)の時期
  • 支払開始年月
  • 年金額

の4つです。


まず最初に見るべき:等級と更新時期

年金証書の右下に、「障害基礎・障害厚生年金の障害状況」という項目があります。

① 障害の等級

ここに、認定された等級が記載されています。

「2級」や「3級」といった等級に加えて、
「2級16号」のようにまで書かれていますが、号は「どの基準で認定されたか」を示すものです。

専門家は号まで見ますが、ご自身としては何級だったかを確認すれば十分です。

② 診断書の種類

次に、今回認定に使用された診断書の種類が記載されています。

数字だけで分かりづらいですが、診断書の種類は番号で決まっています(例:精神の診断書は7番)。
ただし、更新時にも「同じ種類の診断書」が求められるだけなので、ここもあまり気にしすぎなくて大丈夫です。

③ 次回診断書提出年月(更新時期)

ここに記載されている「何年何月」が、次回の更新審査の時期です。

少なくとも、この更新時期が来るまでは、障害年金の権利がなくなることはありません。

認定期間は1年~5年の範囲で決まり、更新月は誕生月と決まっています。


年金証書の構成:3つのパートでできています

年金証書は大きく分けると、次の3つで構成されています。

  • 上部:証書部分(青色)
  • 中段:厚生年金保険 年金決定通知書
  • 下段:国民年金 年金決定通知書

それぞれ順番に見ていきましょう。


① 上部(証書部分):まず「障害」と書かれているか確認

上部の証書部分には、年金の種類として「障害」「老齢」「遺族」などが記載されます。

障害年金の手続きが認定された場合は、ここが「障害」になっていることを確認しましょう。

次に「受給権を取得した年月」が記載されています。

ここで重要なのは、

年金が支給されるのは、受給権が生じた月の「翌月分」から

という点です。

つまり、受給権を取得した年月と支給開始月は同じになりません。

また、

  • 事後重症請求:提出月が受給権発生日
  • 認定日請求:障害認定日の月が受給権発生日

となりますので、受給権取得年月を見ることで、遡及が認められたのか、事後重症として認められたのかが判断できます。


② 厚生年金決定通知書:支払開始年月と年金額を確認

厚生年金決定通知書で重要なのは、次の4つです。

  • 支払開始年月
  • 基本となる年金額
  • 加給年金額(または加算額)
  • 年金額(合計)

支払開始年月

支払開始年月は、先ほどお伝えしたとおり、受給権取得月の翌月になっているはずです。ここを確認しましょう。

基本となる年金額(報酬比例部分)

障害厚生年金の基本額は、平均標準報酬額や加入月数などから算出される「報酬比例部分」です。

ただし、3級の場合は、算出額が最低保証額を下回ると最低保証額が適用されます。

加給年金額

障害厚生年金の1級・2級に該当し、一定の収入以下の配偶者がいる場合は加給年金が加算されます。

内訳は複雑ですが、最終的には右端の「年金額」を確認するのが一番分かりやすいです。


③ 国民年金決定通知書:障害基礎年金の部分

国民年金決定通知書の欄は、

  • 障害基礎年金を受給された方
  • 障害厚生年金2級以上の方(基礎年金も併給)

に記載されます。

障害厚生年金3級の方は、ここが記載されませんので注意しましょう。

見方は厚生年金と同じで、ここも右端の年金額を確認すれば大丈夫です。

基礎年金の基本額(令和6年度)

基礎年金の金額は定額で、令和6年度では以下のとおりです。

  • 2級:81万6,000円
  • 1級:102万円

子の加算

障害基礎年金(または障害厚生年金2級以上)では、18歳年度末までの子、または一定の障害を持つ20歳未満の子がいる場合に子の加算があります。

こちらも内訳は複雑なので、右端の年金額を確認すれば十分です。


最終的な年金額は「厚生+国民」の合計です

障害厚生年金2級以上の方は、厚生年金と国民年金の両方に金額が記載されています。

「どちらが支給されるの?」と迷う方が多いのですが、
両方の年金額を合算した金額が支給されるのが正しい理解です。

また、年金証書の金額は「受給権取得年の金額」です。
年金額は毎年改定されますので、特に遡及請求の方は、証書の金額が最新の金額ではない点に注意しましょう。


年金は「偶数月15日」に2ヶ月分ずつ振り込まれます

年金は原則として、偶数月の15日に、2ヶ月分まとめて振り込まれます。

たとえば、

  • 4月・5月分 → 6月15日
  • 6月・7月分 → 8月15日

というように、年金は後払いで支給されます。

また、15日が土日祝にあたる場合は、前倒しで振り込みになります。

毎月振り込まれるわけではありませんので、金銭管理上の注意が必要です。


初回振込は「奇数月」になることもあります

年金は原則偶数月支給ですが、認定後の初回振込は、例外的に奇数月になることがあります。

通常は、年金決定が出ると、決定日の翌月または翌々月の15日に初回支給されることが多いです。

目安としては、

  • 月の前半(2週目くらいまで)に決定 → 翌月15日
  • 月の後半に決定 → 翌々月15日

となるケースが多い印象です。

ただし、他の年金の受給があるなど、何かしら調整が必要な場合は、さらに1ヶ月ほど遅れることもあります。

初回振込がいつ・いくらになるかは、支給日の直前に通知が届きますので、そこで確認できます。
また、事前に窓口に確認すると教えてもらえることもありますので、不安な方は相談してみましょう。


事例でイメージ:申請から決定、振込までの流れ

流れをつかみやすいように、ひとつ事例で確認してみます。

例:6月末に事後重症請求 → 9月24日に決定

この場合、受給権発生日は申請日である6月末となるため、
年金は7月分から支給対象となります。

ただし、8月15日(7月分の本来の振込日)の時点ではまだ決定していないため、当然支給されません。

9月24日に決定が出たとしても、直近の振込日(10月15日)までの期間が短く、処理が間に合わないため、
初回振込は11月15日になる可能性が高いです。

この場合、7月~9月分が未払いとなっているため、例外的に奇数月で支給されます。

そして、その後は通常どおり偶数月支給に戻り、
10月・11月分は12月15日に支給される流れになります。

どの月の年金が、いつ振り込まれるのかを理解しておくことは、家計管理の面でもとても重要です。


まとめ:証書確認と振込ルールを理解して、安心して受給を迎えましょう

今回は、年金証書の見方と振込までの流れについて、

  • 等級と更新時期は証書右下で確認する
  • 支払開始年月は受給権取得月の翌月
  • 厚生年金と国民年金がある場合は合算が支給額
  • 年金は偶数月15日に2ヶ月分ずつ支給
  • 初回振込は例外的に奇数月になることがある

というポイントを解説しました。

これまでの全12回で、障害年金手続きの全体像や各工程の注意点を段階ごとに整理してお伝えしてきました。

すべてをご覧いただいた方、ありがとうございました。
まだ途中までしか見ていない方も、実際に手続きを進める際には、必要な回をぜひ見返していただければと思います。

このシリーズが、少しでもご自身で手続きを行う方の助けになれば幸いです。
今後もテーマを決めて、さらに詳しい解説も行っていきたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026年01月02日 10:00

障害年金の手続き|障害年金の審査にかかる期間はどれくらい?

第11回|審査期間の目安と遅くなる理由(返戻・医師照会)

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回は、窓口で提出する障害年金の請求書類についてお話しました。
前回までで障害年金の請求手続き自体は完了となりますが、実際に受給できるかどうかは、審査結果を待つ必要があります。

提出が終わってほっと一息つけるところですが、結果が出るまでの待っている期間は不安が大きいかと思います。

そこで第11回の今回は、障害年金の審査にかかる期間について解説します。


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標準の審査期間は「3ヶ月」

障害年金の請求書類を提出すると、受付時に書類が交付されます。
その中にも記載されていますが、障害年金の標準の審査期間は3ヶ月です。

多くの方の審査は3ヶ月以内で終了し、ご自宅に認定結果の通知が届くことになります。

ただし、ここで重要なのは、あくまでも標準期間が3ヶ月ということです。
3ヶ月以内に必ず終わるわけではありません。

審査期間は個々の状況によって前後します。
早い方では1ヶ月半ほど、遅い方では半年を超えることもあり、稀に1年以上かかる方もいらっしゃいます。


審査が早く終わりやすいケース

比較的審査が早く終わるのは、障害等級の認定が容易なケースです。

例えば、視力や聴力のように数値で判断できるものは、認定基準の当てはめが明確です。

また、障害年金には「一定の状態で等級が決まっているもの」もあります。

  • 人工関節・人工肛門:3級
  • 人工透析:2級

こうした基準が明確なケースでは、3ヶ月を待たずに審査が終了することも多いです。


審査に時間がかかりやすいケース

反対に、精神疾患や内科系の傷病は、認定基準が比較的あいまいな部分があり、審査に時間がかかる傾向があります。

もちろん、明らかに該当する状態であればスムーズに進みますが、
等級の境界に近い重さの場合は判断に時間がかかりやすいです。

また、遡及請求のように診断書を複数提出する必要がある場合は、
過去と現在それぞれで等級判断が必要になるため、審査時間が延びる要素になります。

ただし、これらの理由だけであれば、多くの場合は3ヶ月程度で終了します。


審査が大幅に遅くなる主な原因:「返戻」と「医師照会」

審査期間が明らかに長くなるのは、返戻(へんれい)医師照会が必要になるケースです。

返戻とは?

返戻とは、書類の不備や不足、追加提出が必要と判断された場合に、
提出した書類一式が返送され、必要事項の対応を求められることをいいます。

返戻があると、その時点で審査が中断されてしまうため、
対応が遅れるほど結果が出るのも遅くなります。

目安としては、返戻が1回入るだけで数週間~1ヶ月程度は審査期間が延びると考えておくとよいでしょう。


「返戻=不支給」ではありません

SNSなどでよく見かけるのが、
「返戻が来たら不支給になる」という話です。

確かに、返戻後の対応を経て不支給になるケースもあります。

しかし、返戻があっても支給になるケースは普通にありますし、
返戻がなくても不支給になるときは不支給になります。

つまり、返戻が来たからといって、それだけで不支給が決まるわけではありません。


返戻の内容には2種類あります

① 審査に影響しない返戻(単純な不備の修正)

例えば、

  • 記載漏れ
  • 書類の軽微な不備
  • 不足書類の提出

といったケースです。

この場合は「不備があるため処理が進まない」だけであり、指示どおりに対応すれば審査は進みます。
返戻自体が審査結果に影響することは基本的にありません。

② 審査に影響する返戻(初診日・等級に関する追加確認)

返戻の中には、初診日や障害状態の重さなど、権利発生や等級判断に関わる重要な内容が含まれることがあります。

この場合、審査側が「認定できるかどうか悩んでいる」状態であることも多く、
医師に問い合わせが入る医師照会が行われることもあります。

結果として支給になる場合もあれば、不支給になる場合もあり、ポジティブ・ネガティブ両方の可能性があります。

いずれの場合も、返戻が来たら内容をよく確認し、速やかに対応することが重要です。


返戻が複数回になると審査はかなり長期化します

審査側が本当に悩んでいる場合には、返戻が複数回行われることがあります。

このような場合は審査期間がかなり長くなり、半年を超えることもあります。

不安な期間が長くなってしまいますが、根気強く結果を待つ必要があります。

ただし、返戻は審査が止まっている状態でもあるため、
返戻への対応が遅れれば遅れるほど審査が長引くことになります。

返戻が届いた場合は、焦るだけでなく、内容を冷静に確認して対応するようにしましょう。


審査状況が気になる場合は電話で確認することも可能です

どうしても審査状況が気になるという方は、電話で審査状況を確認することも可能です。

ただし、審査状況といっても、

  • 審査中か
  • 審査が終了したか

程度の案内しか受けられず、結果そのものは教えてもらえません。

結果は、必ずご自宅に届く通知で確認することになります。

それでも、審査が終わったかどうかだけでも分かると安心につながることもありますので、
どうしても気になる場合は窓口へ相談してみてください。


まとめ:心構えとしては「3ヶ月以上かかる」と思って待つ

今回は、障害年金の審査期間について、

  • 標準は3ヶ月(ただし必ず3ヶ月以内ではない)
  • 明確な障害ほど早く、精神・内科・遡及は時間がかかりやすい
  • 返戻や医師照会があると大幅に遅くなる
  • 返戻=不支給ではない
  • 審査状況は電話で確認できるが結果は通知で確認する

というポイントを解説しました。

心構えとしては、「早く終わるかも」と思うほど不安が増えるため、
最初から3ヶ月以上はかかると思って待っておくとよいかと思います。

次回【第12回】は、年金証書の見方と実際の振込までのスケジュールについて解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2026年01月01日 10:00

2026年 新年のご挨拶

年始の挨拶2026

新年、明けましておめでとうございます。

旧年中は格別のご厚情と賜り、厚く御礼を申し上げます。

2026年もファーリア社会保険労務士法人は、引き続き皆様をしっかりサポートできるように、社会保険労務士業に取り組んでいきたいと存じます。

本年も皆様の心に寄添うサービスが提供できますよう、 より一層のサービス向上を職員一同心がけてまいります。

何とぞ昨年同様のご愛顧を賜わりますようお願い申し上げます。
本年もどうぞ宜しくお願い申し上げます。

皆様のご健勝とご発展をお祈り申し上げます。

2026年01月01日 08:00

障害年金の手続き|請求手続きで出てくる書類一覧と注意点

第10回|請求手続きで出てくる書類一覧と注意点

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回は、障害年金の請求手続きに必要な添付書類について解説しました。
そしていよいよ、年金事務所などの窓口で最終的な障害年金請求手続きを行う段階に入ります。

第10回の今回は、窓口で提出する障害年金の請求書類について解説します。

なお、この記事では「書き方そのもの」の解説は行いません。
窓口(年金事務所・街角の年金相談センター)では、どこに何を書けばよいかを事細かに案内してくれますので、
ここではどんな書類が出てくるのかを事前に把握できるよう、一覧として整理してご紹介します。


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窓口で提出する「請求書類」は人によって変わります

障害年金の請求では、全員共通の書類に加えて、

  • 請求方法(認定日請求/事後重症請求/遡及請求)
  • 初診日が古いかどうか
  • 事故・労災などの有無
  • 住所(住民票と居住地)が一致しているか
  • 他の年金の受給状況

などによって追加で必要書類が発生します。

ここからは、窓口で案内される可能性がある書類を順番にご紹介します。


【1】基本となる「年金請求書」

まず、障害年金請求の基本となるのが年金請求書です。

請求書は、

  • 障害厚生年金
  • 障害基礎年金

で様式が異なります。

ご自身の手続きに該当する請求書が窓口で案内されますので、案内に従って記載します。


【2】年金生活者支援給付金請求書

次に、年金生活者支援給付金請求書です。

年金生活者支援給付金は、簡単にいうと2級以上の障害年金を受給される方に支給される給付金です。

この請求は、障害年金が決定してから提出するのではなく、障害年金の請求手続きと同時に提出します。

そのため、提出しても結果として3級以下になった場合などは、給付金について不支給決定通知が届きます。

なお、はじめから3級になる可能性が高いと分かっているケース(人工関節など)でも、状態によって2級になる可能性がゼロではありません。
審査がある以上、形式的に提出が必要になりますので、面倒でも記載して提出するようにしましょう。


【3】遡及請求をする場合:請求事由確認書

障害認定日から1年以上経過してから障害認定日請求を行う、いわゆる遡及請求を行う場合には、請求事由確認書を提出します。

この書類は、

過去に遡って審査してもらうが、もし認定日時点では認められない場合は、事後重症請求として現在分からでも認めてほしい

ということを事前に申し出る書類です。

遡及請求を行う場合には、形式的に必ず必要となります。


【4】遡及請求で現在の方が重い場合:額改定請求書

額改定請求書は、必ず提出しなければならない書類ではありません。

そのため、窓口でもこちらから言わないと案内されないことも多い書類です。

どんなときに必要?

遡及請求では、

  • 認定日時点の診断書
  • 現在分の診断書

の2枚を提出します。

このとき、過去より現在のほうが症状が重い場合、
認定日時点は3級、現在は2級といった認定になる可能性があります。

しかし、認定の結果が「認定日時点3級、現在も3級」のように同じ等級になる場合もあります。

ここで、もし現在の等級結果に納得がいかなかったとしても、額改定請求書を提出していない場合は、現在分の等級について審査請求ができません。

このパターンで「不服申立てをしたい」という相談はとても多いのですが、
たいていの方は額改定請求書を出していないため、審査請求そのものができず、
改めて診断書を取得して額改定請求をするしか選択肢がなくなってしまいます。

「額改定を行わない決定通知」が届くことがある

額改定請求書を提出すると、望んだ認定(例:過去3級、現在2級)になったとしても、
ほぼ間違いなく「額改定を行わない決定通知」が届きます。

これは審査上の仕組みによるものですが、通知を見てショックを受ける方が非常に多いです。
落ち着いて、ご自身の現在の等級がどう決定されたのかは窓口へ確認するようにしましょう。

認定日時点と現在で重さが大きく違う場合は、額改定請求書の提出について窓口で相談することをおすすめします。


【5】5年以上前の遡及請求をする場合:遅延に関する申立書

年金を受け取る権利は、権利が発生してから5年が経過すると時効によって失われます。

ただし、特段の事情がある場合は、その理由を申し立てることで権利喪失を免れることがあります。

そのため、5年以上遡って認定日請求(遡及請求)を行う場合は、年金裁定請求の遅延に関する申立書を提出します。

遅れた理由は深く考えすぎず、一般的には
「年金を請求することができると知らなかった」を選択すれば問題ありません。


【6】第三者行為・労災の場合:事故状況届・確認書・同意書

障害の原因が、事故など第三者からの行為による場合や労災の場合には、次の書類が必要です。

  • 第三者行為事故状況届
  • 確認書
  • 同意書

交通事故・鉄道事故・事件など第三者の行為によって障害を負った場合、
相手方から損害賠償が支払われる可能性があります。

このときは障害年金との調整が行われるため、事故内容や賠償状況を確認する必要があります。
そのため、年金側が調査することや調整に同意することを、書類として提出します。

交通事故の場合の注意点

  • 交通事故証明書の添付が必要
  • 交通事故証明書は5年経過で交付が受けられない
  • 交付不可の場合は新聞記事など代替資料を添付する
  • 自損事故でも書類提出が必要

損害賠償を受け取っている場合や内容が決まっている場合は、金額や内訳が分かる書類のコピーも添付します。


【7】住民票住所と異なる場所に住んでいる場合:居所登録届

住民票住所と異なる場所に住んでいて、通知等を実際の居住地に届けてほしい場合は、年金受給権者住所変更・居所登録届を提出します。

裁定請求書には実際の住所を記載し、この届書を提出することで、障害年金関係の通知等の送付先を変更できます。


【8】20歳前障害(基礎年金)で5年以上遡る場合:所得の申立て

20歳前に初診日がある障害基礎年金では、所得が一定以上あると年金が停止されるため、年度ごとに所得確認が必要になります。

ただし、所得証明書の交付やマイナンバーで確認できるのは過去5年度分です。

そのため、5年以上前に遡って認定日請求をする場合は、5年以上前の所得について、おおよその金額を申し出る必要があります。

年度ごとに詳細に申し出る必要はなく、

  • 「認定日のある年度以降、現在まで無職無収入でした」
  • 「給与収入のみで、おおよそ年収200万円程度でした」

といった形で大丈夫です。

時効により支払い対象にならない年度分でも、形式的に申立てが必要になる場合がありますので、窓口の指示に従って作成しましょう。


【9】他の年金を受給している場合:選択申出書

障害年金以外に、

  • 老齢年金
  • 遺族年金
  • 他の傷病での障害年金

などを受給している場合は、どの年金を受け取るか選択が必要になるため、選択申出書を提出します。


【10】先天性疾患などの場合:初診日に関する調査票

先天性股関節疾患や、網膜色素変性症などの先天性の眼疾患、先天性の耳の病気などで請求する場合は、障害年金の初診日に関する調査票を提出することがあります。

ご自身で判断するのは難しいため、窓口から必要と言われた場合は指示に従って作成しましょう。


最後に:窓口の指示に従っても「書いたのは自分」です

ここまで様々なケース別の書類をご紹介しましたが、基本的には窓口で言われるがままに記載すれば大丈夫です。

ただし、これだけは必ず覚えておいてください。

たとえ指示された通りに書いても、実際に記載して提出したのは「ご自身」です。
つまり、それはご自身の意思でその請求手続きを行った、という扱いになります。

たとえば、遡及請求をするつもりだったのに、窓口の指示のまま事後重症請求に丸をつけて提出してしまえば、
当然、遡及して認定されることはありません。

この状態で「遡及できなかったので審査請求をしたい」と相談を受けることがありますが、
残念ながら、事後重症請求を自分でしている以上、審査請求はできません。

提出後の審査の過程で、書類の訂正を指示される場合も同様です。
指示されても、必ず訂正しなければならないとは限りません。

訂正に納得できない場合は、その場で協議し、必要に応じてそのまま審査を受ける選択も可能です。

請求書類は基本的には言われるがまま書いて大丈夫ですが、
納得できない点があれば必ず確認し、話し合ったうえで記載して提出しましょう。


まとめ

今回は、窓口で提出する障害年金の請求書類について、代表的なものを一覧としてご紹介しました。

状況によって提出書類は変わりますが、基本は窓口で丁寧に案内してくれますので、指示に従って準備すれば大丈夫です。

ただし、提出した内容は「ご自身の意思で提出したもの」として扱われます。
納得できない点は必ずその場で確認し、納得したうえで手続きを進めるようにしてください。

次回【第11回】は、障害年金の審査期間について解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年12月31日 10:00

障害年金の手続き|障害年金の請求手続きに必要な添付書類​​​​​​​

第9回|窓口提出前に準備しておくもの一覧

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回・前々回と、病歴・就労状況等申立書について解説を行いました。
これまでの回で、障害年金請求で特に重要な3つの書類、受診状況等証明書・診断書・病歴・就労状況等申立書について理解が深まったかと思います。

これらの書類が揃ったら、いよいよ窓口で最終的な障害年金請求手続きを行うことになります。

ただし、障害年金請求手続きには、状況に応じて必要となる添付書類がいくつかあります。
提出直前で慌てないように、あらかじめ準備しておくことが大切です。

そこで第9回の今回は、「障害年金の請求手続きに必要な添付書類」について整理して解説します。


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まず大前提:添付書類は「状況によって複雑」になります

添付書類は、すべての方に共通するものもありますが、家族状況や年金の種類、加算対象の有無、住民票の状態などによって必要な書類が変わります。

年金事務所等の相談窓口から事前案内がある場合は、必ず指示をよく聞いて準備をしてください。

ここではまず、ほとんどの方に共通する添付書類から紹介します。


【1】単身の方(配偶者・子なし)の基本的な添付書類

① 年金振込を希望する口座通帳の写し

まず必要となるのが、年金の振込先となる口座通帳の写しです。

添付が必要な情報は、以下のとおりです。

  • 金融機関名
  • 支店名
  • 口座の種類(普通/当座)
  • 口座番号
  • 口座名義(カナ氏名)

紙の通帳の場合は、開いて1枚目(口座情報が載っているページ)をコピーすれば、ほとんどの場合で情報が揃います。

もし通帳がなくキャッシュカードしかない場合は、口座の種類の記載がないことが多いですが、
その場合はコピーの余白などに「普通口座」で問題ない旨を記載すれば足ります。

注意点:年金は「普通預金」または「当座預金」の口座にしか振り込めません。
貯蓄型預金口座などは対象外ですので注意しましょう。

通帳コピーの代わりに金融機関証明を受ける方法もある

請求書の1ページ目には、金融機関から証明を受ける欄が設けられている場合もありますが、
実務上は手間がかかるため、通帳コピーを添付する方法が現実的です。

ネットバンキング(オンライン口座)について

銀行・信用金庫・JAバンク・ゆうちょ銀行など、ほぼすべての金融機関が利用できます。
オンライン口座も対応可能な場合が多いですが、ネットバンキングは対象金融機関が限られるため、窓口や案内資料で確認しましょう。


② 障害者手帳をお持ちの場合は手帳の写し

身体・精神・療育などの障害者手帳をお持ちの方は、手帳の写しを添付します。


③ マイナンバーの確認書類と本人確認書類

障害年金請求書にマイナンバーを記載する場合、

  • 番号が確認できる書類
  • 本人確認書類

の添付が必要です。

マイナンバーカードをお持ちであれば、それ1枚で完結します。

マイナンバーカードがない場合は、以下の組み合わせが必要になります。

  • 番号確認書類:マイナンバー入り住民票/通知カード など
  • 本人確認書類:免許証/パスポート/障害者手帳 など

注意点:通知カードは、引っ越し等で住所・氏名が本人確認書類と一致していない場合は使用できません。

マイナンバーが分からない場合

マイナンバーが分からない場合でも、基礎年金番号で手続きすることは可能です。
ただしその場合は、住民票や所得証明書などが必要になることがありますので、窓口で事前確認しましょう。


【2】加算対象の配偶者・子がいる場合に必要な書類

加算がつくのは次のようなケースです。

障害基礎年金の場合(子の加算)

  • 生計維持関係がある「18歳の年度末までの子」
  • または、障害状態にある「20歳までの子」

障害厚生年金(2級以上)の場合(子+配偶者の加算)

  • 生計維持関係がある子
  • 生計維持関係がある配偶者

これらの加算対象者がいる場合は、生計維持関係の確認のために以下の書類が必要になります。

  • 戸籍謄本
  • 世帯全員分の住民票
  • 加算対象者の所得証明書

平成29年4月以降の手続きでは、マイナンバーを記載することで住民票や所得証明書を省略できるケースがあります。
ただし、戸籍謄本は現時点では省略できないため、必ず取得が必要です。


戸籍謄本には有効期限があるので注意

戸籍謄本は取得したらいつでも使えるというわけではなく、有効期限があります。

  • 障害認定日請求:障害認定日以後、請求日以前6か月以内のもの
  • 事後重症請求:請求日以前1か月以内のもの

本籍地が遠方の場合は郵送取得も可能ですので、本籍地のある市区町村役場に確認してみましょう。


配偶者・子のマイナンバーの添付について

配偶者や子のマイナンバーについては、番号確認書類や本人確認書類の添付は不要です。

ただし、マイナンバーを記載しない場合は、住民票や所得証明書などの添付が必要となる場合があります。
マイナンバーを使用しないだけで書類が増えてしまうことも多いため、基本的にはマイナンバーを記載することをおすすめします。

家族のマイナンバーが分からない場合は、マイナンバー入りの住民票を取得すれば全員分を確認できます。

また、障害基礎年金の請求書には配偶者の基礎年金番号を記載する欄がありますので、事前に確認しておきましょう。
こちらは添付書類は不要です。


【3】世帯が分かれている・別居している場合(生計同一関係の注意)

次のようなケースでは、追加で対応が必要になります。

  • 単身赴任などで別居している
  • 住所は同じだが世帯を分けている
  • 住民票上は別居だが、実際は同居している

このような場合は、「生計同一関係に関する申立書」を作成し、事情を説明する必要があります。

また、別居状態や住民票が別になっている場合には、原則として第三者による証明が求められることがあります。

ただし、第三者証明は手間がかかるため、

  • 健康保険の扶養
  • 給与の扶養手当
  • 税法上の扶養

など、扶養関係が確認できる書類を添付することで省略できることもあります。


【4】配偶者が「事実婚(内縁)」の場合

配偶者については、事実婚(内縁)であっても加算の対象になります。

この場合は、

  • それぞれの戸籍謄本
  • (マイナンバーを記載しない場合)世帯全員分の住民票・所得証明書
  • 事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書

などを提出し、共同生活の実態があることを申し立てます。

また、世帯を分けている・別居している場合は、第三者証明や内縁関係の事実を確認できる書類が必要となることがあります。

審査側で事実婚状態にあると認められれば、配偶者加算が認められる流れになります。


まとめ:ほとんどの方は「通帳・手帳・マイナンバー・戸籍謄本」

ここまで様々なケースに分けて添付書類をご紹介しましたが、
実際にはほとんどの方は、以下の書類を準備すれば足ります。

  • 年金振込口座通帳の写し
  • 障害者手帳の写し(お持ちの方)
  • 本人のマイナンバーカード(または番号確認書類+本人確認書類)
  • 戸籍謄本(加算対象がある場合)
  • 家族のマイナンバー(加算対象がある場合)

ただし、世帯状況や別居、事実婚などがある場合は書類が増えることもあります。
ご自身の手続きでどの添付書類が必要になるかは、必ず事前に窓口で確認してから最終手続きに臨むようにしましょう。

次回【第10回】は、窓口で作成する請求書類について解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年12月30日 10:00

障害年金の手続き|病歴就労状況等申立書裏面の書き方の注意点

第8回|病歴就労状況等申立書裏面の書き方の注意点

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回は病歴・就労状況等申立書(表面)の書き方について解説しましたが、今回【第8回】は前回に引き続き、病歴・就労状況等申立書の裏面の書き方について解説します。


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裏面に何を書く?記載項目は大きく4つです

病歴・就労状況等申立書の裏面には、以下の内容を記載します。

  • 障害認定日時点の就労状況(就労している場合/していない場合)
  • 請求時(提出時)現在の就労状況(就労している場合/していない場合)
  • 日常生活の状況(10項目の評価)
  • 障害者手帳の取得状況

表面は白紙に自由記述するため難しいのに対し、裏面は様式が整っているため、記載する内容自体は分かりやすい構成です。

ただし、裏面にも注意点があり、記載の仕方によっては審査に影響することがあります。ここからポイントを整理して解説します。


まず重要:請求方法によって「書く場所」が変わります

裏面は大きく、次の3段に分かれています。

  • 障害認定日の状況
  • 現在(請求時)の状況
  • 手帳の取得状況

このうち、手帳欄は全員記載しますが、上2段(認定日・現在)は、請求方法によって記載するかどうかが異なります。

迷ったら全部書いても問題はありませんが、不要な箇所を省略することで作業量を減らせますので、以下のルールは覚えておくと便利です。

① 通常の障害認定日請求(認定日から1年以内)

「障害認定日時点の状況」のみを記載します。
「現在の状況」は記載不要です。

② 事後重症請求(現在の状態から請求)

「現在の状況」のみを記載します。
「障害認定日時点の状況」は記載不要です。

③ 遡及請求(認定日から1年以上経って請求)

「障害認定日時点の状況」「現在の状況」の両方を記載します。

このように請求方法によって記載欄が決まっていますので、ご自身の請求方法を確認してから裏面の記載を始めましょう。


就労している場合に書く内容(仕事・通勤・出勤日数・様子)

障害認定日時点または請求日現在に就労している場合には、以下を記載します。

  • 仕事内容(簡単な内容)
  • 通勤方法
  • 通勤片道のおおよその所要時間
  • 前月・前々月の出勤日数
  • 就労中や就労後の本人の様子

遡及請求の場合、記載する内容が1年以上前になることもあり、当時の出勤日数を正確に把握することが困難です。
その場合は、所定労働日数と欠勤状況などをもとに「おおよその日数」を記載すれば問題ありません。

通勤方法の書き方にも注意

もし家族の送迎など支援を受けて通勤している場合は、単に「自家用車」と書くだけではなく、

  • 家族が自家用車で送迎
  • 家族の運転による送迎

など、通勤そのものに支援が必要であることが伝わるように記載しましょう。

就労後の様子も重要です

生活のために無理をして働いている場合、仕事が終わると疲れ切って倒れるように寝てしまう方もいます。
そのような「帰宅後の様子」も、重要な情報として記載しましょう。


就労していない場合は「理由」に丸をつけます

障害認定日時点または請求日現在で就労していない場合は、理由欄で該当するものに丸をつけます。

  • ア 体力に自信がなかったから
  • イ 医師から働くことを止められていたから
  • ウ 働く意欲がなかったから
  • エ 働きたかったが適切な職場がなかったから
  • オ その他

そもそも病状から働ける状態ではない場合は、オ欄に
「働ける状態ではない」などと記載すれば問題ありません。


最重要ポイント:日常生活状況(10項目)は慎重に記載する

裏面の中でも特に注意が必要なのが、日常生活状況(10項目)を4段階で評価する欄です。

視力や聴覚など、数値で等級判断ができる障害の場合は、ここをどう書いても審査に大きな影響はありません。

しかし、内科系の疾患精神疾患で手続きを行う場合は、ここが非常に重要になります。

なぜ重要なのか:診断書より軽く判断されてしまう可能性がある

この欄の記載によって、障害状態が診断書よりも軽く判断されてしまう可能性があります。

誤解されがちですが、この欄を重く書けば審査が重くなるということはほとんどありません。
等級判断の中心はあくまで診断書です。

一方で、診断書が重くても、この欄が軽い場合には、
「本人自身が生活の支障は軽いと書いている」と受け取られ、審査が厳しくなることがあります。

つまり、診断書と申立書裏面で差がある場合、軽い方が採用されやすいと考えておくと分かりやすいかもしれません。


具体例:トイレは「用を足せる」だけではありません

多くの方が判断を誤りやすいのが「トイレ」の項目です。

尿意・便意があれば普通にトイレに行けるため、「自発的にできる(1)」を選ぶ方が多いですが、
日常生活としてのトイレはそれだけではありません。

  • トイレットペーパーの補充
  • 汚れた場合の掃除
  • 定期的な清掃
  • 在庫管理

同居者がいる場合、その作業を誰がしているのか。
一人暮らしなら、荒れて悪臭が出るような状態になっていないか。
こうした観点まで含めると、生活に支障が大きい方にとって「自発的にできる」は軽すぎる判断になっているケースが多いです。


迷ったときの考え方:診断書と同等の水準で選ぶ

10項目すべてを細かく考えると、判断が難しくなることもあります。

そのため、日常生活状況を選択する際は、診断書の障害状態の重さと齟齬がないように、同等の水準で選ぶという考え方が有効です。

診断書の判断に準じて選択することは合理的であり、それによって診断書どおりの審査が行われやすくなります。


最後に:困りごと・手帳状況を記載して完成です

日常生活状況の次の欄には、その他強調しておきたい生活上の困りごとを記載します。

最後に、障害者手帳の取得状況を事実のとおり記載して、裏面は完成です。

裏面は特に、日常生活状況の選択に悩まれたり判断を誤ってしまう方が多い印象があります。
ぜひ今回の内容を参考にしながら作成してみてください。


まとめ

今回は、病歴・就労状況等申立書の裏面について、

  • 請求方法によって記載欄が異なること
  • 就労している場合/していない場合の書き方
  • 日常生活状況欄が審査に与える影響と注意点
  • 迷ったときは診断書と齟齬がない水準で記載すること

を中心に解説しました。

次回【第9回】は、手続きの際の添付書類について解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年12月29日 10:00

障害年金の手続き|「自分で書く」最重要書類【病歴就労状況等申立書】の書き方(表面)

第7回|障害年金で「自分で書く」最重要書類【病歴就労状況等申立書】の書き方(表面)

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回は診断書の取得時の注意点について解説しましたが、第7回の今回は、作成にご苦労される方が非常に多い「病歴・就労状況等申立書」について解説します。


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障害年金で重要な3つの書類

障害年金の手続きでは多くの書類を提出しますが、その中でも特に重要な書類が3つあります。

  • 受診状況等証明書
  • 診断書
  • 病歴・就労状況等申立書

受診状況等証明書と診断書は医師が作成する書類ですが、
病歴・就労状況等申立書はご自身で作成する書類です。

この点が、他の書類と大きく異なるポイントであり、多くの方が悩まれる理由でもあります。


病歴・就労状況等申立書は「自由記述」。だから難しい

病歴・就労状況等申立書は、枠があるものの中身は完全に自由記述です。

用紙の上部に書き方は簡単に記載されていますが、

  • どのような内容を
  • どのくらいの分量で
  • どのようにまとめればよいのか

が非常に分かりづらく、記載ルールも緩いため、逆に悩んでしまう方がとても多い書類です。


病歴・就労状況等申立書の役割とは?なぜ重要なのか

それぞれの書類が担う役割を整理すると、以下のようになります。

  • 受診状況等証明書:初診日を証明する書類
  • 診断書:現症日(ある一時点)の障害状態を示す書類
  • 病歴・就労状況等申立書:初診から現在までの経過を時系列でつなぎ、内容を補足する書類

診断書は現症日一点の状態を示すものです。
そこで、その点と点を線でつなぎ、障害状態の経過や生活状況・就労状況を補足する役割を担うのが申立書です。

つまり、申立書は、「診断書に書ききれない背景や経過を補う」という非常に重要な役割を持っています。


申立書は「重要ではない」と言われることもあるが…

「等級判断の9割は診断書だから、申立書はあまり重要ではない」と言われることもあります。

これは実際のところ、半分本当で、半分嘘です。つまりケースバイケースです。

申立書の重要性が低いケース(例:基準が明確な障害)

例えば、初診日が明確で、等級の基準が比較的明確な障害の場合です。

例として、人工関節の挿入は3級に該当するなど、認定基準が明確な場合は、申立書が簡潔でも認定されることがあります。
審査側が余計な検討をする必要がないためです。

申立書の重要性が高いケース(例:精神障害など)

一方で、精神障害など基準の明確性に劣る障害では、申立書の重要性が高まります。

精神障害の等級判断では、例えば以下のような要素が総合的に考慮されます。

  • 前後の経過
  • 周囲からの援助の状況
  • 就労している場合の職場での配慮や援助の状況
  • 福祉サービスの利用状況

診断書にも記載欄はありますが、欄のサイズには限界があります。
そのため、診断書を補足し、状況を具体的に伝えることができるのが申立書です。

ただし、申立書はあくまで補足資料ですので、申立書だけで診断書以上の重い認定になることはありません。
重要なのは、診断書の内容を適切に補うことです。


申立書が「足を引っ張る」ケースもある

申立書は重要な一方で、書き方によっては逆に不利に働くこともあります。

実際の相談事例として、精神障害の手続きで不支給になった方がいました。
診断書や受診状況等証明書には不支給の要素が見当たらなかったのですが、申立書の内容が診断書よりも遥かに軽く書かれていたケースです。

ご家族から話を聞くと明らかに生活への支障があるにも関わらず、ご本人には病識がなく、
「問題がない」ような申立書を作成してしまっていたため、審査側もその書類を前提に判断せざるを得なくなってしまいました。

また、苦労してたくさん書いている申立書でも、日記のようになってしまい、審査で見られる重要要素が書かれていないケースもあります。
これでは、どれだけ書いても審査上プラスになりません。

申立書は、「長く書くこと」ではなく、審査上必要な情報を、読みやすく端的にまとめることが重要です。


作成の前提:可能ならパソコンで作成する

環境的に可能であれば、申立書はできるだけパソコンで作成しましょう。

「手書きの方が気持ちが伝わる」と考える方もいますが、審査ではそのような評価はありません。

審査をする方は膨大な量の書類を処理しています。
短い時間で確実に伝えるためには、読みやすさが大前提です。

パソコンで作成すれば、

  • 読みやすく整えられる
  • 書き直しや修正がしやすい
  • 要点を整理しやすい

というメリットがあります。

ただし、手書きでも提出は可能です。
手書きの場合は、できるだけ丁寧な字で、読みやすい文章を意識しましょう。


まずは枠を区切る:時系列を整理することが最初の作業

申立書は、いきなり文章を書き始めるのではなく、まず枠を区切って時系列を整理することが重要です。

区切り方に明確なルールはありませんが、基本的には以下の考え方がベースになります。

① 受診歴で区切る(基本ルール)

受診歴を洗い出し、

  • 初診の病院
  • 次の病院
  • 受診していない期間(あれば)
  • 現在の病院

という形で、医療機関ごと・受診の有無ごとに区切っていきます。

これは申立書の基本的な記載ルールに近い考え方です。

② 1期間は「5年以内」を目安に区切る

申立書は、一般的に5年以内を目安に区切ることになっています。

5年以上の期間がある場合は、

  • 学歴
  • 職歴
  • 転機となるライフイベント

などを目安に期間を分割していきます。

それでも5年を超える場合は、年末年始や年度単位などで分割し、5年以内に収まるようにします。

ただし、5年以上になっていても審査で細かく指摘されることは実際には多くありません。
必要以上に縛られすぎず、区切りやすいところで区切るという考え方で十分です。

先にここまで期間を区分してしまえば、その期間ごとに記憶を辿ればよくなるため、作成がかなり楽になります。

※発達障害など先天性の傷病については、生まれた日から記載する必要がありますので注意してください。


枠の中に書く内容:何を書けばいいのか

申立書には、発病から現在に至るまでの経過と生活状況を、事実に基づいて時系列で記載します。

具体的には、以下のような内容です。

  • 発病時の状況
  • 初診までの経過
  • 通院頻度や治療内容
  • その時期の日常生活の状況
  • その時期の仕事(就労)の状況
  • 受診していない期間があれば、その理由と体調
  • 病院を変更した理由(転院理由)

重要なのは、時系列に沿って、読み手(審査側)が理解しやすいように端的にまとめることです。

ただし、いきなりきれいに完成させようとすると大変です。
最初は思いつくことをどんどん書き出し、そこから要約して整理していくのが現実的です。


診断書を補足する意識が大切(特に就労している方)

申立書は、認定基準に基づいて診断書を補足する意識が大切です。

特に精神疾患や内科系の疾患で、就労している場合には、

  • 職場での苦労
  • 職場からの配慮の状況
  • 勤怠状況(欠勤・遅刻・早退など)

をしっかり伝えましょう。

生活支援を受けている場合には、援助の内容を具体的に記載することも重要です。


まとめ:申立書は「時系列整理」と「審査に必要な情報の補足」が鍵

今回は、病歴・就労状況等申立書(表面)の位置づけと、作成の基本的な考え方について解説しました。

  • 申立書は「初診から現在までの経過」をつなぐ補足資料
  • 精神障害などでは特に重要性が高い
  • 書き方次第では不利に働くこともある
  • できればパソコンで作成し、読みやすく端的にまとめる
  • まず受診歴で枠を区切り、時系列を整理する
  • 生活状況・就労状況を事実に基づいて記載する

申立書の例については、枠の区切り方や記載内容の参考になりますので、必要に応じて確認してみてください。

次回【第8回】は、病歴・就労状況等申立書の裏面の書き方について解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年12月28日 10:00

障害年金の手続き|障害年金の診断書取得時の注意点

第6回|障害年金の診断書取得時の注意点

こんにちは。社会保険労務士の菅野です。

このシリーズでは、障害年金の手続きをご自身やご家族で行われる方が、障害年金手続きの全体像や手順、各作業においての注意点が分かるように、全12回で解説しています。

前回は「障害年金の診断書の取得」についてお話しましたが、今回【第6回】は引き続き診断書について、障害年金の診断書取得時の注意点を解説します。

今回は、実際に診断書を依頼していただき、診断書が完成して手元に届いた後のお話が中心になります。


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まず最も大切なこと:診断書は必ず開封して確認する

出来上がった診断書は、必ず確認をしてください。ここが一番大切です。

診断書は封をされて渡されることが多いため、
「開けてはいけない」と思い込んで、確認せずに提出してしまう方が非常に多いです。

しかし、診断書はあくまでご自身の病状や生活状況を示す書類であり、
障害年金の手続きは基本的にご自身が主体となって進めていくものです。

ご自身が医師にどのように判断されているのかも分からないまま、
「生活が大変なので障害年金を受けたい」と手続きをするというのは、実はかなり違和感があります。

ですので、診断書を受け取ったら必ず封を開けて、内容を確認するようにしましょう。


診断書は「提出した内容が事実」として審査されます

診断書を確認する際は、

  • 誤りがないか
  • 記載漏れがないか
  • 自分が感じているより軽い内容になっていないか

を必ず確認してください。

診断書は、提出されてしまえば、たとえ内容が事実と異なっていても、その内容が事実として審査が進みます。

審査側はその方の状態を直接把握できませんし、
医師が作成した診断書である以上、それを疑って確認することもしません。

しかし、提出前であれば、記載内容の補正や確認の相談をすることは可能です。
記載漏れ・事実相違があれば、適切に修正をお願いしましょう。


記載漏れ・記載相違は珍しくありません(医師が悪いわけではありません)

記載漏れやちょっとした記載の違いは、実は珍しくありません。

ただし、これは先生が悪いということではありません。
障害年金の診断書は、一般的な診断書と比べて圧倒的に細かく、作成負担が大きい書類です。

先生方は本来業務である診療の合間や、業務終了後に診断書作成をされるため、
時間がかかるのも当然ですし、細かい抜けや相違が出てしまうこともあります。

そのため、診断書は「誤りがある可能性があるもの」と理解したうえで、丁寧に確認することが重要です。


「病状の重さ」そのものの相談は慎重に(信頼関係を壊さない)

診断書の内容について医師に相談する際は、

  • 記載漏れ
  • 事実と異なる記載
  • 認識の違い(生活状況や症状の伝わり方)

といった「事実確認の範囲」で相談することが大切です。

一方で、医師が状態を十分把握しているうえで作成された診断書であれば、
それは医学的に判断された内容です。

医療機関は治療の場ですので、適切な範囲を超えて、
「単に重く書いてほしい」とお願いすることは避けるべきです。

そのような依頼は、医師との信頼関係を壊し、治療に影響する可能性があります。
診断書の相談は、あくまでも「実体に即した内容かどうか」の確認に留めましょう。


修正・追記が必要になりやすい項目(確認ポイント)

① 日付関係(漏れ・誤記が多い)

診断書には日付が入る箇所が非常に多く、漏れや誤記が起こりやすい部分です。

特に重要なのは、前回もお話した現症日です。
必要な日付になっているかを必ず確認してください。

また、傷病の発生年月日や初診日の欄もありますが、ここは医学的判断が関わるため、
ご自身が考えている内容と相違する場合もあります。必要に応じて医師と相談しましょう。

ただし、発生年月日や初診日の欄の中でも、
「診療録で確認」「本人申立」の選択と、その日付の欄は非常に重要です。

初診病院で受診状況等証明書が取得できている場合は神経質になる必要はありませんが、
初診病院で取得できず、診断書作成病院の記録に頼って初診日証明を行う場合は、
この欄の記載が初診日認定の命綱になることがあります。

具体的には、

  • 本人申立になっていること
  • その日付が5年以上前であること

が重要です。

実際には、カルテに5年以上前の記載があるにもかかわらず、
誤って本人申立の日付が直近になってしまうケースもあります。

該当する方は特に注意して確認しましょう。

② 検査数値(結果通知と照らし合わせる)

検査数値が記載される項目は、診断書とは別にご自身にも結果通知がある場合が多いと思います。
その数値が正しく転記されているか確認しましょう。

また、視力・聴力など、検査結果で等級判断が明確な障害の場合は、
認定基準と照らし合わせて事前に確認することをおすすめします。

検査数値で明確に等級非該当となる場合、手続きを行っても意味がないケースもあり得ます。
ご自身の傷病の基準を確認することが重要です。

③ 肢体の診断書(補助具を使用しない状態で評価する)

肢体の診断書では、日常生活動作の障害の程度について、
「補助用具を使用しない状態で判断してください」と明記されています。

しかし稀に、補助具を使用した状態の内容が記載されてしまうケースがあります。

補助具があれば当然できることが増えるため、診断書が軽くなり、
低い等級や不支給の原因になることがあります。

診断書を確認する際には、
「どのような検査を受けたか(補助具を付けていたか)」を思い出しながら、該当欄を確認しましょう。

④ 精神の診断書(確認ポイントが多い)

精神の診断書は作成件数も多く、注意点も多いため、代表的なポイントを紹介します。

・ICD-10コードの記載漏れ

精神の診断書には、ICD-10コードを記載する欄があります。
漏れている場合は追記をお願いしましょう。

・生活環境(同居者の有無)

同居家族がいるのに「同居者なし」に丸が入っている場合は必ず修正してください。
精神障害の審査では、同居者の有無は重要な要素です。

また、単身生活でやむを得ない事情がある場合には、
全般的状況欄に事情を書いてもらうことをおすすめします。
単身生活を行わざるを得ない事情は考慮されることになっています。

・就労状況(特に一般雇用は重要)

就労実体がある場合は、ありのまま記載してもらう必要があります。
特に重要なのが「職場での援助の状況」「意思疎通の状況」です。

ここが空欄だと、配慮なしで一般雇用ができていると捉えられ、
審査が厳しくなる可能性があります。

職場からの配慮・援助がある場合には、必ず記載してもらいましょう。

・福祉サービスの利用状況

福祉サービスの利用状況も審査で重要視されます。
実際に利用しているサービスがあるのに記載がない場合は追記を依頼しましょう。


提出前に必ず診断書のコピーを取る

診断書の内容確認が終わり、これで問題ないという状態になったら、
診断書は必ずコピーを取っておきましょう。

今後、

  • 審査結果が不服で審査請求を行う場合
  • 認定後に更新手続きが必要になる場合

などに、前回提出した診断書内容が分からないと適切な対応ができなくなります。

繰り返しになりますが、提出前に必ず診断書のコピーを取っておくようにしてください。


まとめ

今回は、診断書が完成して手元に届いてからの注意点として、

  • 封を開けて必ず中身を確認する
  • 記載漏れ・誤り・軽すぎる内容になっていないか確認する
  • 医師への相談は事実確認の範囲で行う
  • 日付・検査数値・肢体・精神の診断書は特に注意して確認する
  • 提出前に必ずコピーを取る

というポイントを解説しました。

次回【第7回】は、多くの方が作成にご苦労される、病歴・就労状況等申立書について解説します。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

2025年12月27日 10:00
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